二度ある産休は三度ある!?
いま人気急上昇中!? 東京都北区エリアでの老舗訪問看護ステーション!
よろしくお願いします。
こちらが事務所を構える東京都北区って、最近はTVドラマやバラエティ番組で取り上げられることも多く、
「ちょっと風変わりな味のあるエリア」
だったり
「ディープスポット」
だったり…そんな感じのイメージがあります(笑)。
「赤羽」なんかは、「住みやすい街」にもランキングされたみたいですね~。
ただ、長くここで働いていますが、あまりそういった実感はないんですよね(笑)。
そうなんですね!
こちらのステーションの最寄りでもある、「王子」はどのような雰囲気ですか??
王子は、あまりパッとした特徴がないんですよね~(苦笑)。
北区区役所があるので、介護保険課に相談に行かなければいけない時は、すごく便利ですが。
あと、北区は都電が便利ですよ!
5~6月のシーズンになると、都電沿線の薔薇が一斉に咲くので、それはすごく綺麗です!
都電が走る街って、何だか風情があって良いですね~!
産休復帰・子育て中のママさん看護師も大喜びの「子看休暇」制度とは!?
こちらのステーションの特徴について、お伺いさせて下さい!
まず真っ先に、小暮さんご自身が5人のお子さんがいること、しかも、そのうちの下3人は、
こちらのステーションで産休育休を利用しながら育てられたというお話が衝撃でした。
しかも、5人目のお子さんの産休明けから、もう管理者をされていたという……!
チャレンジャーですよね、はい(笑)。
他のステーションの管理者さんでも、なかなかお目にかからないですね(笑)。
ちなみに、5人目のお子さんの出産後、下のお子さんがおいくつの時に復帰をされたのですか?
下の子どもが保育園に入りたてだったので、1歳かな?
その上の2人も保育園に入ってたので、計3人の園児を抱えながらの職場復帰でした。
その状況で管理者なんて…パワフルすぎる……(汗)。
ちなみに、こちらのステーションでは小暮さんの他にも、産休空けで復帰されたスタッフがいると伺いましたが?
はい、今いるメンバーですと、私を除いて4名のスタッフが、産休復帰しています。
小さなお子さんがいたら当たり前のことなのですが、
「急な熱発で保育園に迎えにいかないといけない」
とか、
「保護者会が入ってしまった」
とかとか、そういったことが当然ある訳じゃないですか?
そういった時の勤務調整は、どのようにされているのですか??
まず、メンバー同士で融通し合うってことが大前提です。
そこはみんなお互い様として、理解のある職場だと思います。
あと、うちの場合は「子看休暇(しかんきゅうか)」という制度があるので、みんなそれを使っていますね。
子看休暇とは、どのような制度なのですか???
中学生以下の子どもがいる職員は、通常の休暇や有給とは別に、年間12日のお休みが付与されるんです。
働くお母さんには、とてつもなく有り難い制度ですね…!
本当、そうだと思います(笑)。
有給の消化率も良いので、有給なども使いながら、毎年7連休は取得して家族旅行を楽しんでいるスタッフもいますよ。
働くスタッフとしては最高ですが、現場をまとめる管理者としては、調整に苦労しそうですね(汗)。
まぁ、そこは上手くやりながら…(苦笑)。
私自身、いつもスタッフに
「健康第一! 家庭も大事に!」
と言っているので、仕方ないですね。
やはり、プライベートが充実していないと、仕事も続かないですから。
こういったメリハリは、今後も大切にしていきたいと思っています!
こちらのステーション近くを散策していて、同法人が運営する診療所が近くにあったり、ステーションの下の階には認知症の診療所が入っていたりと、近隣にグループ施設が密集しているような印象を受けました。
そうですね。
訪問看護、リハビリテーション部、ヘルパー、ケアマネ、あとは診療所と訪問診療も、在宅医療に関するリソースは、全部揃っているんじゃないかな?
ショートステイとして使える施設なんかも、持っていますか?
ショートはないですが、診療所が有床なので、そこでレスパイトを受けてもらうことも可能です。
本当にトータルサポートといった感じですね!
ちなみに、医療での連携について、外部ではなく法人内の先生が多いですか??
ざっくり、6割くらいは同法人の先生かな?
例えば、通院が難しくなってきたご利用者さんも、うちの法人であれば、往診医と訪問看護がセットで入れるので、そこに使いやすさを感じて頂くことは多いですね。
先生たちとのやり取りも、毎朝、往診の申し送りがあるので、そこでタイムリーに色々な情報共有や、お薬の相談なんかもしていて、非常に密な連携ができていますよ。
訪問看護未経験の方だと、あまりピンとこないかもしれないのですが、訪問看護師として、それは働きやすいでしょうね~。
すごく良い環境ですよね~!
本当に恵まれていると思います。
子育て優先!夜勤は禁止! 旦那の制限から逃れ逃れて訪問看護へ!
ここからは、小暮さんのご経歴についてお伺いをさせて下さい!
まず、ご出身はどちらになりますか?
東京都の東村山ですね。
北区エリアには、結婚を機に転居してきました。
病棟での臨床経験は、どのような感じでしたか?
看護学校卒業後、最初に入職した病院が、400床くらいの中規模病院で、配属が外科と小児の混合病棟でした。
外科と小児???
珍しい組み合わせですよね(笑)。
小児は10床くらいで、軽めの外科と小児での応用外科って感じの病棟。
そこで働いている間に、結婚と第一子の妊娠をしたのですが、旦那があまり仕事に理解のない人で、
「家に母親がいないのは不安だから、夜勤はダメ」
みたいな感じで…。
病院を辞めざるをえなくなった??
そうなんです。
その後、子育てをしながら非常勤での外来勤務をちょこちょこしていたのですが、
「やっぱり常勤で働きたいなぁ…」
って気持ちがあったんですね。
それで、(旦那から文句が出ないよう)「9時~17時」「常勤」の仕事はないかな?と探していたところ、たまたま保育園で同じ学年だったママ友が、訪問看護をやっていて、
「訪問看護いいよ!」
と言われたのが頭に残ったんです(笑)。
当時ですと、まだまだ在宅や訪問看護はポピュラーではなかったと思うのですが、小暮さん自身はどんなイメージをお持ちでした??
何もわかっていなかったですね。
私の時は看護学校で在宅実習も無かったですし(苦笑)。
ママ友からは、
「ご高齢者のお家に行ってお話するだけだから楽だよ」
なんて言われて、
「常勤で働きたいのに、そんな楽なところは嫌だな~」
と漠然と思っていました。
ただ、旦那からは、
「夜勤は絶対ダメ!」
とキツく言われていたので、他に選択肢もなく、仕方なく訪問看護を、といった流れでしたね。
ご主人、なかなかに厳しいですね(汗)。
ちなみに、ご主人的に、オンコールはOKだったのですか??
その当時は、事業所が24時間体制を取っていなかったので、そもそもオンコールがなかったんですよね。
なるほど!
その後、オンコール体制を取るようになってからは??
最初はダメでした。
ただ、ちょっとずつ、ちょっとずつ、(勤務時間を)増やしていって、今ではほとんど家にいない(笑)。
ご主人からすれば、なんだか騙された感もありそうな(笑)。
まぁ、どのようなキッカケや動機であれ、その後、管理者をされ、訪問看護の認定資格を取るまでに至るとは、まったく人生はわからないものですね。
本当そうですよね~(笑)。
心不全のご利用者の死と、自分への後悔、そしてご家族からのお礼の言葉
これまで小暮さんが担当された利用者さんで、印象深かった方のエピソードを教えて頂けますか?
はい、私がまだ訪問看護を始めたてで、
「もっと勉強しなきゃ」
と強く考えるようになったケースの話です。
いつもは訪問入浴で入っていた、高齢の利用者さんだったのですが、ある日、
「動くと苦しいから、今日はお風呂なしでいいよ」
と言われ、
「時間が余るからどうしよう?」
と困ったんですね。
仕方なくその日は、手足がすごく冷たくなっていたので、床屋さんをされていた利用者さんのお家にたくさんあった温タオルを使い、手足を温めて、マッサージをすることにしました。
それで、
「また来週来ますね」
とお伝えをして訪問を終えたのですが、その数日後、利用者さんが、心不全でお亡くなりになったんです…。
心不全の診断は、でていたのですか?
いえ、なかったですね。
ちょっとずつ具合は悪くなっていましたし、息苦しさの訴えもあったのですが、心不全とは診断されていなかった。
訪問後に先生へ報告もしたのですが、
「いったん様子を見ましょう」
ということで、利尿剤が出される程度でした。
その当時は、今みたいにサチュレーションの機械もなく、聴診器と血圧計だけを持って、あとは自分の感覚でアセスメントを取って、という時代だったので、私自身の知識・経験不足もあり、気づけなかったんですね。
今であれば、また違った対応ができたのだろうな、とは思うのですが……。
お亡くなりになった後、お線香を上げにいった時、ご家族から、
「あの時の温タオルでのマッサージが、すごく気持ち良かったらしくって、とても喜んでいたのよ。」
とお礼を言って頂きました。
私としては、
「先生との連携が不十分だったのではないか」
「もっとできることがあったのではないか」
と、後悔の気持ちでいっぱいだったので、ご家族のその言葉にすごく救われる想いでした…。
決して、ミスがあったわけではないでしょうし、その当時の、小暮さんの経験値や、(制度的な)限界もあったとも思うので、致し方ない感じはしますけどね…。
そうですね……。
ただ、その時のご家族の言葉がなければ、
「こんな辛いのもう無理」
と、訪問看護を続けていなかったかもしれませんね。
僕は、訪問看護で働いている方や、訪問看護で働いてみたい、という方とお話をしていて、特に訪問看護への想い入れが強い方は、
「もっと◯◯してあげられたんじゃないか」
「もっとできることがあったのではないか」
という、「してあげたい」の袋小路に陥ってしまうことがあるな…と思っています。
訪問看護では、
「(看護師として)できること/できないこと」
「ご利用者が望むこと/望まないこと」
「致し方ないこと/改善できたこと」
といった線引きは、どこかでしていく必要がありますね…。
その通りだと思います。
本当に、私たちができることは限られているので…。
ただ、例えば、自分では気づいていなくても、
訪問に入って、私たちがそこにいるだけでも、それが利用者さんにとっての立派なケアになっていることもあるんですよね。
そのためには、日々の訪問を重ねる中で、利用者さんとの信頼関係をしっかりと築いていく努力は、常に心がけないといけないなと思います。
訪問看護の「怖さ」と、それを乗り越えた「先」にあるもの
私は、実習も知識もなく訪問看護をはじめた人間で、最初は、段々と利用者さんから信頼をされていく感じや、毎週の訪問の中で、
「待ってたよ」
と言って頂けることがとても嬉しかったですし、充実感もありました。
ただ、段々と訪問看護の「怖さ」も感じるようになっていったんですね。
先程の、心不全のご利用者のケースのような??
そうです。
私が訪問をした後に、
「入院してしまった」
とか
「熱発した」
というケースがあると、
「自分が見落としたのではないか?」
「病態を理解していなかったのではないか?」
と、すごく不安を持つようになりました。
それからは、
「頭が痛い」
と言われただけでも、
「この人の病気から、他にはどのような病気が考えれるのか?」
と本を開いて、必死にアセスメントをするようになりました。
その時は、訪問がすごく怖かったですし、正直辛かったです。
ただ、そういった時期を乗り越えると、また最初とは違った、訪問の楽しさに気づくようになっていったんですね。
怖さを乗り越えた後の楽しさ??
そう。
自分の中である程度の知識や経験が溜まってくると、周りのスタッフと相談をしたり、他の人の記録を読んだりした時の、学ぶ楽しさがグッと広がったんですよね。
そうなると、色々なタイプの新しい利用者さんに相対した時に、
「あれはどうだろう?」
「この可能性は?」
「これができるんじゃないかな?」
と、一気に視野が広がっていく感じがしました。
仮に同じ病気の利用者さんでも、利用者さん毎に、症状の出方は変わるし、病気との向き合い方も千差万別
なので、そういった点も、在宅で学んでいくなかでの楽しさの要因なのかもしれないですね。
本当そうですね!
訪問看護はそれが楽しいし、私が飽きずにこれまでやってこれた理由の1つなのかなと思います(笑)。
本日はありがとうございました。
取材を終えて
東京都北区の玄関口ともいえる「王子」駅から、都電荒川線沿いに歩いていった先に位置する『ふれあい訪問看護ステーション』。
一階に診療所、二階に訪問看護が入り、やや年季を感じさせるその建物からは、地域での在宅医療を長年支えてきた確かな歴史が見て取れました。
東京23区でも、第一位の高齢化率と言われている北区での在宅ニーズに答えていくためには、訪問看護ステーション単体ではなく、こちらの法人のように、様々な事業所と多様な職種のスタッフが在籍するサービスが求められているのは間違いないです。
産休育休制度や「子看休暇」などの充実した福利厚生に目が行きがちですが、
経験豊富な認定看護師や認知症ケア専門士からの教育サポートもあり、
「ガッツリと在宅を学んでいきたい!」
という方にも胸を張ってオススメできるステーションですよ!
取材・文章:一和多義隆
事業所情報
事業所名 | ふれあい訪問看護ステーション |
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運営会社 | 東京ふれあい医療生活協同組合 |
所在地 | 東京都北区堀船3-31-15 |
最寄り駅 | JR各線「王子駅」(徒歩12分)、都電荒川線「梶原」駅(徒歩3分) |
在籍人数 | 看護師:13名(常勤6名・非常勤7名)、理学療法士:1名 |
従業員の平均年齢 | 40代半ば |
ステーション詳細 | » より詳細なステーション情報を見る |
本日は、東京ふれあい医療生活協同組合が、介護保険制度も始まる前の1998年から事業スタートをしている、老舗訪問看護ステーション『ふれあい訪問看護ステーション』の管理者、小暮さんからお話を伺います!