北千住を見おろしながら
インタビュー先の事業所とご担当者様
藤枝 亜美さん 管理者
ベストリハ訪問看護ステーション
東京都・足立区 / 常磐線・千代田線・日比谷線 「北千住」駅 徒歩10分
気分はセレブ看護師!? 高層マンションの一室に構える訪問看護ステーション!
よろしくお願い致します。
それにしても、すごい場所に事業所を構えていますね。
こんな綺麗なマンションの、しかも高層階に事業所を構えている訪問看護ステーションって、僕は初めてです…!
なかなか無いですよね(笑)。
こちらマンションに来るまでの道のりも、北千住駅前の商店街に良い感じの飲食店が多くて仕事終わりの一杯が楽しそうです(笑)。
そうですね。うちで働いているとランチも楽しみになりますよ(笑)。
あと、うちは会社の福利厚生で、『コンパ』っていう制度があって、例えば、
「看護師コンパ」、「新人コンパ」、「女子会コンパ」、「管理職コンパ」…等、
名目は何でも良いのですが、申請を出せばスタッフ同士の飲食代に補助金が出るんですよね。
他事業所のメンバーや他職種メンバーとも積極的に交流がはかれて良い制度ですね~!
こちら周辺ですと、コンパの会場選びもまた楽しそう!
平均年齢30歳前後!訪問看護未経験の看護師たちが支え合いながら働く職場!
ベストリハさんのメンバー構成として、若い方が非常に多いなという印象を受けました。
事業所内の雰囲気もやはり若々しい感じですかね?
はい、若いメンバーの多さは、私も入社時にビックリしました(笑)。
あと、訪問看護未経験のメンバーも多いですね。
みんな未経験からのスタートですので、メンバー同士フラットな関係で、お互いに支え合いながら働けていると思います。
若いスタッフや訪問看護未経験者が多いなりの、良い点や課題点も色々とありそうな感じがしますね。
そうですね。
確かに経験不足・知識不足で困ることもあるのですが、そこは若い人ならではの瞬発力や柔軟性、チームの一体感で乗り越えていっています。
「○○であるべき」「○○すべき」といった思考のメンバーはいないので、日々自分たちに足りないものをみんなで相談しながら埋めていっている感じですね。
そのような事業所の雰囲気づくりってすごく大切ですよね…。
事業所のカラーって管理者のお人柄によるものが大きいかと思うのですが、藤枝さんの方で何か意識していることなどはありますか??
励まし合える雰囲気や、相談しやすい雰囲気は大切にしていきたいと思っています。
訪問看護って、利用者さん毎の個別性が強いので、利用者さんと看護師がうまくマッチしない場面ってどうしてもあるんですね。
「良かれと思ってやったのに」、「こういうつもりではなかったのに」
って経験は、訪問看護をやっていれば誰でもあると思います。
そんな時、事業所に帰ってきてから仲間に悩みを相談できたり、励まし合ったりできる雰囲気が大切なんですよね。
言語聴覚士が8名在籍! 看護師とリハビリメンバーとの密な連携体制!
こちらの利用者さんはどのような方が多いですか?
うちは看護よりもリハビリの依頼が多いんですよね。
特定疾患・難病で機能が落ちている方にリハビリの依頼が入って、加えて病状を看て欲しいという形で看護師が介入していくケースが多いです。
あとは、日常生活の医療処置やメンタルケアも多いかな?
療法士さんでいえば、こちらはステーション全体で言語聴覚士(以降、ST)が8名もいらっしゃるとか??
STが8名もいる訪問看護ステーションはなかなか聞かないですね。
在宅においてSTの需要って凄く高いんですよね。
「在宅」や「高齢者」にとって、「誤嚥」トラブルは切っても切り離せないので。
うちでは、STが1に対して、看護が2.5といったイメージで人員配置をしていて、STと看護が密に連携をとって対応できる点は強みだと思います。
それはニーズがあるでしょうね!
訪問看護未経験の看護師ですと、療法士との連携に慣れていない方も多いかと思うのですが、その辺はどのようにフォローされていますか?
まず同じ事業所内に看護師も療法士もどちらもおりますので、事業所内ですぐにアドバイスをもらえる環境はあります。
あとは、看護の入っていない利用者さんでも、情報共有などで必要があればリハビリの訪問にボランティアで看護師が同行する場を作ったり、看護とリハの合同勉強会を定期的に開催したりしていますね。
それであれば看護師も安心してリハビリとの連携や情報共有をしていけますね!
元々はER希望! 緩和ケア病棟の勤務時に感じた疑問から訪問看護の道へ!
藤枝さんのご経歴についてお伺いをしたいのですが、看護師のキャリアはどのようにスタートして、その後どのようにして訪問看護へ?
最初は急性期の病院からスタートして、色々な診療科を経験した後に最後は緩和ケア病棟で働いていました。
その緩和ケアの現場で、ガンの患者さんが最期に帰りたい場所としてご自宅をあげられる場面を多く目にしていたんですね。
そこではじめて、在宅ケア・訪問看護の可能性について考えるようになったのだと思います。
元々、訪問看護に興味があったとか、そういうことではなかった???
全然、そういったことではなかったですね(笑)。
自分自身が忙しい現場が好きだったので、最初は救急センターやERを希望していました。
むしろ、訪問看護は高齢者の話を聞いてゆっくりお茶飲んで、というイメージでしたね。
そこからよく在宅へ進もうと気持ちが傾きましたね(笑)。
本当そうですよね(笑)。
ただ、「病院と在宅の連携がうまくいかないのは何でだろう?」って疑問はすごく強かったですね。
例えば、吸引にしても点滴管理にしても胃ろうにしても、十分な指導ができていない状態でご自宅に帰られた患者さんが、最期はご自宅で過ごすことを希望していたにも関わらず、病院に戻ってきてしまうことが本当に多くて、「これは誰かが病院と在宅の真ん中に立ってやらないといけないのではないか?」と漠然と感じました。
その後、訪問看護を経験されてみて、連携がうまくいかない理由は見えてきましたか?
う~~~ん、スタッフ側の問題で言えば、病院で働いていると在宅のことって本当わからないんですよね。私自身もそうでした。
家に帰った後のイメージはつかないし、介護保険のことも知らない。
極端な例だと訪問看護師って存在すら知らない人もいました。
これではスムーズな連携ができるはずもないんですよね…。
そのような状態から訪問看護の道に進むのって不安感や抵抗感はなかったのですか?
そうですね…、最新の医療から離れてしまう、置いていかれるかもしれない、という不安感はありましたね。
ただ、緩和ケア病棟にいた時から、点滴管理や薬のコントロールなど、「処置やケア自体は病院でも在宅でも変わらないな」と思っていました。
それであれば、患者さんの希望されているご自宅で、しっかりと支えてあげることができると良いな~って感じでしたかね。
実際に、病院と在宅の両方を経験されて、2つの働き方を比較して、どちらでの働き方がご自身に合っていたと思いますか?
うーん……。
訪問看護を経験したいま、病院の退院調整をやってみたいという気持ちはあります。
ただ、もう病院に戻りたいとは思わないですかね(笑)。
訪問看護を経験されると、本当に皆さんそうおっしゃいますよね。
病院での決まりきったルーチンワークと違って、在宅では訪問するお家それぞれに、その人なりの個別性が出るんですよね。
それに合ったケアを提供していくことが、すごくやり甲斐があるし、すごく楽しいんだと思います。
私が本当にやりたかった看護はここにあった! ある、ご利用者さんのお看取り
必ず聞いている質問なのですが、藤枝さんの印象深かった利用者さんとのエピソードを教えて頂けますか?
いやぁ~~~、選べないなぁ…。ちょっと待って下さいね……。
(う~~~~~~ん)。
悩みますね(笑)。
じゃあ、お看取りをさせて頂いた女性の利用者さんのお話で!!!
そのご利用者さんはかなり高齢だったのですが、お孫さんやひ孫にあたる小学校1年生くらいの女の子と一緒に暮らされていたんですね。
そのひ孫ちゃんが、学校から帰ってきたらおばあちゃんに歌を歌ってあげたり、私と一緒にお世話をしてあげたりする、とてもおばあちゃん好きな子で。
利用者さんもひ孫ちゃんが生きがいみたいになっていて、学校から帰ってくるのをいつも楽しみにしていて、少し帰りが遅くなるだけですごく心配をされたりして…。
最期は、老衰のような形でご家族に見守られながらご自宅で亡くなりました。
エンゼルケアをする時に、ご家族の希望があって、そのひ孫ちゃんも一緒にエンゼルケアをしてもらったんですね。
その時に、お亡くなりになって冷たくなった利用者さんが着る浴衣を、そのひ孫ちゃんが石油ストーブで温めはじめたんです。
利用者さんが寒がりだったので、いつも私が石油ストーブで着替えやタオルを温めて足元に入れてあげていたのを思い出したらしく、「おばあちゃんが寒くないように」と言うんですよ……。
そんな光景、泣いちゃいますよ……。
泣きましたね~~~(涙)。
ご自宅で家族に囲まれながら看取られるって、もちろん悲しいことではありますけど、ご本人は満足だったと思いますし、ひ孫ちゃんにとっても良い経験になったのだろうなと心から思いました。
「私が本当にやりたかった看護はこれだったんだ」と、とても印象深かったです。
最後になりますが、こちらの読者に何かメッセージをお願いします!
訪問看護は、色々な利用者さんと一対一で向き合っていくことになるので、それをプレッシャーに感じる気持ちもあるかとも思います。
ただ一方で、目の前にいる1人のためにケアができるという充実感は、なかなか病院では感じられない貴重な感覚だと思うんです。
いま病院で働いていて「自分がやりたいケアができていない」「病院での働き方に疲れた」と感じる方であれば、自分の看護感を見直す場としても、是非、訪問看護を経験してみて欲しいな、と思います!
本日は貴重なお話をありがとうございました。
取材を終えて
足立区の南の玄関にあたる北千住駅、その駅周辺に長く伸びた商店街を抜けた先にある高層マンションの一室に構えるベストリハ訪問看護ステーション。現地に来て頂ければ「えっ、ここに訪問看護の事業所があるの!?」とビックリすると思います(笑)。メンバーに若手・未経験のスタッフが多いことや、今後の訪問看護ステーションの新規出店にそなえて看護師の採用に力を入れていることなど、良くも悪くも未完成で成長の余地が大きい組織だと思います。勢いある若い雰囲気が好きな方、他職種との連携を楽しめる方、そして眺めの良い職場で働いてみたい方(!)は、是非ご検討下さい!
取材・文章:一和多義隆
事業所情報
事業所名 | ベストリハ訪問看護ステーション |
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運営会社 | ベストリハ株式会社 |
所在地 | 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1301号 |
最寄り駅 | 常磐線・千代田線・日比谷線 「北千住」駅 徒歩10分 |
在籍人数 | 15名(看護師:6名、PT・ST・OT:9名) |
従業員の平均年齢 | 30代前半 |
本日は、都内高層マンションの一室にてインタビューをさせて頂いております。
よろしくお願い致します。