昭和63年からの訪問看護 、
そして
インタビュー先の事業所とご担当者様
伊藤 文子さん 所長
調布訪問看護ステーション
東京都・調布市 / 京王線「調布」駅 徒歩15分
昭和63年! 訪問看護制度がはじまったばかりの時代ならではの苦労…。
こちらこそ、貴重なお時間をありがとうございます。
取材を開始させて頂く前に、
先日、弊社からご紹介をさせて頂いた看護師さんはその後いかがですか?(汗)
いま、私と一緒に同行して頂いておりますよ。
まだ働き始めて日が浅いので、職場に慣れるのはこれからだと思っておりますが、
真面目で良い方なので心配はしていないです(笑)。
それは良かったです!安心しました(笑)。
では、早速なのですが、伊藤さんが訪問看護をはじめられた経緯についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
はい。
訪問看護をはじめる前は病院や産業保健師として働いておりました。
それから結婚して出産・育児でのブランクを10年ほどはさんだ後、昭和63年から行政の訪問看護指導を始めました。
老人保健法が施行され訪問看護制度が法的に整備されたのが昭和58年だということを考えると、本当に訪問看護制度の黎明期から開始をされたのですね。
そうなりますね。
ちょうど東京都が潜在看護師の掘り起こしに動いていた流れに乗っての復職が、訪問看護指導だったという経緯ですね。
その後、調布医師会での訪問看護ステーションの立ち上げに参画をいたしました。
その年代を考えれば当然ではあるのですが、立ち上げ時のメンバーは伊藤さんをはじめ、訪問看護業務の経験が無い方々ばかりというイメージでよろしいですか?
はい、本当にゼロからのスタートでしたね。
初めての取り組みで、医師も看護師も行政もわからなかった時代です(笑)。
今でこそ訪問看護に対する理解や認知も浸透してきているかと思うのですが、当時は色々と苦労も絶えなかったでしょうね…。
いま思い返すと大変でしたね(笑)。
そもそも訪問看護指示書をもらうだけでも一苦労だったので…。
先生が指示書を書いてくれなかったということですか?
そう、最初は先生方に理解をして頂くことからでした。
クリニックを一件一件まわっていって手渡しで指示書をお願いしていき、そのやり取りが郵送になるまで2~3年はかかりました(笑)。
ひえ~~~~!!!
訪問看護がスタートしたばかりの頃って、どこもそんな感じだったのですかね…。
ちなみに利用者さんの方はどうでしたか?
利用者さんは特に苦労はなかったですね。
訪問看護がスタートする前、行政の訪問看護指導で月2回は利用者さんへの訪問がありましたので、その利用者さんが訪問看護ステーションに移行してきました。すでに信頼関係ができていたのは大きかったと思います。
訪問看護ステーションの立て直し請負人が考える、スタッフが定着する職場とは?
調布医師会の訪問看護ステーションを経験した後は、どのようにしてこちらの訪問看護ステーションにこられたのですか?
ご縁ですかね~。
前職のステーションの定年退職が近くなったころ、同じく調布市医師会の会員でもあったこちらの病院の理事長に声をかけて頂いたのがキッカケです。
ちょ、ちょっと、すいません。
前職で定年が近かったというと、失礼ですが伊藤さんの現在のご年齢は…?
えぇ、ここはカットでしてもらえますか?(笑)
(—自主規制—)歳です。
おぉ…(汗)。
伊藤さんに限らず、ベテランの訪問看護師の方って、なぜか皆さん若々しいですよね。
いつまでも元気に若いスタッフと一緒に仕事を続けられることが秘訣ですかね(笑)。
現在の病院の理事長に声をかけて頂き、こちらのステーションでは管理者として入職をされたのですか?
そうですね。
実は、私がこちらで声がけを頂いたのは、前任の管理者も看護師も全員退職をされるタイミングでして、私はステーションの再建のための参画でした。
これまたゼロからのスタートだったのですね…。
いま振り返ると大変な職場の状況下ですよね(笑)
ステーションを立て直すうえで工夫した点などはございますか?
すごく当たり前のことではあるのですが、
「みんながストレスなく、働きやすい職場」を目指さないといけないと思いました。
そのために必要なこととして、
・働きやすくするためのルールをつくること
・役割分担をしていくこと
・新任に対する研修を充実させること
を心がけました。
どれも大切なことばかりですね。
例えば、どのようなルールを導入されましたか?
一例をあげると、カルテの可視化ですね。
うちはチーム制を取っていて、可能な限り全スタッフが全ての利用者さんを訪問できるようにしています。
その為にカルテにインデックスをつけて見やすい・追いやすいようにして、情報共有が進むよう工夫をしています。
情報共有は緊急対応の面からみても有効ですね!
他にも意識したことなどございますか?
メンバーの年齢層や構成も意識はしております。
管理者の年齢、スタッフの年齢の構成などはバランスを考えて採用したいと思っています。
管理者を中心としてしっかりとまとまったチームをつくるって、訪問看護ステーションの運営をしていくうえでの最大の課題の一つだと思います…。
そうだと思います。
そういった点でもメンバー構成を考えることは非常に重要ですね。
新規契約・サ担・退院カンファ! 新任看護師は管理者との同行に2週間!!
先程のお話の中で新任研修について触れられておりましたが、
こちらでは新しく入ったメンバーはどのように教育をしていらっしゃいますか?
同行訪問については特徴的かと思いますね。
どのように特徴的ですか???
まず同行訪問の期間として、経験者でも2ヶ月弱、未経験者であれば3ヶ月は同行期間を設けております。全スタッフとも同行をしています。
あと新任は最初の2週間近くは私に同行をしてもらい、訪問看護の現場から、新規契約、サービス担当者会議、退院カンファなど、様々な現場をみてもらいます。
契約は管理者のみといった事業所もありますが、こちらではスタッフに業務全体をみてもらうのですね!
そうですね。
やはり看護業務だけではなく訪問看護がどのように行われているのか、全体像をみてもらった方が良いと私は思っております。
凄く良いと思うのですが、最初から様々な現場をみて回ると、訪問看護未経験の新任だと最初は頭がパンクしちゃいそうですね…。
その点も非常に気を遣っていますね。
これは新任に限った話ではないのですが、スタッフが不安を抱え込まないように配慮した環境作りはすごく大切です。
管理者や先輩、同僚にいつでも相談ができる体制や、雰囲気づくりは常に心がけてます。
伊藤さんのお人柄でしたら、すごく気軽に相談ができそうです(笑)。
そう言って頂けると嬉しいです(笑)。
悩んでいそうな時は周りから情報が入りますので、本人の話を聞いたりして不安をなくすような努力をしています。
経験不問! 未経験者でも小児看護をしっかり学んでいける職場!
そろそろ最後となるのですが、
これからの調布訪問看護ステーションの展望について教えて頂けますか?
積極的に小児の利用者さんを受け入れていきたいと思っています。
いま現在も小児の利用者さんは多いのですか?
はい。現在は、リハビリも含めると13名の小児の利用者さんを受け入れています。
私たちが訪問をしているエリアでは、小児を取れる訪問看護ステーションが少ないということもあり、都立小児總合医療センターや成育医療センター杏林大学病院等から依頼を頂いております。
小児での病棟経験の無い方ですと、小児に対して抵抗感のある看護師も少なくない印象があります。
伊藤さんからみた小児の魅力などはいかがでしょう?
そうですね~~~、まずは子どもが可愛いってことですかね(笑)。
あとは、子どもって不思議な力があって、その子はその子なりに、できないことができるようになっていくのですよね。
その発達や成長の過程に立ち会えることは小児の醍醐味だと思います。
それは高齢者の利用者さん相手だと感じづらい感覚かもしれませんね。
自分自身も子育ての経験がありますので、お母さんの相談相手にもなれるというのもやり甲斐の一つかと思っています。
何かしらお母さんの不安を取り除いてあげられると嬉しいですね。
お話をうかがっていると、小児看護もまたやり甲斐がありそうですね~!
ちなみにこちらでは、小児未経験の看護師さんでも採用はされているのですか?
小児に力を入れている訪問看護ステーションですと、経験者ばかりということもございますので…。
うちは小児も訪問看護も未経験者大歓迎です!
私を含む、チームでしっかりとサポートをしていきますので安心して働けると思います。
わかりました!
弊社でも、調布近隣のエリアで小児看護をやってみたい・訪問看護をやってみたいという方のご相談を頂いた際は、またご紹介をさせて頂きますね。
是非よろしくお願いします。
ちなみに、先日の病院での経営会議で、「訪問看護に特化した良い看護師の方をご紹介して頂けるので今後宜しくお願いします。」と、御社のことを理事長に話をしておきましたよ(笑)
な、なんと、、、、!!!
ありがとうございます。身が引き締まる思いです(笑)。
(笑)。
世の中の潮流として在宅シフトが叫ばれておりますが、まだまだご自宅に帰りたい方を支えていくには人員が足りていない状況です。
訪問看護師として、一緒のチームで働いていける方は是非ご検討を頂けると嬉しいですね。
弊社でも訪問看護の魅力を看護師さんに伝えていけるよう微力ながら頑張ります!
本日はありがとうございました!
ありがとうございました。
取材を終えて
今回取材をさせて頂いた伊藤さんは、忙しい訪問看護ステーションの所長業務と並行しつつ大学院へ通われて、「訪問看護ステーションの再生」というテーマで研究を行っていたそうです。
伊藤さんがこれまでの経験を基に実践と研究を重ねながら創り上げていった調布訪問看護ステーションで、訪問看護の大ベテランである伊藤さん本人から、看護業務やステーション運営のノウハウを学んでいける職場って、非常に贅沢だと思いませんか?
取材・文章:橋本和彦
事業所情報
事業所名 | 調布訪問看護ステーション |
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運営会社 | 医療法人社団桐光会 調布病院 |
所在地 | 東京都調布市下石原3-45-1 |
最寄り駅 | 京王線「調布」駅 徒歩15分 |
在籍人数 | 常勤看護師7名 非常勤看護師2名 常勤リハビリ4名 常勤事務1名 |
従業員の平均年齢 | 36.3歳 (※所長を除く) |
こんにちは、本日はよろしくお願いします。