変化を楽しみ、成長を享受する
設立3年目で看護師10名(+他職種も)! 急成長を続けるステーション!
よろしくお願いします!
『かなでケアステーション』の設立が2017年の10月。
そこからもうすぐ3年目になりますね!
そう、まる2年ですね。
まる2年のステーションでこの人数のスタッフがいるって、僕が知るかぎり正直あまりないと思うのですが…
はい、立ち上げのときは看護師が3人でしたから、それに比べると大きな規模になりました。
設立当初から、小さな規模の事業所ではなく、「(看護師は)10人以上は欲しいよね」と話してはいました。 加算をとる云々が目的というより、組織としての安定感を目指していくために目安となる規模感かなと。
着実にという感じですね…!
この先の展望についても聞かせてください。
最終的にはどれくらいの人数を目指しているとか、サテライトをいくつ設ける、看護小規模多機能型施設(以降、看多機)をつくる、グループホームつくる、などの構想は?
ハード面としてはまだ具体的な構想はないんです。
サテライトを考えた時期もありましたが、それも良し悪しですし、看多機のような施設があったほうがいいのも事実で…。
ただ、それが「看多機」なのか、そうではなく違う機能を持った別の施設形態が良いのかは、まだ検討中ですね。
まだまだ未知数という感じですね。
いまの構想の話もそうなのですが、『かなでケアステーション』の特徴として、成長や変化のスピードが早く、それは今後も続いていくのだろうな、と思っています。
かなでに合う人材は、そういった「変化を続けること」に共感をしてくれる人なのかな?と。
そうだと思います。
実際、トップダウンの面もまだまだあるのですが、現スタッフのみんなも「自分たちでやっていこう!」という意識をもって働いてくれているように感じますね。
スタッフひとりひとりが組織に大きな影響を与えることができることは、新しい組織ならではの醍醐味ですね!
その伸びしろを楽しめる方に是非検討して頂きたいですね!!!
訪問看護とフィジカルアセスメント
かなでさんはカンファレンスも充実していますね。
ありがとうございます。
週に1回、看護のカンファ、多職種のカンファ、全体のカンファのいずれかは開催しています。
それは設立当初から?
いえ、最初は訪問がギチギチでカンファレンスの余裕がなくて…。
でも、
徐々にケアの統一感がなくなっていったり、
看護の方向性を悩んでいるスタッフがでてきたりする中で、
そんなことをみんなで共有し合えたらいいねと話しながら現在の体制を模索していったような感じです。
訪問件数やスタッフ数が増えていくことに応じつつ、つくりあげていった体制なんですね。
あと、こちらも特徴的だと感じたのですが、フィジカルアセスメントの講習を、定期的に外部講師を呼んでされているとか?
そうなんです。
今年度からはじめたばかりですが、年4回開催していく予定です。
それはどのような経緯でやることになったのですか?
スタッフのひとりがその先生の講義に参加していたことがキッカケでした。
私は最初、フィジカルアセスメントに対して
「要はバイタルサインとアセスメントだよね」
って程度の認識でしたが、訪問看護におけるフィジカルアセスメントの重要性を説かれ、そこまで言うなら一度受けてみるかと、講義に同行をしました。
そうしたら、「自分が知っているフィジカルアセスメントとちょっと違うぞ!」と感じて。
これはステーションのメンバーにも受けさせようと思った?
そうですね、スタッフにとっても有益な情報だなと。
具体的に、訪問看護の現場でフィジカルアセスメントの重要性を感じる場面はどんなときなのでしょうか。
訪問の現場って、「いつもと違う症状が出ている」ときが必ずあるじゃないですか?
例として心不全をあげると、
もともとその方に心不全があるとわかっていたら、「この症状は心不全が悪化しているのかも?」と気づけるかもしれませんが、当初の目的が骨折のリハビリで訪問に入っていて、「(そもそも)心不全がある方」といった事前情報がない場合は自分で違和感に気づいていく必要があります。
整外の先生からの依頼で骨折のリハビリで入ったけど、実は内科系疾患もあったぞ、みたいなケースでしょうか?
そうそうそう!
「リハビリ目的で行ってね」って言われて、
訪問したら突然「息が苦しいんだよね」って咳をし始めたとか。
そこできちんと身体が看られる看護師やリハビリスタッフがいたら、「この症状は呼吸器感染だけじゃなさそうだ」とアセスメントできる。
病院だったら様々な検査が受けられるし、医師の診察もすぐに受けられるけど、在宅って本当に手と目と聴診器とっていうぐらいしか判断材料がないんですね。
バイタルセットで測れるものしかないなかで、
そこから思考できる強さが必要かなって私は思うんですよね。
訪問看護への転職を検討される看護師さんの中には「一人で訪問に行くことが不安」と話す方が多いですが、フィジカルアセスメントの能力があれば、そこの不安感もかなり変わってくるのでしょうね。
そうですね。そのスキルをひとつ持っていることは単独で訪問に行くことへの自信にも繋がると思います。
この研修を通して、
「訪問看護の現場でフィジカルアセスメントがどうして大事なんだろう?」
っていうことをメンバーが意識をしてくれることを期待しています。
訪問看護師を増やしたい! 小児看護から始まった認定への道
ここからは片桐さんのご経歴についてお伺いしていきたいと思います!
まず、ご出身はどちらなのでしょう?
出身は東北の仙台です。
看護学校は青森県で、卒業後に仙台に戻るという選択肢もあったのですが、なんとなく東京に行っちゃえ!と軽い感じで上京してきた21歳でして…(苦笑)。
いえいえ、若い時はそういった勢いが大切だと思います(笑)。
新卒のときは病院に?
はい、大学病院の循環器の内科・外科担当でした。
そこに3年、そこからまた異動して…と、その大学病院自体は8年かな?
退職後は、結婚や2度の出産で5年ほどのブランクがあります。
ブランクが5年ということは、まだお子さんが小さな頃に復職されたんですね。
そうなんです(汗)。
なので、託児所付きの病院で短時間勤務をしていました。
そこから在宅にはどのような流れで…?
実は私、学生のときから小児科に興味をもっていて、より小児の経験ができる働き方を検討していました。
最初は、小児のクリニックで探していたのですが、転職サイトの担当者さんから「在宅でも小児は看れますよ」と案内されたのがキッカケでした。
小児がみたくて在宅に、という流れはちょっと珍しいですね。
ちなみにその当時は在宅にどのようなイメージをお持ちでしたか?
私の時代は在宅の実習もなかった年代だったので、特に興味も関心も持つ機会がなかったんです。
ただ、実際に訪問看護をはじめてみて、
「面白い!」
って思ったことはよく覚えています(笑)。
どのような点が面白いと思いました?
利用者さん宅で、ピンポン押したら「こんにちはー!」ってお家の中にズンズン入っていくんです(笑)。
病院時代は患者さんやご家族への言葉遣いや接し方をすごく厳しく言われていて、それ相応の心理的な距離感もあったので、
在宅の現場での、ご利用者との信頼関係や関係性の近さはとても新鮮でした。
あとは、
訪問看護師の一言でご家族を勇気づけられたりとか、
意思決定を支えられたり
ということも良いなと思いましたね。
病院だと、「これは先生に聞いてから答える」とか看護師からは言えないことが多く、もどかしさを感じることも多かったんです。
もちろん、訪問看護にも先生からの指示書はありますが、
利用者さんが「いま聞きたいこと」にその場で答える役割の多くは、私たち訪問看護師に委ねられていますし、
それが病棟看護とは違った距離感の近さに繋がっているのかな、と感じています。
片桐さんが訪問看護の認定をとろうと思ったキッカケは何だったのでしょう?
これも実は小児なんです。
訪問看護ステーションで小児を受けている事業所って本当に少ないじゃないですか?
そこで、
「小児科を受けているステーションを増やしていきたい!」
↓
「そのためには訪問看護師を増やさないと!」
↓
「訪問看護の認定をとれば、より訪問看護を広められるかもしれない!」
と考えたんですよね……、なぜか(苦笑)
なるほど(笑)
実際に認定をとってみていかがでした?
それは違いましたね(笑)。
そんな漠然とした動機で認定資格をとったのですが、実は今一緒に働いているメンバーと知り合ったキッカケは認定資格でして…
そういった意味では貴重な出会いを与えてもらえた、大きな転機でしたね。
そういった繋がりを築けることも資格取得の1つの魅力ですね。
ほかに資格を取得して変わったことはありますか?
はい、
認定のための勉強会で自分自身の知識を更新していくことができる点も良いですし、認定看護師同士の繋がりで最新の情報を共有できることも役立ちます。
外部研修にこういうのがあるらしいよ、ってことをスタッフにも紹介ができますね。
たしかに、訪問看護ステーションは病院と比べると新しい情報にアクセスしづらいという面はありますよね。
ちなみに、こちらには認定看護師が3人いらっしゃいますが、他のスタッフから「私も認定とりたいです」「特定行為の講習を受けたいです」という声があがったらどうしますか?
まだ具体的な制度はつくっていないのですが、会社としても支援していきたいなと思っています。
実際に、「より認知症を勉強していきたい!」と言っているスタッフもいますよ。
それを伺うと、(認定をとることで)結果的には訪問看護の仲間を増やすことに成功しているような感じもしますね(笑)。
そうだと良いのですが(笑)。
「在宅で最期を迎えることは怖くない」と教えて頂けた、あるご家族の最期
片桐さんにとって、印象深かったご利用者のエピソードを教えてください。
1番最初に「訪問看護が楽しい」って思えた、キッカケをくれた方がいます。
その方は、60代の癌末期の女性でした。
少し珍しい苗字の方だったのですが、私の知っている方にも同じ苗字の方がいて「あれ?」と思っていました。
余命1か月と、本当に末期から介入したので、癌もかなり進行していましたし、麻薬の影響でせん妄もあって、印象がかなり変わっていたのですが…。
結果的にお知り合いの方だったのですか?
はい。
実は私の義母のお友達で、何年も前に一緒にご飯を食べたこともある方だったんです。
そのことをお話するか悩んだんですけど、結果的に「○○の義理の娘です」とお伝えすると「あぁ~!」と分かって頂けて。
それから私が担当に近い形でケアに入りました。
そんなご縁が…。
義理のお母さまはそのご友人の容態のことをご存知だったのですか?
詳しくは知らなかったと思います。
ご本人の希望で、友人や知人には「この身体は見せたくないから来ないで」とおっしゃっていました。
なので、義母もお見舞いに行っていなかったかと。
調子のいいときは「あのときは楽しかったのよ」と、義母と一緒にやっていたコーラスの話をしたり、「(コーラスの)先生は元気かしら」と回想したり、楽しそうに思い出を語っていらっしゃいましたね。
その方は、癌と知ったときから「治療はしない」「抗がん剤もしない」と決められていました。
最期まで病院には行かず、自宅で家族と過ごしたい、と。
相当の覚悟ですね…。
そうですよね。
最期のとき、緊急コールが鳴って駆けつけると、もうあと数時間という容態でした。
そこでは「今はこういう状況ですよ」というお話をして退出しましたが、ご家族は不安だったのでしょうね、
少ししたらまた呼ばれて再び現地に向かいました。
そこにはお子さん達やそのご家族、赤ちゃんも来ていました。
ご主人が手を握り、奥様に向けて手紙を読んでいるんですね。
闘病生活中、ずっと書き溜めていたみたいで、「こんなことがあったね、あんなことがあったね」と……。
本当に絵にかいたようなお看取りの場面というか…。
泣けてきちゃいますね…それは……。
はい……。
あの経験があったからこそ、私はいま他の利用者さんにも
「在宅で最期を迎えることは怖くことではないよ」
「穏やかに最期を迎えられるよ」
って、言えているのだと思います。
実際の在宅のお看取りは必ずしも穏やかなものばかりではないですが、訪問看護をはじめたばかりの頃にそういった場面にご一緒させてもらえたことは、私にとってもかけがえのない経験になりました。
あの経験がなかったら、ここまで訪問看護を続けられていたかわからないですね。
片桐さんが、「いろんな訪問看護師にターミナルを経験して欲しい」と仰っていたのはそういった原体験があったからなのですね。
スタッフの色、利用者さんの色、「かなで」の意味
ところで、「かなでケアステーション」の社名はどこからきてるんですか?
それ利用者さんからもよく聞かれます(笑)。
かなでは「奏でる」っていうところからきてるんです。
人はそれぞれいろんな色を持ってるから、それをみんなで活かして奏でられたらいいよね、ハーモニーがつくれたらいいよねって。
スタッフだけじゃなく、利用者さんやご家族、連携先のケアチームの方々もいろんな色を持っていて、そこでチームとしてハーモニーを奏でられるように、という意味合いですね。
あとは、漢字では「奏でる」と「捧げる」は語源としてリンクしているらしいんですね。。
もともと神様に奉納する雅楽とか音楽を演奏するのが「奏」ってところに変わったそうで。
私たちは、持てるものを差し出すというか、
技術だけではなく、スタッフの思いも含めて、
神様ではないですけどみなさんに奉仕する、捧げるっていう意味もあります。
めちゃくちゃしっかりした理由が込められてるじゃないですか!
一部はあと付けですけど(苦笑)。
ちなみに、『スキマスイッチ』が好きな人がいたからとかそういう意図は?
有名な曲の『奏』ですよね?
そういった意味はなかったのですが、後からその曲を知った社長が一時期ずっと聴いていました(笑)。
(笑)。
本日はありがとうございました!
取材を終えて
東京都小平市で2017年10月に事業所を開設した『かなでケアステーション』。
訪問経験が豊富な男性OTが代表を務め、その脇を3名の訪問看護認定看護師が固める、異色とも贅沢とも言える布陣でスタートをした訪問看護ステーションで、メンバーのポテンシャル通りの結果として順調な拡大を遂げている組織です。
その運営スタイルは、様々な訪問看護ステーションを経験してきたメンバー達だからこその視点をもって、「スタッフの働きやすさ」に細心の気配りを持たれているように感じられました。
今後も引き続きの成長が期待できる組織なので、その「組織の成長・変化」を前向きに楽しめる方にこそマッチする職場だと思いますよ!
取材・文章:一和多義隆
事業所情報
事業所名 | かなでケアステーション |
---|---|
運営会社 | 株式会社Colors |
所在地 | 東京都小平市仲町182-3 |
最寄り駅 | 西武新宿線「小平」駅(徒歩11分)、西部多摩湖線「青梅街道」駅(徒歩12分) |
在籍人数 | NS10名、PT3名、OT5名、ST1名、ケアマネ1名 |
従業員の平均年齢 | 40代前半 ※30~50代のスタッフが在籍 |
ステーション詳細 | » より詳細なステーション情報を見る |
本日は東京都小平市に2017年にOPENした『かなでケアステーション』で管理者をされている、訪問看護認定看護師の片桐智江さんにインタビューをいたします。
よろしくお願いいたします!