訪問看護、新卒から挑戦してみた – 地域で働く看護師のリレーブログ

[記事公開日]2020/07/20  [最終更新日]

訪問看護や在宅医療にかかわる方々から、実際の現場の様子や関わってみて感じた率直な想いを寄せていただきました。バトン形式で不定期でお送りいます。

今回寄稿いたただいたのは、この方!

河村詩穂(かわむら しほ)さん

1992年生まれ。茨城県出身。慶應義塾大学看護医療学部を卒業。ケアプロ訪問看護ステーションに新卒から勤務し6年目。地域で働く若手看護師のコミュニティ「まちのかたすみ。」運営。趣味は飼い猫と遊ぶこと、旅行。

 

訪問看護のハードル

私は新卒から訪問看護の道に進み、この春で丸5年が経ちました。

5年前に比べると、新卒から訪問看護師になることのハードルが、少しずつですが低くなっているように感じます。

都市伝説的な「訪問看護は病棟を○年経験しないと無理」も、いずれは聞かなくなる時がくるかもしれません。

 

きっかけは、実習

私自身が訪問看護を「いいな!」と思ったのは、大学3年生の精神看護実習の時でした。1日だけ精神科特化型の訪問看護に同行する日があり、自転車を漕いで何件かのお宅を一緒に回りました。

マイナーだと思っていた訪問看護でしたが、自転車で回れる範囲に、こんなに訪問看護を利用している方がいるのか!と驚いたことをよく覚えています。

デイケアでは普通に見える人が自宅に帰ると物に溢れて布団の上で暮らしているケース、絶妙なバランスで親子で精神疾患を抱えながら暮らしているケースなど、自宅にお邪魔しないと見えない、その人の「生活」を支えていることが、面白く感じました。

実習では「患者さんの個別性を考えて」と言われていましたが、病院実習ではまだヒヨッコな学生だったこともあり、患者さんの個性や生活がなかなか見えにくく、個別性がハッキリと出ている訪問看護に魅力を感じたのかもしれません。

新卒からの訪看

訪問看護に惹かれた私は、新卒から訪問看護師を採用している訪問看護ステーションに見学に行きました。

当時新卒2年目だった方(のちのプリセプターさんです)に同行させてもらい、1人で訪問をこなしている姿を実際に見て「新卒からでもできるんだ!」と確信し、就職を決めました。

 

もちろん、誰しもが新卒からの訪問看護チャレンジを応援してくれていた訳ではありません。一部の先生や現役の看護師さんから「何かあったときの責任が取れないからやめた方がいい」と言われました。

今思うと、その言葉の裏には「訪問看護=ワンマン看護」のイメージがあったのではないかと思います。1人で訪問し、1人で判断する、そのため「何かあったとき」の責任が個人に降ってくる、というイメージです。

若手が多いステーションでは、最近は「チームで看る」スタンスの所が多い印象です。判断に悩んだ時には電話で相談できる体制を取っていたり、クローズな社内SNSを活用してタイムリーに情報共有をすることで、責任を分散させるような仕組みを取っています。

若手でも訪問看護にチャレンジできるようになった要因のひとつに、ICTの進歩があるのかもしれません。

 

私には同期入職の新卒者はおらず、「同期がいなくて寂しくない?」とよく聞かれましたが、他人と比較されることがない点では、自信がなく焦りやすい私にとっては気持ちが楽で、あまり寂しさを感じたことはありませんでした。

 

ただ、単独で訪問ができるようになるまで、かなり苦労しました。

認知症の方の状態観察と内服セットの訪問から行き始めましたが、基本のフィジカルアセスメント、病態整理、薬の内容などなど、勉強することが沢山ありました。

病院なら患者さんの回転も早いため、多様なケースを見て経験から学ぶことができますが、訪問看護の現場では利用者さんの数も限られており、1つのケースを長く深く見ていくことが多いので、経験から学ぶことに時間を要します。

そのため、勉強でカバーできる知識以外の部分、特に経験則やリスクマネジメントは先輩方のアドバイスが大変参考になりました。当時のヘンテコな質問や意見に真摯に答えてくれた先輩方には、本当に感謝しかありません。

なにより、利用者さんに認めてもらえたことは大きな励みでした。認知症があるものの、看護師のことをよく見ていらっしゃり「まだ、もうちょっとね」と訪問の様子をいつも評価してくれていました。「もう1人で来て大丈夫」と言ってもらえた時は素直に嬉しかったです。

 

徐々にケアの多い方も1人で訪問できるようになり、1年目の終わりには、入職時から訪問していた神経難病の利用者さんのお看取りにも関わらせて頂きました。

2年目には緊急携帯を持ち始め、3年目ではプリセプターをしたり新規契約の時点から受け持ちをさせてもらうことも増えました。

4年目では副所長に就き、利用者さんだけでなくスタッフへの配慮やチーム形成、教育についても考える立場になり、また新たな視点で訪問看護ステーションを見ることができました。

5年目からは、訪問看護や在宅医療の経験を活かした仕事をしたいと思い、訪問看護の傍ら、退院調整のシステムを作る医療ベンチャー会社にも勤め、ダブルワークをしています。

 

怒濤の5年間で、途中体調を崩したりもしましたが、看護学生時代に「これは続かないぞ」と思っていた看護師を、こうして続けている自分に驚きです。

看護師に向いてないのではないかと思うことも度々ありますが、それ以上に、追求しがいのある訪問看護に惹かれているんだろうと思います。

在宅医療の時代になりつつあるので、気になる方は是非、地域に飛び出してみてください。

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ホームケアライン編集部

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