ロングライフサポーターズの再出発

インタビュー先の事業所とご担当者様

阿多 芙美代さん 責任者

あおい訪問看護ステーション

東京都・杉並区 / 京王井の頭線「浜田山」駅 徒歩5分

2016年にまさかの訪問看護ステーション休止! その背景にあったものとは!?

一和多

本日は杉並区浜田山にある『あおい訪問看護ステーション』の運営をされている、理学療法士の阿多さんからお話をお伺いいたします。

よろしくお願いします!

阿多さん

よろしくお願いします。

一和多

まず先に確認をしなければいけないことなのですが、あおい訪問看護ステーションは2009年に立ち上げをされた後、2016年の6月に一度ステーションを休止扱いにされたとお伺いをしました。

 

その休止になった経緯についてお話をお伺いしても……、というよりも記事にしても大丈夫ですかね?(汗)

阿多さん

大丈夫ですよ(笑)。

隠すことではないですし、うちの訪問看護ステーションのコンセプトにも関わることなので、むしろそこの経緯も知って頂いたうえで、うちを検討して頂きたいと思っています!

一和多

それなら良かったです!

これから(※2017年3月時点)新メンバーを募りつつ、リニューアルオープンに向かっていくなかで、コアとなるコンセプトはしっかりとアピールをして頂ければと思います!!!

一和多

それではまず、事業所コンセプトについてお話をお伺いしてもよろしいですか?

阿多さん

うちでは現在『ロングライフサポーターズ』という理念を掲げていて、子どもから、青年、老年の利用者さんまで、病気や障害を持つ全年齢層の利用者さんや家族が、一生涯に渡って地域の中で暮らしていく支えになることを目指しています。

一和多

訪問看護での利用者さんは一般的には高齢者の方が多いかと思うのですが、小児の利用者さんから積極的に受け入れていくといった方針ですか?

阿多さん

はい、そうです。

小児の訪問は、ステーションの立ち上げ時から私のやりたかったことでもありますので!

一和多

なるほど…。

私が色々な看護師さんと面談をしている中で、皆さんが口を揃えて言う苦手意識のある分野が、『精神科』と『小児科』なんですよね…(汗)。

阿多さん

まさにそこが、昨年ステーションを休止にせざるをえなくなった理由に繋がっていて…。

 

休止前、訪問看護のメンバーが小児・若年層の利用者さんの訪問に対して消極的になってしまったんですよね。

 

当時のメンバーは、高齢者の利用者さんを中心とした訪問や、より効率的に件数が回れる訪問内容を希望していて、それがステーションのコンセプトと離れてしまい……。

 

結局、メンバーの退職なども重なって、2016年に一度ステーションは休止をすることにしました。

一和多

そこの目線合わせはすごく大切ですね…。

なぜメンバーの意識が離れていってしまったのですかね?

阿多さん

訪問看護ステーション立ち上げ時のメンバーの多くは「在宅で小児をやりたい」という気持ちを持っていましたので、目線合わせはできていたと思います。

 

ただ、その後に新メンバーを採用していく際、このステーションでやりたいことや、目指すべき方向をキチンと説明してこなかったことが、本当に良くなかったと思っています。

いま思い返すと、給与条件や福利厚生のことばかりアピールしていました…。

一和多

そうだったのですね…。

 

これからは

「小児を含む全年齢の利用者さんを支えていく」

「訪問件数をこなすよりも、一件一件の訪問を丁寧にまわっていく」

「法人全体で多職種連携ができるように、横のつながりを強くする」

といった基本方針にちゃんと賛同をもらえる方を仲間に迎え入れていく形ですね!

提携保育所の利用が可能! ママさんナースや訪看未経験者のための制度の数々!

一和多

先ほどのコンセプトとは別に、あおい訪問看護ステーションのアピールポイントはございますか?

阿多さん

子育て中のママさん看護師には喜ばれると思うのですが、うちの従業員は事業所からすぐ近くの認可外の保育所を優先的に使える枠を持っています

月極での預かりも一時保育もできますし、保育所の費用に対して補助があり、認可保育園の費用と同等程度で利用することができます。

一和多

看護師さんの待機児童の問題は深刻なので、喜ばれる方は多いと思いますよ!

よくそんな枠を確保できましたね???

阿多さん

本当は事業所内保育を目指していたのですが、それは体制的にまだ難しかったんですよね。

そんな時に同じく福祉・医療系の会社を経営されている社長さんからお声がけを頂いて、「福祉・医療の従事者が子どもを預けられる場所をつくりたい」と。

2016年の10月にOPENしたばかりの保育園ですので、中もすごくキレイですよ!

あとは、病児保育の費用や、ベビーシッターの費用補助がでる福利厚生も用意しています。

一和多

お話を聞いていると、ママさんナースくらいの年齢層の方を積極的に採用したいといったイメージなのですかね?

阿多さん

いえ、若い方も歓迎しますし、訪問できる体力があれば50代の方でも受け入れたいと思っています!

あとは、訪問看護の未経験者も大歓迎ですね。

外部の研修は積極的に利用していく予定ですし、近隣での教育ステーション事業をされている訪問看護ステーションとも連携を取っていますので、内部では手の届かない教育は外部のリソースをお借りしつつやっていこうと思っています

一和多

小さな所帯の訪問看護ステーションですと、どうしても教育面が疎かになりやすいので、外部と連携を取ってそこを補っていけることは、求職者にとっても安心材料でしょうね!

浜田山は杉並区の田園調布!? 子どもから高齢者まで幅広く看れるエリア!

一和多

阿多さんが訪問リハビリ・訪問看護ステーションをやろうと思ったキッカケを教えて頂けますか?

阿多さん

父の影響が大きいですね。

私の父は先天的に障害のある子どもたちへのリハビリの仕事をしていて、私もその手伝いをしていました。

 

そのリハビリでは、マンツーマンで1人につき1時間くらいやる感じでした。

やはり、その人の機能や生活を変えていくには、15分や20分の時間では足りなくって…。

一和多

それを経験していたのでは、病院での働き方は物足りなさを感じそうですね?

阿多さん

そうですね~。

理学療法士の資格取得後は病院で働いていたのですが、外来が多い病院だったので患者さん1人につき20分くらいしか時間がなくて…(汗)。

 

1人1人丁寧にやっていくには時間が足りないし、一方でベルトコンベアーのような形でリハビリをしていくのはどうなんだろう、という葛藤がありました。

一和多

それから在宅の世界に?

阿多さん

はい。

ある程度病院で働いた後に、自分の働きたいフィールドは在宅の方だなと改めて感じて転職を決めました。

それで、ご縁の合った杉並区の訪問看護ステーションに転職しました。

一和多

その転職された訪問看護ステーションはどのような事業所でしたか?

阿多さん

訪問自体はやり甲斐もあってすごく楽しかったです。

ただ、利用者さんがほぼ高齢者のみで、若い方がいなかったんですよね。

 

私は、子どもや若い人たちを含めて全年齢の方を在宅で看れる働き方がしたいなと思っていたので、その後に自分で訪問看護ステーションを立ち上げました。

一和多

ちなみに、なぜ杉並区の浜田山で立ち上げをされたのですか?

阿多さんのご出身がこの辺とか???

阿多さん

出身は神奈川県で、浜田山は全然関係ないんですよ(笑)。

浜田山って、杉並区の中でも中央線の周辺とは変わって、閑静な住宅街というイメージで、昔からここに住んでいる方が多いんですよね。家も大きい一軒家が多いです。

治安が良くて落ち着いている雰囲気があって、杉並区の田園調布みたいな(笑)。

 

治安が良くて落ち着いている雰囲気があって、杉並区の田園調布みたいな(笑)。

一和多

田園調布は言いすぎな感じもしますが(笑)。

阿多さん

あと、今でこそ少しずつ増えてきたのですが、当時は杉並区の南側って訪問看護ステーションがあまり無かったんですよね。

必要とされてるけど、訪問できない場合も多くて、需要があるエリアだな~と思いました。

他にも、小児や若い利用者さんを看たいという気持ちがあったので、「光明特別支援学校」や「永福学園」、「こども発達センター」といった養護学校や施設が近くにあるのも良かったですね。

お子さんをそのような学校に入れたくて、この近くに引っ越してこられる方も多いんですよ。

訪看・リハビリ・ケアマネまで! スタッフ一丸となって支えたとある院長先生の最期

一和多

これまで在宅で見てきた中で、阿多さんにとって印象深い利用者さんはいますか?

阿多さん

あおい訪問看護ステーションとして、最初に受け入れをさせて頂いた利用者さんは印象深かったですね。

 

もう80歳を超えている男性の利用者さんだったのですが、ある大きな病院の院長先生だったんですよ。

 

その利用者さんの部下にあたる病院の先生たちからは、

「在宅は絶対に無理だ」

と言われていて、まさに末期の状態の利用者さんでした。

 

ただご本人が、

「俺は絶対に病院で死にたくない。家に帰る。」

という意思がすごく強かったんです。

一和多

それは病院の先生たちも引き止められないでしょうね…。

阿多さん

まさにそんな感じでしたね(笑)。

 

それで、もともと同じ病院で働いていた先生が往診医で入ってくれて、その方のフォローもあったから、なんとかご自宅に戻れたって感じでした。

一和多

あおい訪問看護さんは訪問看護で介入を?

阿多さん

いえ、訪問看護と訪問リハビリ、あとケアマネージャーもうちで担当しました。

 

日曜日以外は毎日、看護師は1日に何回も入るし、リハビリもしっかり入れていくという方針だったので、先方も窓口が一つでやりやすかったのだと思います。

一和多

特別指示書を連発って感じがしますね(笑)。

 

お話を聞いていると、なかなかに厳しいお人柄の利用者さんでしたか?

阿多さん

すごく厳しい方でしたね~。

リハビリはそんなことなかったのですが、看護師は「ここは病院か」って勢いで、かなり言われていましたよ(笑)。

 

ただ、厳しい方ではあったけど、人を切り捨てるような方ではなかったですし、ご自宅で過ごすことや、ご自身のQOLを維持することへの想いがすごく強かった。

もうスタッフ一丸となってサポートをしたことを鮮明に覚えています。

 

それで、依頼をお受けしてから半年程で、ご本人の希望通りご自宅でのお看取りができました。

最期はご本人やご家族から、

「ありがとう」

という言葉を頂けたのは嬉しかったですね。

一和多

ご本人としても、満足のいく最期だったのでしょうね。

阿多さん

そうだと思います。

 

「この状態だと在宅厳しいよね」と言うお医者さんはまだ多い感じがしますが、そこで何とか道を模索することも、在宅の役割の一つだと思うんですよね。

利用者さんの想いだけでどうするか決められない場合も多くありますが、できるだけ利用者さんの想いを叶えてあげることが一番大事だと学ばせてもらえました。

病院以外の働き方や、新しい可能性に興味がある方へ

一和多

最後に、こちらの記事を読まれている読者に、何かメッセージをお願いします!

阿多さん

在宅って、大きな枠組みはあっても、小さな枠はそんなに無くって、自分次第で色々なことができるフィールドなんですね。

 

「いまの病院以外の働き方を見てみたい」、「新しい可能性を探っていきたい」

という想いがある人にはすごく面白い領域ですし、

意気込みがあれば、その意気込みに見合うだけのやり甲斐を得られる場所だと思います。

 

私たちと同じ方向を目指して、支え合いながら頑張れる方は、是非私たちの仲間になってもらえると嬉しいです!

一和多

本日はありがとうございました。

取材を終えて

一和多

杉並区「浜田山」駅前の落ち着いた雰囲気の商店街を抜けたすぐ先に事業所を構えるあおい訪問看護ステーション。訪問看護ステーション休止という話だけ切り取るとショッキングでネガティブな印象を受けるかもしれませんが、詳しく話を聞いてみると、それは自分たちが目指す訪問看護ステーションへ向かっていくために、必要な休息期間だったように感じられました。地域に根ざしながら、子どもから高齢者まで全年齢の利用者さんとしっかりと向き合っていく、そんな想いに共感を抱く看護師って、普通に多いんじゃないかな?

取材・文章:一和多義隆

事業所情報

事業所名 あおい訪問看護ステーション
運営会社 合同会社Y&Uケア芙蓉会
所在地 東京都杉並区浜田山3-25-16 エスカイア浜田山103
最寄り駅 京王井の頭線「浜田山」駅 徒歩5分
在籍人数 5名(看護師4名、PT:1名)
従業員の平均年齢 ~35歳

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