病院が忘れがちなもの、在宅で養われるもの

インタビュー先の事業所とご担当者様

嶋口 みどりさん 管理者

グリーンメディ訪問看護ステーション明大前

東京都杉並区 / 京王線「明大前」駅 徒歩10分

杉並区と世田谷区の区境『明大前』にて訪問看護・リハビリ・介護サービスを展開!

一和多

本日は、杉並区「明大前」駅で、在宅での看護とリハビリを行う「訪問看護」、機能訓練中心型の「デイサービス」、 福祉用具のレンタルから住宅改修までを扱う「福祉用具貸与・販売」、そしてケアマネジャーによる「居宅介護支援」を運営される『グリーンメディ』さんで、訪問看護の管理者をされている嶋口さんに取材をさせて頂きます。

よろしくお願い致します!

嶋口さん

よろしくお願い致します。

一和多

実は、弊社がグリーンメディさんを知った経緯といたしまして、こちらと同じエリアで長年訪問看護の管理者をされていた看護師さんから、オススメのステーションとしてご紹介を頂いたことがキッカケなんですよね。

嶋口さん

そうなんですか!?

ちなみにどなたですか???

一和多

(○○ステーション)の(□□)さんという方です。

嶋口さん

あ~~~!!!

(□□)は同じ看護学校の後輩なんですよ、実は(笑)。

一和多

そうなんですね!!!

いや~~~、色々な事業所さんを回らせて頂いていつも思いますが、在宅って本当に狭い業界ですね(笑)。

嶋口さん

狭い狭い(笑)。

旦那の転勤に合わせて北へ南へ! 行く先々で不思議とご縁のあった訪問看護!

一和多

早速ですが、嶋口さんのこれまでのご経歴について教えて頂けますか?

嶋口さん

私の出身は青森県でして、高校卒業後に東京に出てきました。

進学したのが杏林の看護学校だったのですが、その時は杏林で医学部や看護学校が、まだできたばかりの時だったんですよね。

私が看護で二期生でした。

一和多

ちょうど新設のタイミングで入られたのですね~。

入職はそのまま杏林の大学病院に?

嶋口さん

はい。

杏林で立ち上げたばかりの ICU・CCUに新人なのに配属をされて、そこでめちゃくちゃシゴかれましたね(笑)。

師長さんはとっても厳しい方でしたし、患者さんも大変な方が多くって…(汗)。

嶋口さん

結局、2年とちょっとで身体を壊してしまい、病院を退職して青森の田舎に帰りました。

一和多

ちょうど一番大変な時期の一番大変な部署に新人で当たってしまった、という感じですかね…(汗)。

青森に戻られてからは何を?

嶋口さん

看護職は続けたかったので、市立病院や県立病院で働いていました。

皮膚科や循環器科が長かったですね。

嶋口さん

それから結婚をしたのですが、主人が転勤族だったので、主人の転勤に合わせて職場を転々としました。

一和多

転勤先でも、同じく看護師は続けていたのですか?

嶋口さん

そうですね。

出産などで多少のブランクを挟みながらではありますが。

その後、北海道に引っ越した際、そこで在宅・訪問看護をはじめたという経緯です。

一和多

訪問看護を始められたのには、何かキッカケなどあったのですか?

嶋口さん

まだ子どもが小さくてパート勤務ができる職場を探していたということもあるのですが、

あとは、うちのおばあちゃんですかね。

嶋口さん

家におばあちゃんがいたのですが、知らぬ間に糖尿病になっていて、脳内出血を起こしていることがあったんですよね。

当時は、身近にいたのにどのように看れば良いかも分からなくって…(汗)。

それで「在宅での看護」に興味を持ったのだと思います。

一和多

当時ですと、在宅や訪問看護に関する情報も、まだまだ世の中に少なかったでしょうしね…。

嶋口さん

まだ介護保険が始まる前で、やっと老人だけでなく難病も訪問看護の対象になったばかりという時代でしたね。

一和多

ちなみに、はじめて経験された訪問看護の現場はどうでしたか?

嶋口さん

老々介護で大変な環境のご家庭を看たり、足や股関節が屈曲してしまった利用者さんに見よう見まねでリハビリをしたりと、病院ではできなかった様々な経験ができましたね~。

一和多

その後はずっと在宅で?

嶋口さん

それから旦那の転勤の都合で福島へ引っ越して、そこでは病院に勤めたのですが、訪問看護経験者ってことで在宅にまわされました。

嶋口さん

その後、青森に戻って施設でケアマネをしていたのですが、入職した後に訪問看護ステーションにまわされ、そこでも在宅をやることになりましたね(笑)。

一和多

何だかんだ、行く先々で在宅へのご縁はありますね(笑)。

嶋口さん

本当そうですね(笑)。

スタッフ全員が小児未経験! 退院前の病棟で築いたお母さんとの信頼関係!

一和多

再び青森に戻られてからは、訪問看護ステーションの管理者を経験をされていますが、はじめての管理者業務はいかがでしたか?

嶋口さん

いやぁ…大変でしたね……。

最初は常勤3人しかいなかったうえに、請求などの事務作業も半分やっていたので。

また、24時間体制にしたり、難病の利用者さんを取ったりしているうちに、新規の利用者さんもドンドン来るようになってしまい。

一和多

そちらでは、主にどのような利用者さんを受けられていたのですか?

嶋口さん

小児、難病、お看取りまで、医療依存度の高い方も比較的受けていましたね。

一和多

小児も取られていたのですね!

メンバーに小児病棟の経験者はいらっしゃったのですか?

嶋口さん

それが、経験者がいなかったんですよ!

そこで、小児を看るためには全体の流れを知らないといけないと思って、前職の県立中央病院の総婦長にお願いをして、2~3週間かけてスタッフ全員を順番で小児病棟に研修へ行かせたんですね

病室でお母さんとコミュニケーションを取って、お母さんが何をやっているかを見てくる。

そうするとお母さんとの信頼関係も築けるので、在宅に入ってからもスムーズに介入できたんですよね。

一和多

期間長めの引き継ぎと退院カンファレンスって感じです?

嶋口さん

そうそう!

一和多

ご利用者が少なくて大変な時期もあったようですが、運営体制を整えて、ステーションを大きくしていって、立派に管理者をされていたんですね~!

嶋口さん

まぁ、そうですね~。

スタッフ数が9名に届くころには、学生の実習も引っ切り無しに来ていたのですが、カンファレンスにも必ず参加をさせて、それも丁寧にやっていましたね。

一和多

後輩の育成にも力を入れていた?

嶋口さん

病院とは違う在宅の役割があるってことは、しっかりと伝えていかないといけないと思ったんですよね。

一和多

成り行きもあって在宅で働かれていたような感じもありましたが、その時にはもう、「訪問看護で働き続けよう」って気持ちになっていました?

嶋口さん

そうですね~~~。

訪問看護が楽しかったですし、病院に戻る気は無くなっていましたね(笑)。

(現在は)24時間対応なし! リハビリ・介護スタッフが多数所属する職場!

一和多

グリーンメディ訪問看護ステーションさんの特徴を教えて頂けますか?

嶋口さん

比較的若いメンバー、子育て中のメンバーが多いですかね。

あと、訪問看護の認定看護師が1人います。

一和多

メンバー間での情報共有はどのようにおこなっていますか?

嶋口さん

毎朝、全員で朝礼とカンファレンスをやっていますね。

あと、直行直帰はないので、訪問後の帰りにも必ずコミュニケーションを取るようにしています。

一和多

社内のコミュニケーションや情報共有はしっかりされているのですね。

嶋口さん

そうですね。仲良くやっていると思いますよ。

看護チームのみでお昼にランチミーティングをしたりもしますし。

一和多

こちらでは看護師の他に、在宅リハビリテーションやデイサービスも持たれていますが、他職種との連携も多いですか?

嶋口さん

はい、看護とリハビリで同じ利用者さんを担当することもありますので、そこの連携もしっかりていますね。

嶋口さん

あと、うちはリハビリのスタッフがたくさんいるので、看護師がリハをやることはまず無いですね。

訪問に活躍する自転車がずらっと
一和多

利用者さんはどのような方が多いですか?

嶋口さん

リハビリの方が多くて、脳血管の後遺症、整形外科、難病の利用者さんも取っています。

現在は24時間対応をとっていないので、ターミナルの方はほとんどいないです。

一和多

これからはどのようなステーションを目指していく予定ですか?

嶋口さん

現在はリハビリ寄りのステーションになっているのですが、これからは24時間体制をしっかりと整備しつつ、精神でも小児でも難病でも、より医療依存度の高い方も受け入れていくステーションを目指していきたいと思っています。

忘れられない一言! お通夜の席でご家族から頂いた感謝の言葉

一和多

これまで看てきた利用者さんの中で印象深かったエピソードを教えて頂けますか?

嶋口さん

青森のステーションで働いていた時のご家族ですかね。

嶋口さん

利用者さんは90歳を過ぎている元お医者さんで、お嬢さんが薬剤師、ご子息が大学で病理の先生をされているようなご家庭でした。

奥さまはすでに亡くなられていて、その時はお嬢さんと二人暮らしで。

一和多

どのような状態だったのですか?

嶋口さん

膀胱がんでしたね。

高齢でしたし、ご飯も食べられない状態で。

ある日、具合が悪くなって緊急で駆けつけたのですが、意識が落ちてしまって、心臓マッサージをやることになったんです。

一和多

在宅で心臓マッサージ!?

嶋口さん

そう(笑)。

なかなか聞かないですよね。

息子さんから連絡があって、

「今から向かうから、心臓マッサージをしてくれ!」

と言われるんですよ。

一和多

結局、ご子息は間に合ったのですか?

嶋口さん

はい、なんとか死に目に間に合うことはできました。

嶋口さん

後日、その利用者さんのお通夜にいった時に、

「最期を自宅で迎えることができたのは、皆さんのお陰です」

「訪問看護師さんに来て頂いて、本当に良かった」

と、弔問のお客さんが皆さんいる前で、息子さんから感謝の言葉を頂けたんですね。

 

それがすごく嬉しかったことは今でも覚えています。

一和多

利用者さん・患者さんがお亡くなりになった時の関係性の深さは在宅ならではですね。

嶋口さん

そうですね。

病院でしたら看護師も余裕がないので、人の死を死として受け入れる間も無く、スーっと過ぎていってしまいますから。

嶋口さん

一方で、在宅で1人の利用者さんを長く看ていると、「一期一会」のような感覚になっていくんですよね。

一和多

一期一会???

嶋口さん

その方が生きてきた間どれだけ良いお友達や仲間がいたとしても、最期を看取るのは自分なのだと思うと、これには何かのご縁があったのだと感じるんですよね。

嶋口さん

「最期は自分が看取ってあげたい」と思えてきますし、亡くなった後はご家族と一緒になって涙を流します

それが在宅なんですよね。

病院の視点と在宅の視点! これから求められるバランスの取れた看護観!

一和多

最後に、現在訪問看護を検討中の方に向けたメッセージをお願いします!

嶋口さん

う~~~ん、、、私はバランスが大事だと思っているんですね。

 

これからは病棟の経験と在宅の経験、どちらもバランス良く持っている看護師が良いのかなと思います。

一和多

どちらの視点も必要ということですか?

嶋口さん

そうですね。

病院では生活や家族といった視点が抜けがちなんです。

 

退院後も患者さんの生活は続いていきますし、患者さんの周りにはご家族がいます。

ただ、病院で働いているとそこまで目を向ける視点が養われないんですね。

 

個人的には、家族がいつも置き去りにされているのが病院だと思っています。

一和多

訪問看護ですと、ご家族と関わらざるをえないですものね。

嶋口さん

そうそう。

ご家族がどのような方で、家族背景にどのようなものがあって、そのうえでご本人がいて、トータル的に看ていくことができるじゃないですか。

嶋口さん

一方で、病院でしか経験できないものがあるのも事実なんですよね。

嶋口さん

なので、病院と在宅、どちらも経験をして、バランスの良い看護師になってもらいたいなと思います。

一和多

皆さん、いちど在宅を経験されると、なかなか病院に戻りたがらないんですけどね(笑)。

嶋口さん

そうなのよね~(笑)。

取材を終えて

一和多

新宿や渋谷からのアクセスも良く、杉並区と世田谷区との区境に事業所を構えるグリーンメディ訪問看護ステーション明大前。管理者の嶋口さんは(主に東北の)様々な病院・施設・訪問看護ステーションを経験してきた大ベテランの看護師さんです。転居先での様々なご縁もあり、成り行きで続けられた訪問看護かと思いきや、飄々とした語り口の裏側には訪問看護への熱い想いが見え隠れしていました。

現在のグリーンメディでは、どちらからといえば医療依存度の低い利用者さんがメインになっているようですが、これからは24時間体制も整えて、ますますのステーション拡大を目指していくそうですよ!

取材・文章:一和多義隆

事業所情報

事業所名 グリーンメディ訪問看護ステーション明大前
運営会社 株式会社ライフタイムメディ
所在地 東京都杉並区和泉2-5-60 和泉Ⅱ
最寄り駅 京王線「明大前」駅 徒歩10分
在籍人数 14名(看護師:常勤5名、リハビリ:9名)
従業員の平均年齢 30代後半

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