訪問看護、はじめました
インタビュー先の事業所とご担当者様
富澤 佐由理さん 管理者
めぐみ訪問看護ステーション
東京都・多摩市 / 京王相模原線「京王多摩センター」駅、小田急多摩線「多摩センター」駅 徒歩3分
家族も大喜び! 『キティちゃん』に会える訪問看護ステーション!?
よろしくお願いします。
こちらのクリニック・訪問看護ステーションは『キティちゃん』でお馴染みの『サンリオピューロランド』の目の前ですが、遊園地の前にある訪問看護ステーションは初めてです(笑)。
そうだと思います(笑)。
私もそのような事業所さんは聞いたことないですね~。
なんでも忘年会もピューロランドでされたとか?
そうなんですよ(笑)。
ゲストとして、『キティちゃん』や『ポムポムプリン』が螺旋階段から降りてきて。
忘年会には、グループのスタッフに加えてスタッフのご家族も招待をするので、小さなお子さんがいるご家庭には大変喜ばれますね。
こちらでは福利厚生として、配偶者・お子さん・両親・配偶者の両親まで診療費を無料にしていたり、出産・育児をされる方への保育関連の補助をしていたりと、ご家族への配慮やサポートが大変行き届いていますね~!
そうですね。本当に有り難いです。
20代で新婚さんの訪問看護スタッフには、
「私は子どもが4人欲しいんです!」
と言っているメンバーもいるんですよ(笑)。
4人とはすごいな~(笑)。
ジブリ映画『耳をすませば』の舞台でも進む、高齢化の影
多摩市って一昔前に開拓された新興住宅地といったイメージがあるのですが、実際はどのようなエリアになりますか?
多摩ニュータウンって、35年くらい前にできた本当に最初のニュータウンでして、その時に建てられた古い団地が多いんですよね。
もう若い世代は出ていってしまって、高齢者のご夫婦や独居の方が多いかなぁ…。
新宿まで一本で出ることもできますし、近くに大学もあるので、若い世帯が住んでいてもおかしくない感じはしますけどねぇ…?
若い世帯や子育て世帯はもう少し奥にいって、八王子や南大沢に住んでしまうんですよね。
アウトレットもありますし、建物も比較的新しいものが多いので。
なるほどなぁ…。
このエリアは丘陵地帯になっていて坂が多いんです。
例えば、『聖蹟桜ヶ丘』も同じ多摩市内でここから近いのですが、ここも坂道が多くって、一軒家でも玄関に入るまで階段が何段か、といったお宅があります。
ジブリ映画の『耳をすませば』の舞台ですよね?
あれも坂道や階段の描写が多いイメージです。
まさにそう!あのイメージですね!!!
こちらの住人も若い時は良かったのですが、高齢になって体力が衰えてくると生活が難しくなってしまう方が多いですね…。
ほとんどご自宅から出ない高齢の方もおります。
高齢者にはやや暮らしづらいエリアなんですかね…。
ただ、年を取られてからですと、経済的にもお気持ちとしても、住み慣れたエリアからの引っ越しも難しいですしね(汗)。
クリニック併設のメリット多数! 気軽に相談できる医師が隣にいる働きやすさ!
こちらの訪問看護ステーションの特徴を教えて頂けますか?
まず、クリニック併設でのステーションという点は大きいですね。
元々クリニックに通っていた患者さんが、通院が難しくなって訪問看護に切り替えるというケースもあります。
また、同じ部屋の中に、往診部、居宅事業所、訪問看護ステーションが一緒にいる点も特徴だと思います。
医師やケアマネがすぐ横にいるので、利用者さんの情報共有が密にできて、それはすごく働きやすいですね。
医師も気軽に相談しやすい方ばかりですので。
それは働きやすいでしょうね~!
やはり訪問看護単体の事業所ですと、連携する医師へ確認をしたいと思っても、なかなかできないのが実情ですものね。
そうですね。
連携先が病院の医師ですと、地域連携室を通すので、さらに返事は遅くなりますよね…。
うちの訪問看護ステーションに入職した看護師には、
「医師がすぐ近くにいる事業所の方が働きやすいかと思って、こちらにしました」
というメンバーもおりますよ!
週1パートからはじめて師長まで! 引っ越しや子育てと共に変えていった働き方!
富澤さんのご経歴について教えて頂けますか?
私は学校卒業後に10年間同じ総合病院で勤めたのですが、結婚した主人が転勤族で、その後は地方を転々としています。
出産・育児もあってしばらく専業主婦をやっていた時期もありました。
その後、多摩市に転居をした際、子育てに影響のない範囲でと、週1回のクリニック外来のパート勤務を始めたことが、めぐみ会に入ったキッカケです。
それからは、子どもの成長につれて勤務日数を増やしていって、雇用形態も非常勤から常勤に切り替えて、長く勤める間に主任、副師長、師長をさせて頂くことになりました。
週1からパートから始めて師長までなったのですね~!
訪問看護はいつから始められたのですか?
3年前からですね。
ちょうどクリニックで訪問看護ステーションを立ち上げることが決まって、自分から希望したというよりも、上から指名をされての異動でした。
訪問看護を始めることへの抵抗感はありましたか?
ありましたねぇ…。
「病院のような処置をご自宅でできるのか?」
「ゴミ屋敷のようなお家があったらどうしよう?」
「未経験で恥ずかしい…」
とか、色々と考えていました(苦笑)。
ただ、実際に訪問看護をはじめてみると、そんな心配は全く問題なかったです。
在宅では病院のような高度な技術を求められることは少ないですし、訪問看護が入る前に包括支援センターやケアマネが入るので、そこまで大変なご家庭も少ないように感じています。
訪問看護での技術的な面も特に問題はなかったですか?
そうですね。
訪問看護をはじめる前に参加した研修で、研修先の管理者さんから、
「訪問看護は、看護技術よりもお家の中に入っていくうえでの立ち振舞や節度がしっかりしていければ、怖がることはないんですよ」
といったアドバイスを頂いて、実際に訪問をはじめてから本当にその通りだと思いました。
医療的な処置よりも、その方の生活に寄り添っていくことが多いので、看護師としての経験に加えて、人生経験が役に立ったことも多いかなと思っています。
実際にされてみて、訪問看護のお仕事は楽しいですか?
いまでは天職だと思っていますよ(笑)。
自分に合っていると感じますし、「もっと早くやれば良かったな~」とつくづく思っています。
おぉ、それほどとは!
具体的に訪問看護のどのような点が合っていると感じましたか?
病棟や外来だと、どうしても忙しいじゃないですか?
うちは外来で毎日500~600名の患者さんが来るので、一人一人に時間をかけてあげることができないことが、ずっとジレンマに感じていました…。
訪問看護でしたら、決められた時間をその方のためだけに使うことができるのが良いですね。
あと、すごく感謝をされるんですよ。
一人一人と向き合った看護ができて、「ありがとう」と言って頂けて、それでお給料までもらえる。
訪問看護は本当に良い仕事だなと思っています。
老後を夢見て建てた新築一軒家。 40代新婚のご夫婦が過ごした最期の時間
富澤さんにとって印象深かった利用者さんのエピソードを教えて頂けますか?
ごくごく最近なのですが、まだ若い40代のご夫婦は印象深かったですねぇ……。
まだ結婚して1年くらいの新婚さんで、大変にこだわって建てたばかりの新居にお住まいのご夫婦だったんです。
ただ、ご主人が末期ガンで、病気もかなり進行してしまい、状態は良くなかったんですね。
「病院での治療は希望しない」という方針だったので、うちからは訪問診療、訪問看護、居宅でお手伝いをさせて頂いておりました。
新婚さんでしかも新築のお家でしたら、ご自宅への想い入れは、それは強かったでしょうね…。
そうですね…。
奥さまも私たちも、最期は病院になるかと思っていたのですが、ご本人が「どうしても家で過ごしたい」と希望をされて、結局最期までご自宅で過ごされましたね。
こだわって建てたというお家はどんな感じだったのですか?
平屋でバリアフリーのお家なんですよ。
40代後半でのご結婚でしたので、これからお二人が年を重ねていって、「将来は車椅子になっても暮らせるように」と考えて建てたお家だと伺いました…。
それは…悲しすぎますね……。
ご病気がわかったのはお家が建ってからなのですか?
これはご主人が亡くなった後に教えて頂いたことなのですが、ご病気があることは結婚する前からわかっていたらしいんですよね。
奥さまはご家族から(結婚を)反対されたらしいのですが、
「好きになった気持ちと、病気は関係ない」
と言ってご結婚をされたそうです。
「一緒にいた時間の三分の二は病気でした」と奥さまは仰っていましたね…。
本当に気持ちの通い合った、仲の良いご夫婦だったのですね…。
そう。お互いを「ちゃん付け」で呼び合っていてお互いが大好きで、本当に仲良しでラブラブなご夫婦でしたよ。
それから、ご主人がだんだんと具合が悪くなっていくにつれて、奥さまもどんどん痩せていってしまって…。
「ちゃんとご飯を食べないとダメですよ」
「何かあったらいつでも電話してくださいね」
と言ってはいたのですが、電話も緊急もほとんど無いご利用者さんでした。
最期は希望通りお家で息を引き取られたのですが、私が駆けつけた時は奥さまが泣き崩れていて…。
本当に見ていられない状態でした……。
後日、落ち着かれてから、
「いつでも連絡をすれば来てもらえるとわかっていても、それでも週末の看護師さんが来ない日は不安がいっぱいで…。
日曜日は、「明日になれば看護師さんが来てくれる」と思って安心をしました。」
と、いった思いを打ち明けられていました。
奥さまも色々と葛藤があったのでしょうね…。
そうだと思います…。
それから、まだご遺体もある時に、ご主人の家族からも「最期の時の様子を聞かせてもらえませんか?」という連絡を頂きました。
ご主人の両親と弟さんに、
「最期はどのように過ごされていたのか」
「週末になると弟さんが来ることを楽しみにしていたこと」
「元気だった時にされていたスキーのお話をされていたこと」
といった最期の暮らしぶりのご様子をお伝えしました。
弟さんも大変涙を流していたのですが、「安心しました」と仰っていましたね。
奥さまもその他のご家族も、訪問看護では利用者さん本人だけでなく、その周りのご家族へのケアも非常に重要となりますね。
本当にそう思いましたね。
家族看護やグリーフケアについて、改めて考えるキッカケになる経験でした。
訪問看護はいつ始める? 「経験」という財産と、「若さ」という価値!
最後となるのですが、訪問看護への転職を検討されている方に向けたメッセージをお願いします!
私は総合病院で働いていたのはかなり昔なのですが、それでも、いま訪問をまわっている中で、病棟の時の経験が活きているなと思うことが多々あるんですね。
いま病院で働いている方は、まずは病院での経験をしっかりと積んで、そしてどこかで訪問看護をやって欲しいなと思います。
やはり訪問看護は病棟経験をしっかり積んでいないと難しいですか?
10年も20年も病院で働いた方が良いとは言わないのですが、ある程度は病院での経験を積んでいった方が良いと私は思います。
ただ、訪問看護の現場に若い人が必要なのも事実なんですよね。
若い人が必要???
高齢の利用者さんは若い人を見るだけで元気が出るんですよ。
訪問が若い看護師だと、それはもうニコニコしちゃって(笑)。
若い人って、ただいるだけでエネルギーがあって、高齢の利用者さんの生活に華をそえる存在になるんですね。
私はそれも立派な価値なのかなと思っています。
なので、まずは病院で経験を積んで頂いて、それで若いうちに訪問看護を始めて頂けると良いですかね(笑)。
本日はありがとうございました!
取材を終えて
東京都多摩市「多摩センター」駅からほど近く、目の前には『サンリオピューロランド』や『ベネッセ』の東京本部が構える『めぐみ訪問看護ステーション』。
都内に複数のクリニックを展開する医療法人が運営する事業所というだけあって、人材や施設は非常に充実したものでした。
同グループが運営するクリニックと連携をしつつ、医師やケアマネとの二人三脚で働ける環境のメリットは、訪問看護の経験者であれば痛いほど感じるのではないでしょうか。
ちなみに、ピューロランドでアーティストのコンサートがある時などは、事業所の目の前がファン達による長蛇の列で埋め尽くされるそうです(汗)。
取材・文章:一和多義隆
事業所情報
事業所名 | めぐみ訪問看護ステーション |
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運営会社 | 医療法人社団めぐみ会 |
所在地 | 東京都多摩市落合1-32-1 多摩センターペペリビル4F |
最寄り駅 | 京王相模原線「京王多摩センター」駅、小田急多摩線「多摩センター」駅 徒歩3分 |
在籍人数 | 9名(看護師:常勤3名・兼任6名) |
従業員の平均年齢 | 40代前半 |
本日は多摩市をメインとして、南大沢・杉並・目黒・自由が丘など、様々なエリアでクリニックや在宅サービスを提供する医療法人社団めぐみ会の富澤さんに取材をさせて頂きます。
なお、富澤さんは多摩エリアの『めぐみ訪問看護ステーション』で管理者をされております。
よろしくお願いします!