訪問看護の実際と、地域在宅での視点について– 地域で働く看護師のリレーブログ

[最終更新日]

訪問看護や在宅医療にかかわる方々から、実際の現場の様子や関わってみて感じた率直な想いを寄せていただきました。バトン形式で不定期でお送りします。
今回寄稿いたただいたのは、この方!

余谷 真子(よたに まこ)さん

1992年生まれ。三重県出身。2015年に三重県立看護大学を卒業。同年、三重県看護協会訪問看護ステーション「なでしこ亀山」に就職。2019年6月に退職し、同年12月いおうじ応急クリニックに就職。

 

新卒で訪問看護師、という選択

みなさんは、訪問看護と言うと、どのようなイメージがありますか?

 

私は新卒で訪問看護師になり、約4年間訪問看護ステーションに勤めておりました。現在は、外来のクリニックに勤めて、約5か月が経とうとしています。

 

私が訪問看護師になりたいと思ったきっかけは、大学の実習でした。病院での実習では、看護師が業務に追われており、患者様と対等に向き合えていない違和感を覚えていました。しかし、在宅での実習では、看護師が利用者様と対等にしっかり向き合えており、「訪問看護がしたい」と魅力を感じました。

当時は、病院で経験を積んでから訪問看護に進むものと思っていました。しかし、大学の教員に相談すると「新卒で訪問看護にいってはどうか」と背中を押して頂き、新卒訪問看護師になる決意ができました。

 

私は、訪問看護として実際に約4年間働く中で、実習だけでは見えてこなかった様々な世界を知りました。こちらでお話することで訪問看護のイメージを少しでも持っていただけたらと思います。

 

それぞれの不安を軽減して、思いに寄り添うこと

訪問看護の利用者様・家族様は、それぞれ年齢や疾患、更に生活背景、介護力、性格などが異なり、多様な方がいます。例えば、数分前のことも忘れてしまうような認知症の一人暮らしの利用者様、不安が強い利用者様、高齢夫婦だけで暮らす利用者様、癌の末期で自宅へ帰ってくる利用者様などです。

訪問看護師が行う内容は、医師の指示のもと、点滴や清拭、オムツ交換、褥瘡処置などの医療処置や、リハビリテーション、精神的な支援、療養指導、看取りなどの看護ケアがあります。しかし、単純に医療処置や看護ケアを行うのではなく、利用者様・家族様のキャラクターや生活背景を理解し、その強みを活かして個々に合わせたケアを行っていきます。また、多職種連携も行っていきます。

 

例えば、寝たきりの利用者様の痰が増えてきた時のことです。その家族様が「本人の苦しむことはしたくない」と話された場合、「吸引しないとずっと痰が絡まった状態だから息がしづらくて苦しい。吸引をすると一時的に吸引してる最中は苦しいけど、その後は痰がなくなるから息も楽になる。どうしましょう」などの相談を家族様とします。相談や説明の仕方は、家族様のキャラクターや生活背景を理解した上で、変えています。

ある家族様は「口腔内吸引だけはしてほしいけど、鼻からは苦しそうだから嫌だ」と、口腔内吸引だけを実施していました。そのとき、家族様の様々な思いを聞くこと、窒息する可能性がある説明等を行います。加えて、家族様の思いと現状や訪問看護の意向などを多職種で共有します。訪問看護の意向とは、このケースの場合、「現在、家族様での吸引は難しいが、今後吸引できるように支援していきたい」という内容です。そうすることで、今どんな状況かを多職種のチームが把握し、それぞれの専門性を発揮します。例えばDrは「鼻から吸引してもらうと本人が楽になるよ」「何かあったときいつでも連絡してきていいよ」等の説明を家族様へしてくれるケースもあります。

また、看取りのケースでは、家と病院との間で揺れ動く方が多いです。利用者様も家族様も家で看取りたいと思っていても、家で看取ることへの何らかの不安を抱えている場合が多くみられる為、不安や思いを聴きます。そして、利用者様・家族様の不安を軽減や思いに寄り添うことができるように、多職種で話し合い、チームで支えていきます。

このように、訪問看護においては、生活背景とキャラクターを理解した上で、精神的な支援を含む看護ケアを行うことと、多職種のチーム連携を行うことが大切な役割だと考えています。

 

「その人が安心して、その人らしく生活ができる」

現在勤務する外来クリニックは、応急クリニックであるため、患者様の年齢、疾患、症状、重症度は様々です。重症度に関わらず、どの患者様も、不安や辛い思いがあって受診をされているのだと感じます。そのため、不安を軽減し、帰宅後安心して生活して頂けるように支援することが大切なのだと思っています。

よって、在宅でも地域でも、「その人が安心して、その人らしく生活ができる」という視点が大切だと思います。

 

今の私は、外来にて症状も疾患もその人自身もしっかり見ることができず、精神的な支援もできておらず、課題は山積みです。しかし、訪問看護で身についた「その人が安心して、その人らしく生活ができる」という視点は、今も変わらず持っています。また、その人に寄り添いたい、不安を軽減できるケアをしたいという思いもずっと抱いて、日々頑張っています。

百聞は一見に知らずだと思いますので、地域や在宅に少しでも興味がある方は、是非チャレンジしてみてください。もしくは、どんなものかを知るためにも、まずは見学だけでも是非してみてください。

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ホームケアライン編集部

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