訪問看護ステーションにおける管理者の役割

[記事公開日]2021/12/21

訪問看護ステーションを運営していく中で管理者の存在は不可欠です。管理者の臨床能力次第で現場の看護の質が決まり、マネジメント次第で組織運営の善し悪しが決まっていきます。今回は訪問看護における管理者の役割・業務について3つのポイントをお伝えします。

 

①現場スタッフのマネジメント

訪問看護ステーションにおいて一番大切な資源は「人」です。経歴も働く理由も違うスタッフが集まる中で、それぞれの強み・弱みを把握すること、目標管理をしていく必要があります。また、特化型のステーションでない限り幅広い領域・対象を受け入れていくことになります。スタッフの不安をいかに取り除いていき、看護の質を保つこと、そして、向上させていくことが重要となります。

具体的には、日々の看護記録、訪問看護計画書・報告書などに目を通して、スタッフの看護展開に必要時アドバイスをしていくことや同行訪問や事例検討を通して振り返りの機会を設けることも質を保つために必要です。そのためには自分自身の臨床能力も高いこと、高めていくことが求められます。

また、スタッフが事業所内外の研修へ参加できるようにスケジュール調整をすることも質向上のため必要となります。

 

②多職種連携の窓口

在宅療養をサポートしていく中で医師、ケアマネジャー、ヘルパーなど複数の職種と連携を組んでいくことが必要です。その際の連絡窓口として管理者がスムーズに対応すること、進捗を適宜把握していくことが大切です。関係機関からの連絡に対し、レスポンスが遅いことや、連携がうまく進まないことは利用者不利益につながるだけでなく、今後リピーターとして新規依頼をいただけない可能性があります。

連携を組む上では、サービス担当者会議や退院カンファレンス、また、地域の勉強会や交流会にも積極的に参加して顔の見える関係を築いておくことも大切です。

 

③経営面もスタッフに意識させる

訪問看護サービスを持続して提供するために経営意識を持つことが大切です。病院で働いていると経営の意識は薄くなりがちですが、訪問看護ステーションでは訪問件数=売り上げとシンプルな構造になっているため、月間の見込み訪問件数を把握し、新規利用者の受け入れや採用等の判断材料にします。また、ケア物品へのコスト意識も持たすことで必要以上の出費を減らしていきます。そのために週次や月次といった経営状況の共有の場を設けることでスタッフ皆に経営面を意識させながら日々のケア提供進めていけると良いです。

 

ここに上げた業務・役割はほんの一部ですが、このように訪問看護ステーションの管理者には、臨床実践能力とマネジメント力の両輪が求められます。そして、どちらか一方だけ優れていても管理者としてうまく機能していくことは難しいと感じています。そのバランスが取れている管理者が運営しているステーションは地域の中で安定した運営をしており、リーダーシップを発揮できているように感じます。

 

転職を検討するみなさまへ

上記のように訪問看護ステーションの管理者次第で、現場の看護の質や経営状況が変わってきます。ホームページやネット情報だけでは、実際の現場は見えてこないです。そのため、事業所見学や同行訪問に行かせてもらい、この管理者のもとで働けるか、しっかり見極めることも大切です。

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藤井 達也

藤井 達也

地元名古屋の大学を卒業後、聖路加国際病院の救命救急センターで看護師として働き始める。高齢者の最期の在り方について疑問を抱く中で、より深く意思決定の場面に関わっていきたいと考え、訪問看護の道へ。現在はウィル訪問看護ステーション江戸川にて訪問看護師として働きながら、教育、採用、管理業務の一端も担っている。
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