精神科訪問看護は◯◯

インタビュー先の事業所とご担当者様

渡辺 隆仁さん 代表理事 看護師

クローバー訪問看護ステーション板橋

板橋区

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板橋区の不思議エリア「ときわ台」には○○がたくさん!?

一和多

本日は、東京都板橋区で精神科特化の訪問看護ステーションを運営されている『クローバー訪問看護ステーション板橋』管理者の渡辺さんからお話を伺います。 

よろしくお願い致します。 

渡辺さん

よろしくお願いします! 

一和多

「クローバー訪問看護ステーション板橋」は、ステーション名「板橋」と入っていますね。 

やはり板橋区」に思い入れがあってこの名前に? 

渡辺さん

はい。 

まずは板橋区の精神科訪問看護を支えたいという思いからこのステーション名としました 

一和多

たしか板橋区には精神科の病院多いとか?

渡辺さん

そうですね、他の区と比べると多めです 

専門の病院があると、病院の近くにもともと住んでいるだけでなく、病院に通うために引っ越してくる方もいので、その分野の患者さんも地域に多くなっていくのだと思います。 

一和多

そうなのですね 

 

ちなみに、板橋区の土地柄や、エリア的な特徴何かありますか

渡辺さん

板橋区って、他の区と比べても広いので一概には言えないんですね…(汗)。 

 

ただ、例外的な話でも良ければ、うちのステーションがある東武東上線の「ときわ台」駅はなぜか裕福な方が多いです

一和多

え、ちょっと意外ですね!? 

渡辺さん

ちょっと駅近くを歩いただけでも、とても豪邸が多いんですよ 

東武東上線でもときわ台だけ特別ですね(笑)。 

一和多

「ときわ台」…なぜ……(汗) 

渡辺さん

理由はわからないです(苦笑)。 

 

ちなみに、ほかの東武東上線沿線にはそう大差はなくて、埼玉に近づけば近づくほど、その土地に長く住んでいる方が多いのかな?という印象です。

原動力は◯◯! 様々なキャリアの果てにたどり着いた精神科訪問看護!

一和多

早速ですが、渡辺さんのご経歴をお伺いさせてください! 

ご出身が新潟とお聞きしましたが、どのようなキャリアを? 

渡辺さん

はい。 

新潟で高校を卒業後、専門学校を出て『臨床検査技師』として7年ほど勤務しました 

一和多

キャリアのスタートは技師さんだったのですね! 

しかも結構長く働いていらっしゃ 

 

そこからどのようにして看護師になろうと思われたのですか 

渡辺さん

臨床検査技師は、検体を預かって、検査してデータを見るという仕事なのですが人と接する機会があまりない仕事に飽きてしまい…(汗) 

 

では何をしよう考えた際ちょうど介護福祉士という資格ができた時期でして。

現場経験が3年あれば国家試験の受験資格がえられるということだったのでそれならやってみようかなと考えました 

一和多

人と触れ合う仕事に惹かれた感じですね 

渡辺さん

そうですね。 

 

ただいざ施設で介護士をしながら資格をとろうと思っていたときに、たまたま母が見つかったんですね。 

余命一年足らずで、入退院繰り返して、自宅で過ごしていときは訪問看護入っていました。 

渡辺さん

ある日、他の家族が出かけていて、1人のとき点滴にトラブルが発生しました。 

 

母があたふたしているのを見て、自分もあたふたしい、電話して訪問看護師さんを呼ぶ以外に何もできなくてさらに慌てて…… 

 

結果的には、看護師さんの到着を待っている、母に何もしてあげられなかったんです 

一和多

それはもどかしい思いをされたでしょうね 

渡辺さん

はい…。 

 

その後私が介護士として3年働いている母は亡くなったのですが、そのときの無力感ずっと残りました 

いざというときまた何もできないのではないか?」このまま介護福祉士の資格をとることに悩むようになりました。 

 

そんな時に施設の看護師さんから「看護師をやってみれば?」言われ、そこから『看護師』を意識するようになったんです 

一和多

看護師になったのはお母様のことがキッカケにあったのですね。 

 

東京へはいつ頃いらっしゃったのですか? 

渡辺さん

新潟には正看の学校は少なくて働きながら通えるところはどこだと調べていくとはり東京の学校だ、ということになりました。 

その当時、上京して学校に入ったのが30歳を過ぎたでした 

 

入学したの精神科病院の付属看護学校で、そのまま付属病院へ入職しました 

一和多

どうして精神科を選ばれたのですか? 

渡辺さん

実習のときに、精神科が妙に合うなと思ったのがきっかけです 

 

もともと私はしゃべることが好きなので、患者さんの話を聞いて自分なり解釈して、アドバイスしてという精神科看護の流れが自分にマッチしたのだと思います。 

 

本人の不安や困りごとを一緒に考えて、本人が納得して、それがうまい方向に進んでいくをみることはやりがいがあるなと。 

一和多

精神科には男性看護師が多い印象がありますが、やはり「男性」という強みを活かしたいという思いもありました 

渡辺さん

それもありました 

調子が悪い人は男性スタッフが担当につくということが多くて、頼りにされているな、と。 

 

男性ならではの看護ができる仕事なのかなと思ったところも精神科を選んだ理由のひとつもしれません 

一和多

訪問看護はどのような経緯ではじめられたのですか? 

渡辺さん

精神科は入退院を繰り返す方が多のですが、退院してもすぐに戻ってきてしまう方もいて、「どうしてだろう?」と思っていました 

 

治療がうまくいっていないとか自宅に戻って調子を崩したとか理由は様々なのですが、

 

「入退院を繰り返さないために何かできることはないのかな?」

と。 

渡辺さん

反対に、慢性期の病棟にはまったく退院できないがいて、

 

どうして退院できないろう?

病院とは違援助が必要なのかな?」

 

こちらにも疑問を持ちました。 

一和多

その疑問の先に訪問看護があった?

渡辺さん

そうですね。 

 

あとある程度病院での経験を積んできて、そのまま病院に残って管理職になるよりも、より現場に近い仕事をしたいと考えたときに訪問看護が頭をよぎったというのも…(苦笑)。 

一和多

なるほど。 

 

臨床検査技師から介護士そして看護師

新潟から東京

病院から在宅へ…

その時々環境の変化もあるのですが、何よりも渡辺さんご自身の好奇心強く突き動かされている感じがしますね(笑)。 

渡辺さん

そう!!! 

 

好奇心は私の一番ベースかもしれません 

興味があることに飛びつく性格なんです(笑)。

精神科訪問看護は怖くない? そもそも地域で暮らすご利用者って◯◯だよね?

一和多

ここからは、こちらのステーションの特徴についてお伺いさせてください! 

 

都内の訪問看護ステーションは電動自転車を移動手段に使用していることが多いですが、

こちらでは電動自転車に加えて原付バイクも使用されているとか? 

渡辺さん

はい、スタッフ全員ではなく希望者のみですが、原付を使っているスタッフもおりますね。

一和多

都内の訪問看護って雨の日も合羽を着て自転車訪問していますよね? 

 

個人的な意見としては屋根付きの原付の方かないつもっています(苦笑) 

渡辺さん

私もそう思います 

なので、屋根付きも3台あります(笑)。 

一和多

ただ、原付って特に女性は苦手意識がある方が多いですよね 

事故が心配とか。

渡辺さん

それはよく言われますね。
最初は「全然乗ったことがないので…」と言う方も、慣れていくとビュンビュン走れるようになっていくのですが…。

ただ、原付はあくまでも希望者のみなので、電動自転車のみで訪問をしているスタッフもたくさんいますよ。

一和多

今は、自転車も車道を走ることが多いですし、そういう意味で原付と大差ないのかもしれませんね

渡辺さん

はい。

徐々に慣れていけば良いので、怖がらずにまずは乗ってみてもらいたいですね! 

一和多

精神科特化のこちらのステーションですが、ご利用者さんはどのような方が多いですか 

渡辺さん

依存症の方が多いですね。

アルコール依存症や薬物依存症など…。 

 

スタッフがスーパー救急出身の男性看護師が多いも影響しているかもしれません。 

渡辺さん

あとは放火や殺人など重大な他害行為を行ったのち医療観察法の適応となった精神患者さんへの訪問もあります。

 

こういったケースは複数名で訪問しています。

一和多

それはちょっと、怖いと感じてしまう方もいそうですね 

渡辺さん

そうですね。 

 

ただ、大原則として

精神科で訪問看護を受けている方は、病院というステージを経て、地域やお家で過ごせるくらいに精神症状は安定している状態です 

 

「怖い」と思われる方がいるのも理解はしているのですが、そういったイメージを少しでも変えていけるといいと思っています 

一和多

たしかに、そもそも大変な症状にある方は病棟・施設から出られないですものね。 

 

が精神科訪問看護のこと案内する際「医師が地域で過ごせると判断した方が対象なんですよと伝えるようにしています 

渡辺さん

本当そうなんですよ! 

 

退院後、調子が悪くなれば我々も入院勧めています

当然の話ではあるのですが…

 

リスクが垣間見れる方への訪問や、

そもそも精神科訪問看護に不安があるスタッフの場合は、スーパー救急出身の他スタッフからのフォローも受けれるんですよね??

渡辺さん

もちろん大丈夫です 

 

経験がないとやはり不安があると思いますが、

最初は当然、同行訪問からスタートしていきますし、

そのあともしっかりサポートしていきます 

一和多

それは心強いですね! 

精神科のご利用者からの、「◯◯」という言葉の受け取り方

一和多

渡辺さんが出会ったご利用者さん印象深かったはいらっしゃいますか? 

渡辺さん

1人、うちのステーションとしても絶対に忘れられない方いますね。

渡辺さん

50代の女性の方でした。 

 

独身の方なのですが、年齢に対してかなり若々しい印象の方で年下の方とお付き合いして、恋愛相談を受けることもありました 

彼氏とうまくいかないとか。 

渡辺さん

我々に不満なり不安なりをいろいろ話してくれるので我々もそうかそうかいて…

 

信頼関係を構築しながら、なんとか自宅で過ごしてい方でしたね。 

渡辺さん

ある日、訪問したときに応答がなくて。 

 

連絡もないし、電話も出ない。

家にいるのかいないのかもわからない 

 

普段はそういうことが全くない方だったので。 

隣に住んでいた大家さんに相談したところカギを開けてくれました 

渡辺さん

中で縊首していたんですね…。

 

理由は、本人にしかわかりません 

一和多

それは……。 

 

なにか兆しあったのですか? 

渡辺さん

うーん…、

直前の訪問でもたしかに元気はなかったのですが、死をほのめかす発言はなかったので、我々もそこまで深くは心配していなかったんですよね…

一和多

ご病気はなんだったのですか? 

渡辺さん

双極性障害ですね。 

 

だから、調子が高くて多弁なときもあれば、低くて発語すらないときもありました。 

でも、通院も服薬もできていましたし何かあったら電話くださいね」と言えば電話してくれていましたし大変そうなときは会いに行けばなんとかなってました。 

渡辺さん

信頼関係築けていると思っていましたし、亡くなる間際の訪問のときに「これは入院しなくちゃ」とまでは思うようなシグナルは全く感じ取れなかったんです 

 

まさかこういう結末になるとは思わなくて我々もかなりショックを受けましたね…。 

一和多

精神科訪問看護で利用者さんが自殺してしまうことどれくらいあるものなのでしょうか 

渡辺さん

滅多にないですがないことはないという温度感ですね…。 

正直な話、サインを見つけるのはとても難しい…。 

渡辺さん

利用者さんで「死にたい」言う方は結構いらっしゃいます

口癖のように…。 

 

こちらもいつものこと」「また言ってるという感覚沸いてくることもありましたが、この姿勢は正して、すべてしっかりと受け止めようスタッフみんなで話し合いました 

渡辺さん

病院はすべて管理されていて、刃物もなければ人も常にいます 

 

在宅はなんでもありますから 

刃物もあれば、すぐ首も吊れるし、飛び降りられるし、飛び込めるし 

 

在宅では、もっとシビアに考えたほうがよいねという話しました。 

いつもの口癖の人でも、軽く考えないでしっかり見ようと。 

一和多

精神科看護における、病院と在宅の大きな違いということですね。 

渡辺さん

はい。 

 

なので、ちょっと話はそれますが、

訪問看護では担当制だったりチーム制だったり様々ですが我々の特徴のひとつとしては担当を持たないようにしています。 

 

看護師それぞれ感じ方が違うので

多くの人の見方で関わって、それ共有して、

利用者さんの状態を意識的に色々な視点から集めています 

一和多

複数の看護の目を入れるということですね。 

 

利用者さんにとっても様々な関わることで、社会トレーニングのひとつになりそうですね 

精神科病棟の患者さんと、精神科訪問看護の利用者さんとの違いは◯◯

一和多

精神科訪問看護でこんなところはすご楽しいとか、やり甲斐あるなと感じることはありますか? 

渡辺さん

やり甲斐ですか…言葉にするの難しいですが… 

 

 

精神疾患の方は、素直な方が多いですね。助けてほしいということを素直に表出してくれます。 

 

それ受け止めて、応えて、すると当然その反応が返ってくる 

 

そのときにあれ嬉しかったとか一緒に解決できたねみたいな感情の共有いいますか…なんとも表現できない感じがあるんですね(笑)。

一和多

それ病棟のときとは違うものなのですか?

渡辺さん

これがまったくうんですよ(笑) 

 

病棟は患者さんの基本スタンスが「嫌」ですから。 

入院がまず嫌ですし、そこにいる看護師も、先生も基本嫌いなんです 

 

よく分からない薬、規則正しい生活寝てれば起こされ、ご飯早く食べろ、風呂も早く入とすべて押し付けられているイメージだと思います。 

一和多

治療のためとはいえ、徹底的に管理される生活は息が詰まりそうですね…。

渡辺さん

そうですよね! 

だから「看護師が怖い」と仰る方もいます 

 

でも、在宅では我々は味方なんです。

 

入院しないために我々がいますよ地域でうまく生活していくために我々協力します、サポートします。なるべく入院したくないですよね 

いったスタンスなんすね 

一和多

地域で暮らすための、二人三脚のートナのような存在ですね!

渡辺さん

そうなんですよ! 

近所づきあいで困っているとか、家族との関係で困っているとか、利用者さんによって様々ですが、その間の架け橋になる立場でいられたらいいですね。 

一和多

本日はありがとうございました!

取材を終えて

一和多

東京都板橋区「ときわ台」駅。大きなお宅も散見される閑静な住宅街を抜けた集合住宅の一室に事業所を構える「クローバー訪問看護ステーション板橋」。

精神特化のこちらのステーションでは、精神科スーパー救急病棟出身の男性スタッフが多数在籍されております。

 

男性比率高めのこちらには、どこか男臭い無骨な空気も流れつつ、精神科領域においてはそれが心強くもあり、また、人によってはカラッとしたドライな職場の雰囲気が心地よく感じられるかもしれません。

 

板橋エリアの精神科訪問看護に真っ向から取り組んでいきたいというはもちろん、

精神科訪看ならではのワークライフバランスの良さに惹かれた方も気軽にご検討ください。

 原付バイク、慣れると絶対に楽ですよ!(笑) 

 

事業所情報

事業所名 クローバー訪問看護ステーション板橋
運営会社 一般社団法人フォーリーフ
所在地 東京都板橋区前野町2-4-5 大商第一マンション303
最寄り駅 東武東上線「ときわ台」駅(徒歩8分)、都営三田線「本蓮沼」駅(徒歩20分)
在籍人数 看護師21名(常勤1名、非常勤20名)、作業療法士1名(常勤1名)、精神保健福祉士(常勤1名)
従業員の平均年齢 30代半ば
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