自然と、
雑談があふれる空気感
インタビュー先の事業所とご担当者様
片山 智栄さん 所長
桜新町アーバンクリニック ナースケア・ステーション
東京都世田谷区 / 東急田園都市線「用賀」駅 徒歩3分
バランスボールに愛犬に! 多職種スタッフが自分らしく働ける職場!
よろしくお願いします。
用賀駅からこんなに近いのに、日当たりも良く広々とした事業所ですね~!
たくさんのスタッフが働かれていますが、こちらにはどのような職種の方がいるのですか?
看護師、医師、セラピスト、薬剤師、ソーシャルワーカー、ケアマネ、医療事務が、全員同じフロアで働いています。
在宅の事業所で、ここまで多職種が一同に揃っている職場も珍しいですね!
ところで、フロアに大量に置いてある、あのバランスボールは何ですか?(笑)
希望するスタッフは、あれに座りながら作業をしているんです(笑)。
以前に腰痛持ちのスタッフから、
「身体のメンテナンスもしながら働きたい」
という声があがりまして、実際に理学療法士のメンバーが用意をしました。
そういった現場の声を柔軟に取り入れてもらえるのは、スタッフとしても嬉しいでしょうね。
良い意味で堅苦しくなくて、本当に雰囲気の良い職場だな~。
病院では考えられないフラットさ?! 医師と共に学べる在宅の職場!
こちらにいる看護師さんは、皆さん訪問看護のスタッフなのですか?
いえ、うちの看護師は働き方をミックスしているんですね。
訪問看護、訪問診療の同行、クリニック外来、看多機の通いなど、曜日によって業務内容が変わります。
スタッフによって、その業務内容の比率は変わるものなのですか?
そうですね。
その人のキャリアや、興味のある領域を考慮しつつ、アレンジをしてます。
訪問診療の同行で在宅における医学的なことを学んでいきたいというスタッフもいれば、訪問看護でバリバリまわっていきたいというスタッフもおりますので。
同じ職場で働きながら、様々な業務を経験できることのメリットはとても大きいですね。
在宅を希望される看護師さんとお話をしていて、
「患者さんの生活に興味があるのだけど、一方で在宅だと最新の医療から置いていかれてしまうのではないか?」
といった不安の声もよく耳にします。
その気持ちはわかりますね~。
その点、うちの場合は様々な医師と、非常に近い距離感で働ける安心感はあります。
直接聞ける機会も多いですし、医師も含めた多職種が参加する勉強会も頻繁にありますので、英語論文や学会での最新の知見にアクセスする機会もあります。
様々な医師とは、どのような専門の先生がいらっしゃるのですか?
内科系の医師が多いですかね。
ただ、外科、麻酔科、救急、循環器内科、呼吸内科、神経内科など、本当に様々な専門特化した専門医の先生たちが集まってます。
皆さん、「訪問診療をやりたい」「プライマリーケアをやりたい」といった先生たち?
そうです!
「子どもからおじいちゃんまで、総合診療をやりたい!」
という先生たちですね。
在宅をされている医師にも様々な方がおりますが、こちらでは良い先生が集まっている印象がありますね~。
逆に、医師とそれだけ近い距離感で働いて、疲れてしまうことはないのですか???
それはないですね~。
うちはカルチャーとしてフラットな関係性の職場を目指していて、医師であっても、看護師であっても、事務さんでも、本当に関係性に上下が無いんですよね。
隣にいて雑談もしますし、何でも気軽に聞くことができます。
院長や所長や事務長も?
そうそう。みんなフラット。
例えば、診療同行で一緒にまわっている時、医師が看護師に、
「こういう時の栄養どうしよう?」
とか
「排泄管理をどうやってこう?」
とか質問をする場面もあります。
一方的な指示を受けて動くというよりも、ディスカッションをしながら、お互いの役割を発揮しているイメージですね。
それ、大きな病院で働かれてきた方ですと特に、フラットな関係性に度肝を抜かれそうですね(笑)。
そうかもしれません(笑)。
もちろん礼節は重んじますが、
「先生を立てないといけません」
といった考えの看護師はいないですし、医師たちも同じ考えですね。
必要なのものは雑談力?! 病院から飛び出して得た、様々な経験が活きる在宅の現場!
片山さんのご経歴についてお伺いをしても良いですか?
私は出身が福岡でして、看護学校から東京に出てきました。
大学を卒業後そのまま大学病院に勤めて、外科病棟、ICU・CCUなどを経験して、計8年間勤務しました。
その後、一般企業でお勤めになられるんですよね?
それには何か理由やキッカケなどはあったのですか?
看護師として、「医師の指示がないと動けない」感じに違和感を持ったんですよね。
それで、看護師として他にできることはないのかな?、と漠然と思ったことがキッカケでした。
それで病院の外に飛び出してみようと考えまして。
病院から初めての一般企業はいかがでしたか?
いや~~~、大変良い経験をさせて頂きましたね。
病院では外からの電話を取ったこともなければ、手紙も書いたことがなかったので…。
いま振り返っても、一般常識をすごく学ばせて頂いたと思っています。
その後、在宅にはどのようにして進まれたのですか?
実は、私はもともと在宅医療を目指していた訳では全くないんですよね。
一般企業の後に勤めた医療コンサルタントの会社で、そこがクリニックや病院の医療再生・新規開業のお手伝いをする会社だったのですが、そこと現職の医療法人がお取引先だったんです。
そこで、
「桜新町のクリニックが在宅医療をはじめるのに看護師を募集しているからやってみないか?」
とお声がけを頂いたのがキッカケでした。
う~~~ん、本当に「在宅がやりたくて!」というパターンではないんですね(笑)。
そうなんです(笑)。
だから、最初は在宅医療のことを全く知らなかったですし、むしろ「私ができるのかな?」と疑心暗鬼でした。
在宅医療をはじめられてからもう8年とのことですが、実際にやってみていかがでした?
利用者さんの療養生活の多くを担うことになるので、責任の大きい、重い仕事だなと感じています。
ただ、看護師としての専門性を存分に発揮できる場でもあるので、とてもやり甲斐のある仕事だと思いますよ。
片山さんの場合、病院退職後の様々な経験が「在宅で活きた!」って感じがしますね。
本当にそう思います!!!
利用者さんとのコミュニケーション1つとっても、病院だとご病気に関するお話が中心になってしまうのですが、在宅ですと、その方の人生・人生観に関するお話をしていくことになります。
例えば、ご家族の話をうかがって、飾ってある写真を見たりしながらアセスメントをしていくのですが、それってすごくコミュニケーション能力が問われるんですね。
一般企業に入って学んだ、病院以外の世界や働き方、コミュニケーションの取り方はとても役立ちましたね。
在宅ですと、「病気だけを看ていれば良い」という訳にはいかないですものね。
そうですね。
あと、ただご病気の話をしているだけでは話も尽きてしまいますから(笑)。
だから、その時の季節だったり、目にしたニュースだったり、何気ない雑談を重ねる中で重要なヒントを探していく、そういったコミュニケーション能力はとても大切ですね。
喧嘩するほど仲が良い? 80代の三姉妹が介護する106歳の利用者さん
これまで片山さんが看てこられた利用者さんの中で、印象深かった方のエピソードを教えて頂けますか?
本当にお一人お一人から色々なことを学べるので、1つに絞るのは難しいんですけどね…。
そうだなぁ……。
106歳のおばあちゃんを自宅で介護している三姉妹のご家庭ですかね。
106歳の利用者さんの娘ということは、その三姉妹も相当なご年齢?
そう、娘さん達も80歳を超えていたと思いますね。
そんな三姉妹が100歳を超える母親の面倒をみていたんです。
また、その三姉妹が、よく喧嘩をするんですよ(笑)。
えぇ、どんな喧嘩を?(笑)
「食べさせ方がどう」とか「身体の起こし方の角度はどう」とかで。
また、「あの時もそうだったじゃない!」っていう喧嘩のネタが50年前の事とかで(笑)。
お母さんを大事にしていることは共通しているのですが、その方法論でとにかく頻繁に喧嘩をしていましたね(笑)。
利用者さんへの看護とは、また違ったケアが必要となるご家庭ですね(笑)。
本当にそうでした。
ベッドのレイアウト、起こさせ方、オムツ交換の仕方とか、一つ一つを一緒に考えていって、それに加えて三姉妹の喧嘩の仲裁をしたり、三姉妹の腰のケアをしたり(笑)。
お母さんと三姉妹と同時に四人を看ているような感じだなぁ…(笑)
ただ、そんな三姉妹から同時に介護を受けるお母さんも何だか大変そう。
三姉妹それぞれで介護の仕方が微妙に違うので、それによってお母さんも介護の受け方が変わるんですよね。
三姉妹がワイワイ・ガヤガヤとやっているのを、お母さんが見守っているって感じでしたね。
お母さんの容態としては、老衰って感じだったのですか?
はい。心不全と不整脈はありましたが老衰でしたね。
訪問に入った時はすでに寝たきりでしたけど、口からご飯は食べていましたし、ギリギリまで病院にも通えていました。
3年近く経過をみさせて頂いて、安定した状態で長生きをされました。
「最期はご自宅で」というのは、三姉妹も納得されていたのですか?
そうですね。
最初の頃は、少し容態が悪いとすぐに、「レントゲンだ」「採血だ」と仰っていたのですが、検査の必要性や、移動をするリスクについて説明をしていくうちに、段々と「自宅で過ごすことができる」とわかってくださるようになりました。
最終的には、「病院に入院をさせるよりも家の方が良い」と考えが切り替わっていき、ご自宅でのお看取りまですんなりと受け入れられましたね。
ご本人もご家族も大満足だったでしょうね。
そう思います。
三姉妹は「次は自分たちだ!」といった感じで(笑)。
私自身もすごく勉強になりましたし、家族の一員のような感じで関わらせて頂けて、地域に根ざしたプライマリーケアの面白みをとても感じることができたケースでした。
病気を治すための看護ではなく、病気と共に寄り添うための看護
最後になるのですが、在宅・訪問看護を検討している方に、メッセージをお願いします。
看護師の道を選ばれた方って、
「病気を治すために看護師になった」
というよりは、
「病気を患っている方のケアをするために看護師になった」
という方が多いのかなと、個人的には思っています。
病院で働いていると、どうしても「病気を治すためのケア」という感じになってしまうのですが、在宅ですと「病気を患っている方が病気と共に生きていくためのケア」ができる場なんですね。
それは看護師にとって、すごく面白いし、やり甲斐のある働き方なのかなと私は思います。
なので、そのような想いに共感ができる方や、在宅に少しでも興味のある方は、是非、一歩踏み出して足を踏み入れて頂ければと思います!
本日はありがとうございました。
取材を終えて
意外と知られていない『サザエさん』の舞台でもある世田谷区の桜新町。
どこかホッとするような閑静な街並みの中に事業所を構える『桜新町アーバンクリニック』。
その特徴をあげていったらキリがないのですが、事業所内の雰囲気の良さは特にお伝えしておきたいところです。
様々な職種のスタッフが分け隔てなく、どこか温かみのある空気感の中で一緒に働かれています。
また、イベント行事を大事にされているこちらでは、お花見をしたり、マラソンをしたり、キャンプをしたり、時には利用者さんと一緒にジャム作りをしたりと、まるで学校のようなイベントが盛りだくさん。
片山さんいわく、そんなイベントの数々が、利用者さんとのコミュニケーションをとる、貴重な雑談のタネになっているそうですよ!
取材・文章:一和多義隆
事業所情報
事業所名 | 桜新町アーバンクリニック ナースケア・ステーション |
---|---|
運営会社 | 医療法人社団プラタナス |
所在地 | 東京都世田谷区用賀2-15-5 2F |
最寄り駅 | 東急田園都市線「用賀」駅 徒歩3分 |
在籍人数 | 看護師13名 ※全員が常勤スタッフ |
従業員の平均年齢 | 30代後半 |
本日は世田谷エリアでのクリニック外来・在宅訪問診療・訪問看護・デイサービスを提供し、2017年5月からは新たに看護小規模多機能型居宅介護(※以降、「看多機」)もOPENされた、桜新町アーバンクリニックの所長である、片山さんのインタビューに来ております。
よろしくお願い致します!