お金は後からついてくるさ、それよりも
インタビュー先の事業所とご担当者様
会田 久子さん 所長
ひよこ訪問看護ステーション
東京都・中野区 / 西武新宿「野方」駅 徒歩7分
訪看歴30年! 足立区・葛飾区・中野区で訪問看護をしてきた大ベテラン!
よろしくお願いします。
現在(2017年3月時点)、絶賛人員募集中とのことですので、
今日は、ひよこ訪問看護ステーションさんをしっかりアピールして下さいね!
アピール…、どんなことを話せば良いのですかねぇ……(汗)。
先日お伺いした会田さんのご経歴で、
足立区、葛飾区、中野区の3つのエリアで訪問看護を経験されてきているって点とか、個人的には面白いと思いましたけどね~。
まぁ、訪問看護大ベテランの会田さんですので、きっと良い話がゴロゴロとでてきますよ!
大ベテランなんて感じではないですけどね(笑)。
頑張ります!
会田さんはどのようにして訪問看護をはじめられたのですか?
元々は病院で働いていて、そこで口腔外科・眼科・放射線科という少し特殊な混合病棟や、内科の混合病棟などを経験した後に結婚を機に退職しました。
その後、ブランク明けで職場復帰をした先が、往診もしっかりやっているクリニック付きの訪問看護ステーションで、それが訪問看護をはじめるキッカケでしたね。
ブランク明けでなぜ訪問看護をやろうと???
病棟で働いている時に、入退院を何度も繰り返してしまう患者さんがいて、
それで「この人たちは家に帰ってからどのような生活をしているのだろう?」と興味があったんですね。
その職場復帰をされたのが30年ほど前ですよね?
当時ですと、いま以上に訪問看護で働くハードルって高かったでしょうね…(汗)。
そうですね。周りからは「面白い選択だね」と言われました(笑)。
ただ、私の場合はブランク明けで病院に戻ることの方が、抵抗感がありましたね…。
あと、やっぱりお家での生活を支える方がやりたかったのでしょうね~。
産休・育休・ブランク明けに働く訪問看護の大変さと楽しさ!
はじめての訪問看護ステーションはいかがでしたか?
まだ介護保険が無い時代だったということや、往診が必要な利用者さんがメインの職場だったということもあって、医療処置が必要な方が多いステーションでしたね。
精神の利用者さんもいましたし、幅広く色々な方を看ることができましたね。
ブランク明けに加えて、はじめての訪問看護でそれでは大変だったんじゃないですか?
大変でしたけど、やはり楽しかったんですよね。
その足立区のステーションは引っ越しが理由で転職をしたのですが、転職後も訪問看護を続けたいなと思いました。
その次が葛飾区で、こちらもクリニック付きのステーションですよね。
こちらでは管理者も経験されたとのことでしたが、それはどのような経緯で???
いや~、前任の管理者が辞めてしまい、
「一時的なものでいいから」とお願いをされて、軽い気持ちで受けてしまったんですよね(笑)。
でた、そのパターン(笑)。
ただ、その経験があったから現在のひよこ訪問看護ステーションがある訳ですものね!
管理者経験をされて、それから何故ひよこを立ち上げようと考えたのですか?
その葛飾の訪問看護ステーションで一緒に事業所運営をしていた理学療法士のメンバーがいたのですが、クリニックの先生が求める事業所と自分たちがやりたい事業所にズレを感じてきた時に、
「それなら自分たちで独立してやってみようか?」という話になったんですよね。
その後、理学療法士のメンバーが中野区に住んでいたので、そこに私がくっついていく形で、こちらに訪問看護ステーションを立ち上げたという経緯になりますね。
訪問看護ステーションの地域性! 中野区の訪問看護ステーションの特徴って?!
足立区、葛飾区、中野区と3つのエリアで訪問看護を経験されてきて、中野区ならではの特徴など感じることはありますか?
私が足立・葛飾で働いていたのは10年以上前なので今は違うのかもしれませんが、中野区はステーション同士の横のつながりが強いな~と感じます。
医療連携がしっかりしていて、医師会主催のセミナー、三師会主催のセミナー、福祉職向けのセミナーなどもちゃんとやっていますね。
自然と他所の訪問看護ステーションの方と顔を合わす機会も多いです。
中野区って管理者さん同士がやたら仲良いイメージがあります(笑)。
そうですね~(笑)。
中野区で訪問看護ステーションをやっている管理者会は2ヶ月に1回はやっているのですが、他だと3~4ヶ月に1回のエリアもあるらしいですね。
管理者会が終わると、そのままご飯に行ったり、飲みに行ったりもしているので、管理者同士がプライベートに付き合える雰囲気があります。
他所のエリアにサテライトを出された方の話を聞くと「全然違う!」って言いますよ。
ワークライフバランスが取りやすく、利用者さんと本当に向き合える職場
ひよこさんで看られている利用者さんは、どのような方が多いですか?
難病の利用者さんから高齢の利用者さんまで、幅広くお受けしています。
あとは、うちはリハビリのメンバーもいるので、看護だけでなくリハビリの利用者さんもいますね。
ちなみに、中野区で最初に訪問リハビリをやったステーションってうちなんですよ(笑)。
そうなんですね~!
今でこそ訪問リハビリを提供されているステーションは増えていますが、その先駆けだったんですね!
働き方のイメージとしては、どのような方がこちらには合いそうですか?
ワークライフバランス重視の子育て中の方は合うと思いますね。
うちは、土日祝がお休みで、オンコールもほぼ私が持っているので、夜間対応の負担もほぼ無いです。
子どもの授業参観がある時や子どもが体調不良の時は、うまくシフトの融通はできるので、そういった心配をされている方はすごく働きやすいと思います。
小さなお子さんがいる方に喜ばれる働き方ですね!
なにか事業所運営をするうえで大切にしている点などございますか?
一件一件の訪問を大切にするスタンスは大切にしていますね。
利用者さんひとりひとりとしっかりと向き合って訪問をして欲しいので。
例えば、本当に利用者さんにとって必要なケアをするのに時間がかかるのであれば、訪問時間を超過してケアをしても良いと思っています。
それって事業所としては、超過分の報酬が取れないってことですよね?
そうですね。
ただ、利用者さんにとって必要なケアであれば、報酬は後からついてくるので。
後からついてくるとは???
私のような前々から訪問看護をやってきた人って、現場のニーズに応じて制度化が進んでいった過去を見てきているんですよね。
なので、「必要なケアであれば、後から制度が追いついてくる」って感覚があります。
これまでも、そういった現場の訪問内容の調査報告がまとめられて、それが制度になっていったので。
訪問看護の黎明期からみてこられた方ならではの感覚ですね…!
訪問の質よりも件数を求められる事業所もある中で、件数ではなく、利用者さんひとりひとりとしっかりと向き合った働き方が認めてもらえることは、ひよこさんの立派なアピールポイント一つだと思うんですけどね~!!!
訪問看護はお金を頂きながら自分の人生経験を豊かにできる仕事です!
これまで様々な利用者さんを看てこられたと思うのですが、印象的だった利用者さんとのエピソードなどございますか?
う~~~ん、家族かなぁ…。
家族って凄いなっていつも思います。
独居の方でもご家族っていらっしゃって、支えてくださる方の存在ってすごく大きいんですよね。
家族の支えがあるから、本人も頑張れるって感じですかね?
そうなのですが、またそれも難しくって、家族が疲れてくる場面があるんですよね。
訪問看護の経験を積むにつれて、「家族が疲れない関わり方」を目指していかないといけないと考えるようになりましたね。
「長生きをしてもらいたい」「良くなってもらいたい」というご家族の気持ちと、
支えるご家族の生活面とのバランスって、答えがないように思えますね。
そうなんですよ…。これが難しくって……。
つい最近、お亡くなりになった利用者さんで100歳を超えて胃ろうをつくった方がいたんですね。
もう100歳を超えてご飯も食べられなくなって、という状況だったので、周りの人たちは胃ろうに反対をしたのですが、娘さんが「どうしても長生きをして欲しい」と希望しました。
100歳の利用者さんのお嬢さんですと、その方もかなりご高齢ですよね?
そうなんです…。
娘さんの負担も大きくてキツい状況だったとは思うのですが、それでも当人は幸せそうでしたね。
訪問看護師としてどのように関わっていくべきだったのか、答えはないですねぇ…。
経験を重ねるしかないですね。
ただ、そういった様々な場面を目にしてくると、自然と自分も視野が広がっていくので大丈夫だと思いますよ。
お金を頂きながら自分の人生経験を豊かにできるのですから、訪問看護って本当に素晴らしい仕事だと思うんですよね~。
病院と在宅、どう違う? まったく違う!
ちなみに、会田さんが訪問看護に興味を持つキッカケになった、
「なぜ患者さんは入退院を繰り返してしまうのだろう?」
という疑問の答えはでましたか?
うん。病院とお家全然違うってことですね(笑)。
病院は言われたことを守らないと怒られちゃうから大人しくしているけど、お家は言われたことを守らなくても怒られないし自由なんですよね。
だから、羽目をはずしすぎちゃうと、また病院に戻っていくんだなと、凄くよくわかりました。
なるほど(笑)。
その「ここまでは羽目をはずしてもいいよ」というラインと、「ここまでは一緒に頑張ろうよ」といった、バランスをみてあげるのが訪問看護師の役割ですね~。
そうそう(笑)。
利用者さんも、お家でも多少頑張ってもらえれば、段々と良い方向には向かっていくのが実感できます。
そうすると「やって良かった」と、もうひと頑張りしてくれるようになるんですよね。
病院のように一方方向で医療行為を提供するのではなく、そういう「人の生活」を看るのが好きで、「生活に寄り添う」のが好きな人にとって、訪問看護は楽しい仕事だと思いますよ。
病院でできると看護と、在宅でできる看護
最後に、いま訪問看護への転職を検討している方に向けた、何かメッセージをお願いします!
本当の意味での「看護を追求したい人」にとって、訪問看護は本当に面白いと思います。
医療処置を提供する場の病院ではできない患者さんとの関わり方ができる場ですし、利用者さんの環境を一緒に整えて、一緒に考えていくことで、その人らしさを引き出していける楽しさを感じることができる場です。
「看護の本質」ってここにあるんだろうな、とつくづく感じます。
30年近く訪問看護をされてきた会田さんがいうとより深いです…。
ちなみに、会田さんは病院に戻ろうとは思わないですか?
戻れないですね。
患者さんひとりひとりと向き合う余裕の無い働き方はもうできないかなぁ…。
本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
取材を終えて
中野区野方駅から歩いてほど近い、環七通りから一本住宅街に入った位置に事業所を構える「ひよこ訪問看護ステーション」。小規模でアットホームな雰囲気の事業所には、本当に訪問看護が好きで、本当に利用者さんと触れあうことが好きな人たちによる、柔らかな空気が漂っていました。ワークライフバランスの取れた働き方が必要となる子育て中の方や、せわしない病院での働き方にお疲れ気味の方は、まずは気軽に一度会田さんとお話をされてみてはいかがでしょう?
なお、事業所の入っている建物はけっこう古いので、そこはあらかじめご了承を。
取材・文章:一和多義隆
事業所情報
事業所名 | ひよこ訪問看護ステーション |
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運営会社 | NPO法人 なかの里を紡ぐ会 |
所在地 | 東京都中野区野方2-60-8 コーポK101 |
最寄り駅 | 西武新宿「野方」駅 徒歩7分 |
在籍人数 | 6名(看護師3名、療法士3名) |
従業員の平均年齢 | 40代後半 |
本日は2001年から中野区で訪問看護ステーションを運営されている、「ひよこ訪問看護ステーション」管理者の会田さんからお話をお伺い致します。
よろしくお願いします!