これからも「みゆきちゃん共に

インタビュー先の事業所とご担当者様

松井 知子さん 管理者

せたがや訪問看護ステーション

東京都世田谷区

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世田谷で育って、世田谷に学び、世田谷を訪問する

一和多

本日は、生まれも育ちも訪問エリアまで「世田谷区!」という、『せたがや訪問看護ステーション』松井さんにインタビューをいたします。

 

よろしくお願いします!

松井さん

よろしくお願い致しますっ!!!

一和多

こちらの事業所名も『せたがや訪問看護ステーション』ですし、松井さんは生まれも育ちもずっと世田谷らしいですね!

松井さん

そうなんです(笑)。

3歳のときから世田谷育ちでして、看護学校も、長年勤めた前職も、世田谷でした!

一和多

世田谷育ちのお嬢様!

加えて、前職は世田谷区内で多数の大型訪問看護ステーションを複数展開される世田谷区社会福祉法人出身なんですよね。

一和多

ちなみに、前職の社会福祉法人を退職されて、こちらの訪問看護ステーションを立ち上げる時は、「世田谷以外で訪問看護を…」といった考えはありましたか?

松井さん

はい、最初は目黒区の端っこに事業所を構えて、前職の訪問エリアとは被らないようにした方が動きやすいのかな? とも思っていました。

 

ただ、前職で訪問看護部門の統括をされていた大先輩からも独立を応援して頂けたこともあり、最終的には見知ったソーシャルワーカーさんやケアマネさんも多い、世田谷区内を選びました。

 

今でも、前職とは密に連携をとっているので、同じご利用者のお宅に入ることも多いですよ!

一和多

土地勘もあり、長年勤めた前職の地盤を活かしながら事業所運営ができる点は、大きな強みですね~!

キッカケはおばあちゃんの育児方針!? 週1勤務からはじめた訪問看護

一和多

松井さんのこれまでのキャリアについて教えて下さい。

そもそも看護の道に進んだキッカケは?

松井さん

私、もともとは養護教諭になりたかったんです。

ただ、家が4人兄弟で末娘だったこともあり、父から

「お前を大学にいかせるお金はない!」

とスパンと言われ、泣く泣く看護の道へ…(笑)。

一和多

看護師さんで、そのパターンの方も多いですよね(笑)。

新卒での就職先は、どのようなところに?

松井さん

国立病院の外科病棟です。

脳外科と神経外科以外は何でもありの混合病棟で、そこで4年間勤務をしました。

 

やり甲斐もあり、楽しい職場ではあったのですが、再発して戻ってくる終末期の患者さんが多い病棟だったので、

 

「どうやって関わっていけば良いのだろう?」

「自分はきちんとしたケアができているのだろうか?」

 

といった葛藤は、すごくありました…。

一和多

まだ松井さんも、20代前半の頃ですものね…。

それからどのようにして、在宅・訪問看護の道へ??

松井さん

実は、主人のおばあちゃんが、キッカケなんです。

 

おばあちゃんから、

「看護師は良い仕事だけど、子どもが生まれたら、子育てに専念しないといけないよ」

といったことを言われ、それで妊娠・出産のタイミングで、退職をして家庭に入ったのですが、子どもが7ヶ月くらいの時にはもう

「ずっと家にいるのは息が詰まる!」

となりまして(笑)。

一和多

(笑)。

松井さん

そんな時、たまたま世田谷区の区報で

「訪問指導の職員募集、週1日から可」

といった求人 を発見して、

 

「区役所の仕事なら安心だし、家からも近い!」

 

ということでおばあちゃんに相談をしたら、

「週1回くらいなら(子どもの)面倒を見るわよ」

と言ってくれて。

 

私が在宅の仕事をはじめたキッカケは、そんな感じでした(笑)。

一和多

世田谷区役所の訪問指導の職員として入職をされて、

それからどのようにして訪問看護ステーションに?

松井さん

多くの他の区って、医師会立の訪問看護ステーションがあるじゃないですか? 

世田谷区は、医師会立の訪問看護ステーションがなかったんですよね。

 

それで、地域を看ていくための訪問看護ステーションが必要だというので、区役所の在宅部門がそのまま切り離されて、社会福祉法人の訪問看護ステーションに移行していきました。

なので、「有無を言わさず!」といった感じでの異動でしたね。

一和多

そんな歴史があったのですね…!

 

それからは、20年近く前職の法人で訪問看護を経験されていたわけですが、そちらでの地域の中核となる大型ステーションでは、どのような働き方をされていたのですか?

松井さん

前職の法人の職員としては、18年勤務していました。そので子どもをさらに2人出産して、まだ子どもが保育園の時から常勤に切り替わり、あれよあれよと言う間に、気がつけば管理者に(笑)

一和多

順調にキャリアアップをされていったと(笑)。

松井さん

結果的に、そうなりましたね(笑)。

松井さん

あと、私は法人内の異動で、計3つのステーションを経験させて頂いて、

「同じ運営母体でも事業所毎に中の雰囲気は違うんだ!」

「訪問看護ステーションをつくるものは、組織ではなくステーションの現場で働く人たちなんだ!」

ということを学びましたね。

一和多

なるほど…!

その経験が、現在のせたがや訪問看護ステーションでの事業所運営にも、活きているような感じがしますね。

スタッフが9連休を取得する、ON/OFFを意識した働き方!

一和多

こちらのステーションの特徴について、お伺いさせて下さい!

 

まずは、利用者さんの傾向として、小児のニーズが大きいとか? 

ここからは、小児科で有名な成育医療研究センターも近いですしね。

松井さん

そうですね!

前職のステーションの時から、このエリアで小児ニーズが高いことはわかっていたので、

「小児も看れる事業所にしていきたい」

といったことは、立ち上げ時から考えていました。

一和多

私が色々な看護師さんとご面談をしていて、

「訪問看護をやるうえで不安な分野は?」

と質問をすると、「小児」を挙げられる方は多いです。

 

小児科未経験の看護師さんへの教育サポートは、どのようにされていますか?

松井さん

まず、うちは小児看護経験者が多いんですね。

いま現在(2018年9月時点)で、4人かな。

なので、小児経験をしっかりと持ったメンバーが、サポートをする安心感は大きいかと思います。

松井さん

あとは、一言で「小児」と言っても医療的ケアのないお子さんもいるので、

まずは症状も安定していて、お母さんの受け入れも良いご家庭から、同行訪問を重ねつつ、

段階的に医療ケア児へ入っていくので、そこも安心して頂いて大丈夫だと思いますよ。

 

いきなり放り出す、といったことはしませんので!

一和多

それだけ経験者が揃っている事業所も、なかなかないですしね~!

 

ちなみに、外部の研修も利用されていますか?

松井さん

はい、やはり内部の教育のみだと限界があると思っているので。

 

研修で外の空気を吸って、うちのステーションの中だけでは気づかなかった点を、色々と吸収してきてもらえれば嬉しいですね。

ケースカンファレンスの様子
一和多

こちらの事業所では、希望者は「9連休」を取得されているとか?

 

訪問看護ステーションでは、まとまった休みが取りづらいので、こちらもユニークな点になるかなと。

松井さん

はい、平日の5日間と前後の土日を重ねての9連休!

 

もちろん、スタッフが一斉にお休みを取ることは難しいので、交代で休みの時期を調整しながら、取得してもらっています。

一和多

皆さん、どのような連休の使い方をされているのです?

松井さん

もうバラバラですね~。

帰省される方もいれば、家族でキャンプにいかれる方、毎年海外に行っている人もいますね。

一和多

そのような「連休が取れる運営体制」というのは、立ち上げからイメージ

松井さん

そうですね。

 

しっかりとお休みを取って、仕事とプライベートのON/OFFがないと、良いケアはできないので。 

 

これからも、希望のお休みは、可能な限り叶えていきたいな、と思っています。

肺がん末期の父親の在宅療養について対立した、病棟看護師の姉と訪問看護師の妹

一和多

松井さんは、事業団で管理者までされた後、

なぜ、こちらのせたがや訪問看護ステーションを立ち上げよう、と思われたのですか?

松井さん

その話には、もう1人の創業メンバーが関わっているんですよね…。

 

前職の法人の同僚で、『みゆき』ちゃんという、がん性疼痛看護の認定看護師がいました。

 

彼女と一緒に働いていく中で、

 

「より利用者さんに合わせて臨機応変に動けるステーション、利用者さんの状況次第で土日祝もしっかりと訪問ができるステーションをやりたいね」

 

と話していたのがキッカケでした。

一和多

なるほど。

大きな組織ですと、そこの融通にも限界がありますしね。

 

その、みゆきさんは今もこちらに?

松井さん

スキルス胃がんで亡くなりました。

ステーション立ち上げ前に…。

 

シングルで独居の方だったので、最終的には家に帰れず、病院で亡くなったのですが、みんなで病院に寝泊まりしながら、お看取りをしましたね。

松井さん

実は、うちの会社株式会社みゆき』というのですが、この社名は、彼女から頂いたものなんです。

松井さん

みゆきちゃんには本当お世話になっていて、私の父彼女に看てもらった利用者の1人なんです。

一和多

お父さんも訪問看護で???

松井さん

はい。

私の父は、肺がんで亡くなったのですが、

「入院したくない。家で死にたい」

といったことを希望して、その時の訪問の主担当がみゆきちゃんで。

松井さん

実は、うちは姉も看護師をやっていて、国立病院の師長なんです。

父にとって、姉は自慢の娘で、私は泣き虫の末娘。

しかも大きな病院ではなく、よくわからない訪問看護で働いているものだから、私の話は全然聞いてくれないんですよ(笑)。

松井さん

姉は、

「肺がんの末期は苦しいので家で看るのは難しい」

と言ったのですが、私は、

「家でも看れる」

と言って、意見が対立したんですね。

 

私だけでは、家族も納得してくれなかったと思うのですが、訪問の担当をしたみゆきちゃんが家族から大変信頼をされていたからこそ、父は自宅で最期を過ごすことができたのだと思います。

一和多

お父さんは、みゆきさんのどのような点に信頼を持たれのですか?

松井さん

例えば、訪問診療の先生は、薬は出すけど、そんなにじっくりとお話はされないじゃないですか?

 

その点、みゆきちゃんは、がん疼痛の認定だったこともあって、

「痛み」に関する説明が非常に丁寧で、かつ上手なんですよね。 

 

「僕にとっての先生は、みゆきちゃんだ」

と、父もよく言っていました。

松井さん

家族の立場で見ていても、

訪問看護師を前にすると、家族ってこんなにも安心して、こんなにも変わるんだ

という点が、私としても衝撃的でした。

 

「これからも訪問看護を続けていこう!」

と、強く感じたことを覚えています。

一和多

訪問看護ステーションの立ち上げ、ご家族の看護、松井さん自身の看護師人生としても、松井さんがみゆきさんから頂いたものは、非常に大きいですね!

一和多

ちなみに………なのですが、お父さんにとっては、師長のお姉さんは自慢の娘で、松井さんは頼りない末娘だった、とのことですが、

ご家族の中で、みゆきさんそれだけ信頼をされていて、同じ事業所の訪問看護師である松井さんの評価も上がっていったのではないですか?(笑)

松井さん

それが、ぜんっっっぜん、上がらないんです!!!

「泣き虫の三女」といったイメージを、覆すことはできなかった(笑)。

 

ただ、父を最期まで看た後に姉から、

「訪問看護ってすごいんだね」

と言ってもらえたことは、とても嬉しかったですね。

訪問看護師に求められるブレない軸

一和多

様々なご縁や転機ありながら訪問看護にどっぷり漬かっていった松井さんですが、

在宅の道に進まれたキッカケ何気ないご家庭の事情だったという点が、

看護師さんのキャリア選択において、とても示唆的な感じがして個人的には好きです(笑)。

松井さん

ありがとうございます!

 

今でも覚えているのですが、私が在宅に進む時の面接で、

「訪問看護って知ってる?」

と聞かれて、

「知りません!」

と即答しているんですね。

 

それで、

「なんで知らないのに、この面接に来たの?」

と当たり前の質問をされて、

「週1日から可能と書いてあったので!」

と答えていて…(苦笑)。

一和多

正直すぎるというか、何というか…(笑)。

松井さん

ですよね(汗)

しかも、

「自分が4兄弟だったので、子どもはあと2人は産みたいです!」

とも言っているんです(笑)。

 

後日、面接を担当して頂いた方に、

「なぜ私を採用したのですか?」

と伺ったんですね。

 

そうしたら、

「ブレない軸を感じたから」

と。

松井さん

様々なご利用者の生活に入っていく訪問看護では、

看護師側自分の生き方や信念がしっかりとしている必要があって、

そうでないと利用者さんを支えられないでしょ? 

一和多

訪問看護のことは、後から知っていくでも良いので、

まずは、ご自身の軸を見定める必要がある…と。 

 

ちなみに、こちらの訪問看護ステーションにおける軸は、どちらに?

松井さん

やはり、みゆきちゃんですかね。

 

今でも彼女は、一緒にステーションを運営する仲間だと思っていますし、何よりも私自身の原動力ですので!

 

うちで面接をする時は必ず、みゆきちゃんの話をさせてもらっているので、そこに共感をして頂ける方と一緒に働けたら嬉しいですね。

一和多

本日は、ありがとうございました。

取材を終えて

一和多

世田谷区の閑静な住宅街を横断する路面電車、東急世田谷線「上町」駅から、歩いてすぐの位置に事業所を構えるせたがや訪問看護ステーション

 

こちらのステーションでは、ご利用者、働き方、お給与に至るまで、いたる所に、

松井さんとみゆきさんお二人の想いが詰まった運営をされています。

 

また、大きな組織での訪問看護と、立ち上がったばかりの小さな組織での訪問看護、両方での事業所運営を経験されてきた松井さんからこそ、それぞれの強み・弱みも理解しつつ、自分たちの目指す看護に向かってブレずに邁進していくことができるのかなと感じられました

 

在宅でのターミナルケアや小児看護に不安がある方訪問看護のイメージがまだ持てていないという方も

まずは気軽に、「みゆき」さんのお話を伺いにいくことから、検討されてはいかがでしょう?

取材・文章:一和多義隆

事業所情報

事業所名 せたがや訪問看護ステーション
運営会社 株式会社みゆき
所在地 東京都世田谷区世田谷3-3-3 グランドステータス世田谷2階
最寄り駅 東急世田谷線「上町」駅 徒歩1分
在籍人数 13名(看護師:常勤4名・非常勤9名)
従業員の平均年齢 40代前半 ※30〜60代のメンバーが所属しています
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