「強み」がありすぎる訪問看護ステーション

インタビュー先の事業所とご担当者様

伊藤 京子(いとう あつこ) さん 看護師 管理者

YMG訪問看護ステーション新横浜

横浜市港北区 周辺

理事長の信念と挟持。 赤字でもいいから良い看護を提供しろ!

一和多

今回は「新横浜」「菊名」の地域医療を長年支えてきた横浜メディカルグループ(以降、YMG)の『YMG訪問看護ステーション新横浜』で管理者をされている伊藤京子(いとうあつこ)さんにインタビューをいたします。 

 

本日はよろしくお願い致します! 

伊藤さん

よろしくお願いします。

一和多

まずこちらの組織体制についてなのですが、医療法人全体の中で在宅部門を統括されている『YMG在宅支援センター』があり、その部門の中に、

『YMG訪問看護ステーション新横浜』、

『YMG訪問介護ステーション新横浜』、

『YMG居宅介護支援センター新横浜』、

『YMG訪問看護ステーション菊名』

といった4つの事業所が入る。 

 

部門全体を統括するセンター長が『伊藤弘子』さん、

新横浜で訪問看護の管理者が『伊藤京子』さんと、

 

ダブル「伊藤」体制なんですね(笑)。

伊藤さん

偶然ですがそうなんです(笑)。

 

センター長が病院でいう「看護部長」のようなポジションで、私がいない時の現場サポートもしてもらっています! 

一和多

それは心強いですね! 

 

組織図をみていても、医療法人としてかなり在宅に力を入れている印象を受けます。

伊藤さん

うちの理事長の意向なんです。 

 

病院の立ち上げ当初から

「地域に根ざす」

「病院から在宅まで」

といった方針を掲げていて、訪問看護ステーションの立ち上げもかなり早い時期からしています。 

一和多

今でこそ「地域包括ケア」や「在宅シフト」と叫ばれていますが、その当時から理事長はなぜ在宅を?? 

伊藤さん

本当のところは理事長でないと分からないですが、 

 

「誰でも病院から家に帰りたいと思うよね」 

 

という、言葉にするとごく当たり前のことを、当たり前に実践たのだと思います。 

一和多

素晴らしいですね…! 

伊藤さん

はい。身内贔屓ではないですが、素晴らしいですし先見の明も持っていると思っています 

全く在宅が根付いていない時代からスタッフをかき集めて自前で訪問看護ステーションを立ち上げているので。 

一和多

いやらしい話、立ち上げ当初、採算は悪かったでしょうね…。 

伊藤さん

そうだと思いますよ(汗) 

 

ただ、お金のことはあまり気にしていない感じがしますね。 

「赤字でもいいから、利用者のためになることをしろ、良い看護を提供してこい」 

今でもわれています。 

 

そのお陰もあってか、うちのステーションは本当にクレームって無いんですよね 

一和多

素晴らしい……(回目)。

「強み」がありすぎる訪問看護ステーション

一和多

こちらのステーションの特徴について、より詳しくお伺いをさせて下さい! 

 

まず、こちらでは原則どのような依頼も「断らない」と聞きましたがそこは? 

伊藤さん

そうですね。 

「断らないステーション」は、目標として掲げています。 

 

その分、新規が集中したタイミングなど、スタッフに負担がいってしまうこともあるのですが…(汗)。 

一和多

訪問看護である以上、急な利用者の出入りは予測できないので、そこは仕方ない面もありますね…(汗)。 

 

「断らない」ための体制づくりとして、特徴的なものはありますか?? 

伊藤さん

依頼があれば、「医師の替わり」からやっています。 

 

例えば、インシュリンの方で

「自分では(管理が)全然できない人だから、指導からよろしく!」

とか、

「ストマを造設した人を退院させるから、あとはよろしく!」

いった依頼を先生から頂くことは多いです 

 

指導から業者とのやり取りから、全て最初から対応するので、依頼を出す先生たちにとっても楽でしょうし、先生たちから信頼をして頂いている点でもあると思っています。 

一和多

こちらですと訪問看護師以外に、訪問介護もケアマネもリハビリもいるので、そこも心強いでしょうね。 

伊藤さん

それもありますね。 

「YMGの看護師さんよろしく!」で全部付いてくる。

伊藤さん

あと、関係性のできている先生ですと、

夜間対応時に

「翌日まで様子をみるか」

「救急車で(YMGの)菊名記念病院に搬送するか」

の判断も任せてもらっています。 

伊藤さん

例えば、地域外の先生が主治医、かかりつけ医が個人クリニックの場合、救急車搬送の時に1からホットラインで搬送先の病院を探すことあるじゃないですか? 

うちの場合は、緊急時も菊名記念病院があるので入院先を探すことがないし、信頼関係がある先生の場合先生と連絡が繋がらない」と困ることもない。 

一和多

グループの菊名記念病院に搬送を断られるケースはないんですか?? 

伊藤さん

ごくごく稀にありますが、原則引き受けてもらえますね。 

 

それは例え、新規のご利用者でも同じです。 

伊藤さん

「断らない」方針なので、本当に様々なケースが舞い込むのですが、うちのスタッフは迷いなく働けていると思いますね。 

一和多

素晴らしい……(3回目)。 

一和多

スタッフの教育体制やフォロー体制はどのようにされていますか?? 

伊藤さん

うちは「1から育てる」とう方針をとっています。 

 

入職時は、最低限、国家試験をクリアする看護知識があればOKで、

あとは入職後の教育・研修スケジュールに則って、「訪問看護での基本的な制度」「安全と感染」「フィジカルアセスメント」、中には「ご自宅にお伺いをすることためのマナー研修」など、基本的なところを習得していきます 

伊藤さん

その他にも、年間を通じたYMGの研修や外部での研修にもどんどん参加してもらいますし、

現場で未経験・不得意な疾患のご利用者を担当する時は得意な子とペアにしますのでそこで相談ができます 

一和多

そこも手厚いですねぇ…。 

 

先程からこちらのステーションの「強み」ばかり挙げ連ねているのですが、さらにさらに、その他の特徴・福利厚生もサラッと紹介させて頂きます(苦笑)。 

 

・独身寮完備 ※まだ新築で新しい!

・託児所あり ※0歳~預かり可!

・資格取得の支援制度あり ※認定資格、特定行為研修

 

等!

 

くどいようですが、なにか他にも追加できるものありますか? 

伊藤さん

う~~~~~~ん、お休みがしっかり取れる、とか? 

一和多

そこも良いですね 

伊藤さん

私の考えとしては、仕事も大切ですがプライベートも大切。 

プライベートが充実していないと、仕事もちゃんとできないので。 

一和多

本当に、素晴らしい環境ですね(4回目)!

伊藤さん

ありがとうございます(笑)。 

 

他所のステーションのことはよく知らないですし、まだできていないことも多いと思うのですが、私自身はすごく働きやすい職場だと思っていますよ。

がん看護からの左遷(?)先としてはじまった在宅分野

一和多

ここからは伊藤さんのご経歴についてお伺いをさせて下さい。

伊藤さん

私のことずっと話していいですか?

一和多

いいですよ(笑)。 

伊藤さん

出身は富山県です。 

その後、大阪で育って、富山に戻りました。 

 

中学生の時から、(特に理由がなく)保健室が大好きだったことから「看護師になろう」と考えました。 

それで、衛生看護科の高校に入って准看護師資格を取得。 

高校卒業後は、東京に出てきて正看の学校に入ったのですが、途中で退学しました。

一和多

えっ!? なぜ???

伊藤さん

地方から出てきた若い女の子にとって東京は誘惑が多く……(苦笑)。 

一和多

なるほど……(苦笑) 

伊藤さん

それで准看護師として働きながら、結婚して出産をして、また准看として働いていたのですが、そこで気づいたんですよね。 

 

「准看は給料が安い」と。 

一和多

はい……。 

伊藤さん

それで、当時2歳の子どもを連れて病院を退職して、実家のある富山に戻り、正看護師資格を取得。 

 

その後は、旦那の出身だった鹿児島県にいき、正看護師として消化器外科病棟に入職しました。 

伊藤さん

入職した病棟が、「がんターミナル」「緩和ケア」に力を入れているところ、すごく楽しかったんですよね。 

「この分野を一生の仕事にしよう!」と思っていた矢先ある日突然、私の机の上にケアマネージャーの入学願書が置いてありました。 

伊藤さん

「これ、なんですか?」と上司に聞いたら、「業務命令です。取りなさい。」と言われるんですね。 

一和多

元々、介護や在宅分野にもご興味があったのですか?? 

伊藤さん

いえ、全く。 

その当時、在宅にはこれっぽっちも興味は無かったです。 

 

それで資格取得をしてみると当然、「在宅の部署にいけ」と言われるんですよ。 

その当時、主任だった私は「これが左遷か…」と思いながら、在宅をはじめました。 

結果、そこから在宅にハマっていったのですが(笑)。 

一和多

左遷先がまさかの天職になったのですね(苦笑)。 

 

そこからどのようにして、こちらの訪問看護ステーションへ??? 

伊藤さん

鹿児島でしばらく働いた後、家庭の事情があって、静岡に転居して、その後に横浜に移り住みました。 

 

その時から、「訪問看護をやりたいな」と思っていたのですが、しばらくは老健や特養で働いていました。 

一和多

なぜ、訪問看護ではなく施設を??

伊藤さん

ちょうど、上の子どもが中学生に上がったタイミングだったので、完全に日勤のみ・定時退社ができる働き方が良かったんですよね。 

一和多

??? 

子どもが大きくなったので仕事の比重を増やすのではなく?? 

 

伊藤さん

普通はそうなのですが、私の場合は「自分の子どもだから、中学生になったら遊ぶに違いない」という確信があり…(笑) 

一和多

なるほど(笑)。 

伊藤さん

しばらくは、子どもたちにブーブー言われながら家に居座り、「もう大丈夫だろう」となったタイミングで「ここからはお母さんは好きなことをするからね」と、ご縁のあったYMGに入職をしたという経緯した 

受け入れの悪いご利用者。 無視された期間はなんと…。

一和多

伊藤さんがこれまで看てこられた中で、印象深かったご利用者のエピソードを教えて下さい。 

伊藤さん

あまり良いエピソードではないかもしれないのですが……。 

 

ご利用者が80前後の男性の方でした。 

奥様はすでに亡くなっていて、お嬢さんが通いでこられている。 

伊藤さん

詳しい疾患は忘れてしまったのですが、気管切開をして人工呼吸器を付けい、発声もスピーチカニューレでする方でした。 

 

ケアの内容が、側臥位をとったり、坐位で排痰ケアをしたりと、本人にとって苦しいものが多かったんですね。 

ご本人もやると楽になること実感していたので、嫌々ながらケアを受けるといった感じした。 

伊藤さん

その方は私と先輩の2名で受け持ったのですが、その先輩は私が入る何年も前から入っていたのですでに信頼関係ができていたんですね。 

ご利用者としても、できればその先輩だけにお願いをしたかったのだと思います。 

 

その結果、私は半年間無視をされ続けました。

一和多

半年間っ!? 

伊藤さん

はい、半年間。 

 

先輩が訪問をした時はニッコリと笑ったり、色々なジェスチャーをされたりするのですが、私のときは見向きもしないし、口もきいてくれないし、入浴介助とかも非協力的で…(苦笑)。 

伊藤さん

半年の間は辛かったですが、「いつか伝わるだろう」と思って、一生懸命ケアをしましたね。 

 

それで半年経った時に、変わったんですよ。 

利用者さんが、「あの人(伊藤さん)でもいいよ」と。 

一和多

それは嬉しかったとは思いますが…… 

よく半年も耐えましたね? 

伊藤さん

事業所に戻るたびに先輩に愚痴ってましたよ(笑)。 

「今日も喋ってくれなかった」「今回はこんなことがあった」とか。 

 

こんなに受け入れの悪い利用者さんはこの方だけだったので、「何でこの人だけ?」とも思いましたが、私も半分意地になっていましたね(苦笑)。 

一和多

ステーションとしては、途中で担当を替えるという選択は無かったのですか?? 

伊藤さん

一緒に担当をしていた先輩の退職などもあり、人手が足りなかったんですよね…。 

当時、他の先輩たちも手いっぱいで、いける人間が私しかいなかった。

一和多

なるほど…。 

それにしてもよく半年間も……

伊藤さん

やっぱりステーションで気持ちを吐き出せていたこと大きかったですね。 

もちろんご利用者の前では抑えていましたが(笑)。 

 

あとは、「精いっぱいのことをしていれば、こちらの想いもいつかは伝わる」という漠然とした感触があったのだと思います。 

「私はあなたのこと、嫌いじゃないよ」と心の中でよく唱えていましたね。 

今後の在宅で生じうる、リスク回避のための『特定行為研修』

一和多

伊藤さんは現在、特定行為研修に通われているとのことですが、なぜ特定の研修を受講しようと? 

伊藤さん

管理者として働く以上、役割的に私が取らないといけないだろうなと。 

 

病棟時代のケアマネ資格と同じですね。 

一和多

なるほど。

ご自身としては特に資格取得へのこだわりはなかった?

伊藤さん

なかったですね。 

 

私が考えるのはスタッフの「働きやすさ」のことなので、私に資格が付いてスタッフが働きやすくなるのであれば、取った方が良いだろうな、程度でした

一和多

数ある資格の中で、なぜ『特定行為研修』を選ばれたのですか? 

伊藤さん

「特定」って在宅を見越した資格ので、今後、必要性が高まることは間違いないですよね 

 

例えば、かかりつけの先生と連携をとる時に、「先生、この方ご飯を食べてませんよ」と報告をすると「点滴やっといて」といったやり取りがあるじゃないですか? 

そこには私たち(看護師)のアセスメントは存在しない。 

 

ただ、これからは、指示をした医師だけではなく、処置をした看護師にも責任が生じる時代になっていく…。 

 

私が特定の資格を取って、現場に入ることができればスタッフを守ることができるのかな、と。 

一和多

管理者がそういった意識を持たれているとスタッフも安心ですね 

伊藤さん

あとは、「専門」や「認定」に比べて「特定」の方が安いという理由も…(ボソッ) 

一和多

(笑)。 

 

本日は、ありがとうございました。 

取材を終えて

一和多

新幹線の停車駅で、横浜の玄関口といっても過言ではない「新横浜」駅に事業所を構えるYMG訪問看護ステーション新横浜』。

グループ全体で多数の病院や施設を運営する医療法人ではありながら、理事長の考えのもと、地域医療や在宅医療にもしっかりと取り組んできた確かな実績と信頼を持った訪問看護ステーションです。

 

経験豊富な先輩スタッフ、グループ間での密な連携、ワークライフバランスの良さ、充実した福利厚生、教育フォロー体制 等、こちらの強みを一つずつ挙げていくと「褒めちぎりすぎて逆に胡散臭い」状態になってきます(苦笑)。

管理者の伊藤さんは「(他はしらないけど)すごく良いと思うんですよね、うち」と、シレっと口にされておりましたが、まさにその通り、「一度こちらで働いたら、もう他のステーションでは働けないのではないかな?」と感じさせる、そんな職場でした。 

取材・文章:一和多義隆

事業所情報

事業所名 YMG訪問看護ステーション新横浜
運営会社 医療法人 五星会
所在地 神奈川県横浜市港北区大豆戸町666-1 新横浜YMGアネックス1F
最寄り駅 横浜線「新横浜」駅 徒歩8分
在籍人数 看護師:6名、理学療法士:4名、ケアマネ3名
従業員の平均年齢 30代後半 ※20~50代のスタッフが在籍

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