の情熱妻の葛藤 

インタビュー先の事業所とご担当者様

亀山 那美子 さん 看護師 管理者

つるかわ駅前訪問看護ステーション

東京都町田市

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小田急線「鶴川」駅、駅徒歩1分の好立地に込めた働くスタッフへの想い

一和多

本日は、2016年にご夫婦で訪問看護ステーションを立ち上げられた、

『つるかわ駅前訪問看護ステーション』

の管理者であり代表の奥様でもある、亀山さんにインタビューをさせて頂きます。 

一和多

最初にお伺いをしようと思っていたことすが、 

「○○駅前訪問看護ステーション」 

という事業所名、今後、ステーションが拡大をして、事業所の移転を検討する際に「駅前」という縛りがついてきてしまうプレッシャーがありますね(汗)。 

亀山さん

そうですよね! 

それは私も思いました(笑)。 

一和多

(笑)。 

ステーション名はどういった経緯で決まったのですか?? 

亀山さん

えーっと社長が勝手に決めてたんですよね。あはは(笑)。 

 

社長の意図としては、働くスタッフのことを考えたら駅前の方が良いだろう」、といった点はこだわっていたようです。 

あとは、採用時に「駅チカ」の方が検討してもらいやすいかな、と。

一和多

通勤するスタッフとしては「駅チカ」の方ありがたいのは間違いないですね。 

ちなみに、電車ではなく「車通勤」もOKにしているんですよね?? 

亀山さん

そうです! 

車通勤のことも考えると尚のこと「駅前」にこだわらなくて良いんじゃない?とも思ったのですが、そこは譲ってもらえず(苦笑)。 

一和多

今後、より大きな事業所を借りないといけなくなったタイミングや、駐車場をたくさん用意しないといけなくなった時が大変ですね…。

亀山さん

そこは社長に頑張ってもらうしかないですね(笑)。

訪問看護ステーションをやりたかったご主人の、まさかの強硬手段!?

一和多

では、こちらのステーションについてより詳しくお伺いをさせて下さい! 

 

まず、ご夫婦で訪問看護ステーションを立ち上げられたのはどういった経緯だったのですか? 

亀山さん

そもそも、私は訪問看護に対して、当初はあまり乗り気ではなかったんです(苦笑)。 

一和多

えぇ…? 

亀山さん

「看護師」という仕事自体は小さい時から憧れていた職業ですし、看護師になった後も仕事は大好きで楽しかったんですね。

 

ただ、仕事が好きな分、「(自分は)患者さんとの距離感が近くなりやすい」、とも感じていました。 

亀山さん

病院と違い、在宅ってより利用者さんとの関係性も深くなるじゃないですか? 

 

「自分は絶対に仕事を家に持ち帰るようになるな…」という不安があったので、その予防線を敷くためにも、「在宅だけはやめておこう」と考えていました。 

一和多

仕事と家庭との両立を大切にされたかったのですね。

亀山さん

うち、子どもが4人いるんですね。 

子育てに支障のでる働き方はできないな……(汗)。 

一和多

4人……、それは家に仕事を持ち帰ったら大変なことになりますね……(汗)。 

 

では、訪問看護ステーションの立ち上げについてはご主人(社長)の意向で?? 

亀山さん

そうです。 

 

主人はこれまでも、訪問診療クリニックの立ち上げ等、在宅分野で仕事をしてきた人でしたので、「自分の理想とする訪問看護ステーションを経営したい」という想いを持ったのだと思います 

 

なので、私にも訪問看護を再三しつこく勧めてきて、私はそれに抗っていたんですね。 

 

そうしたらついに強硬手段を……。 

一和多

強硬手段?? 

亀山さん

会社を退職してきてしまったんですよ。勝手に。 

 

なので、もう訪問看護ステーションをやるしかない状況を強引につくられしまい…(苦笑)。 

一和多

すごい行動力というか、思い切りが良いというか…(苦笑) 

亀山さん

さすがに私も腹をくくりました(笑)。 

 

その後は、訪問看護の経験のある友人に相談をしたり、訪問看護管理者の研修に参加をして勉強をしたりしながら、このステーションを作り上げていったという経緯です。

一和多

事業所の様子を見渡していて、「若い方が多い」といった印象を受けます。

 

小さなお子さんを子育て中のスタッフも多いと伺ったのですが、そこの年齢層的なところはこだわりがあったのですか?? 

亀山さん

全くもってたまたま、偶然です(笑)。 

面接をして「この人、良いな」と思った人若い人が続いただけです。 

なので、特に年齢にはこだわっていません。

一和多

そうだったのですね! 

 

年代が近いスタッフが多いからか、皆さんコミュニケーションも活発ですし、皆さんリラックスして働かれている感じがしますね 

亀山さん

ありがとうございます 

いまは事業所全体の雰囲気も良いですし、良いスタッフにも恵まれと思っています。

一和多

すぐ隣に社長や所長がいても気軽に声がけをされていますし、スタッフ同士のコミュニケーションに壁がない様子はすごく伝わりました。 

 

所長さん(亀山さん)なんて、社長のことを「パパ」とか呼んでますし(笑)。 

亀山さん

それは、本当はいけないんですけどね(苦笑)。 

 

このアットホームな雰囲気は、今後もなるべく保っていきたいなと思っています! 

在宅の現場で知った、ご利用者のこと、社会のこと、そして自分自身のこと

一和多

ここからは亀山さんご自身のキャリアについてお伺いをさせて下さい。 

 

まず、ご出身はどちらでしたか? 

亀山さん

群馬県です。 

看護学校から東京に出てきて、准看を取った後に正看護師となりました。 

一和多

臨床経験としてはどういった働き方をされてきましたか? 

亀山さん

病院の救急や外来が長かったですね。 

混合病棟でも働いていたのですが、病棟経験はそう長ないです。 

 

あとは、クリニックの立ち上げや、単発バイトでの老人ホームでね。 

亀山さん

私の場合、子どもが多かったことや、家族からのサポートも期待できなかったこともあり「当直のない働き方」が必須条件になっていました 

 

そうすると、自然と働き方の選択肢も限られてきて(汗) 

 

亀山さん

在宅に来る前に働いていたのが糖尿病外来で、そこでの経験は在宅に来てからも役立っていると思います。 

一和多

在宅でも糖尿病の利用者さんはいますね。 

亀山さん

それもあるのですが、糖尿病って生活習慣の管理ができないことが原因方も多いじゃないですか? 

外来でも「この人また来ちゃったのか…」って方は多かったので。 

 

「言っても聞かない人たちへの関わり方はどうすれば良いんだろう?」ってことは以前からとても悩んでいたので、そういった点は在宅にも通ずるなと。 

一和多

あまり管理をしようとしすぎてもご利用者から拒否されてしまいますし、

ただ、譲れないラインは守ってもらわないといけない…。 

亀山さん

そうなんですよね…。 

 

やはり在宅に移行すると利用者さんの意向は重視されますし、また、ご高齢者の場合はQOLを大事にしたいというお気持ちも強い。 

 

「病気のことはわかっているけど、もう俺たちは長くないんだから好きにさせてくれ!」 

 

ってことはよく言われますね。 

一和多

どういった調整がその人にとってベターなのかは難しいですよね 

 

ただ、ご高齢者の場合は特に、命に関わるような状態になることのリスク考えると、全部ご本人の希望のまま、といった訳にはいかないですからね。 

亀山さん

はい……。 

そういう時は主治医の先生にも相談をしたり、場合によっては教育入院にもっていったりすることもあります。 

一和多

時間も回数も業務範囲も限られた訪問看護での介入の中で、看護師側もある程度割り切っていく必要がありますね。

一和多

こちらのステーションをはじめて3年、(家庭との両立のために)これまでは避けてきた在宅をやってみた感想はいかがでしたか? 

亀山さん

一番感じることは、「病院で見ていた患者さんは、その方のごく一部だったんだな」ということですね。 

 

やはり、在宅では、その人だけではなく、その人を囲む周りの環境全てを知ることなりますし、そこを踏まえたうえでアプローチをしていくので

一和多

少し意地悪な質問なのですが、

 

それだけ利用者さん深く関わっていくことは、裏を返せばそれだけ医療者側にも心理的な負担がかかる、といったことはないですか? 

 

亀山さん

それはありますね。 

 

ただ、総じてやり甲斐の方が大きいかなと私は感じています。 

 

やはり、その方の「人間らしさ」や「面白み」を知ることができますし、感謝をして頂いていることもダイレクトに感じられるので。

一和多

「訪問看護は責任が重いので…」と一歩引いてしまっている人は多いので、是非その言葉を伝えたいです……! 

 

他にはご自身の中で変わられたことはありますか? 

亀山さん

あとは、いまの「社会」について少しは分かるようになったのかな?思っています。 

 

ご高齢者がどういう生活をされていて、どんなことに悩んでいて、地域でどうやって支えていくことができるのか…、全て病院にいた時は知らなかったことばかりですので 

亀山さん

病院にいた時は視野が狭くなってしまっていたのだな

とか、

無意識に「医療者中心」になってしまっていたのだな…、

 

どちらも気づけたのは在宅にきたお陰ですね。 

あと一歩が踏み込めなかった、忘れられないがん末期のご利用者

一和多

亀山さんがこれまで看てこられたご利用者の中思い出深いエピソードを教えて頂けますか? 

亀山さん

やはり終末期の方ですね。 

 

このステーションを立ち上げて半年くらいの時に、70代・膵臓がん・男性のご利用者をお受けしました。 

 

独居の方なのですが、退院時は、腹水も溜まっているし、下肢の浮腫もすごいし、チューブは入っているし…と、とても1人では動けない状態の方で 

一和多

ご家族はいらっしゃらなかったのですか?

亀山さん

奥様はすでに亡くなられていて、比較的近くにお住まいの息子さんがいました。

一和多

では、キーパーソンは息子さん?? 

亀山さん

そうなのですが、ご利用者本人が、息子さんやそのお嫁さんのお世話になることを嫌がったんですよね。 

 

ご家族だけではなく、ヘルパーさんを入れることも嫌がるような方で、

「人の世話になりたくない」

という意識が強い方でした。 

 

息子さんも、それはよく知っていたので、介入しづらかったと思います。

一和多

そういう方いますよね。 

 

「看護師はいいけど、介護士はダメだ」という利用者さんのケースはよく耳にします。 

 

亀山さん

はい……。 

 

ただ、私たちもお宅に入れてはもらえるのですが、

あまり頼られる感じもなく、受け入れは決して良い方では無かったです。 

 

お身体の状態としては介入をしていく必要があったのですが、下手に踏み込んでいって拒否されてしまっても良くないので、手探り状態で徐々に距離感を詰めていこうと考えていました。 

亀山さん

そんなことを考えていた矢先、

2週間ほどで救急車搬送になってしまい、そのまま緩和病棟でお亡くなりになりました。 

一和多

入っていた期間は短かったのですね。 

亀山さん

はい、何もできない間に入院になってしまって…。 

 

その入院で初めて息子さんともしっかりとお話ができました。

 

息子さんは息子さんで、色々なお気持ちを持たれていたことを初めて知ったんですね。 

息子さんとしては、お父さんの性格も知っていましたし、ご自身が仕事で忙しかったということもあったのですが、

「もっと関わっていきたい」

という想いを持たれていました。 

 

いまになって振り返ると、もっと私たちが調整をする余地はあったのにな…と思っています。 

 

もっと早くご家族ともコンタクトを取っていくべきでしたし、

もっと情報提供をすべきでしたし、

ご利用者にもご家族にももっと後悔のない最期を過ごして頂くことができたのかな…と。 

一和多

利用者さんの性格や、あっという間に緊急入院になってしまったことを考えると致し方なかったのかな?とも思います…。

亀山さん

ありがとうございます…。 

 

ただ、やはり私自身いっぱいいっぱいでしたし、

未熟だったな、という気持ちは拭えないですね。 

一和多

「在宅」を選ばれたのご本人の希望だったのですか?

亀山さん

そうです。病院に対する不信感も強い方だったんですよね。 

 

病院が、ケアマネやうち(訪問看護ステーション)に連携をする時、

「勝手に個人情報を教えるな!」

と言ってすごく怒られていました。 

一和多

それもあって受け入れが悪かったということも? 

亀山さん

私たちのところにはクレームなどはなかったのですが、病院の連携室とケアマネにはすごくご立腹されていましたね…(汗)。 

 

私たちが依頼を受け時に「すごくナーバスな方で…」といった感じでした。 

一和多

そんなことがあったのでしたら、尚のことご家族との連携も躊躇しますね…。 

亀山さん

はい…(汗) 

 

ただ、実際にお会いしてお話をすると、全く嫌な感じのする方では無かったんですよ。 

 

真面目にしっかりと自立して生きてこられた方で、「人様に迷惑をかける」とか「人に弱みをみせる」ってことが我慢できない方なのだな、と思いました。 

 

確固たる自分をお持ちの方だな…と。 

亀山さん

最期、入院中の病室までお伺いをした時はもう状態はかなり悪くなっていたのですが、目を見開いて私たちを認識して、「わざわざ悪いなぁ」と仰っていました 

 

私たちに対しては、気遣いながらすごく良くして頂いた方でしたね。

亀山さん

そのことがあってからは、それまで以上に勉強をしましたし、時間をつくって研修への参加もしましたね。 

 

今後、同じようなケースがあった時に後悔をしないように…と。 

「ここの訪問看護師さんに来てもらって良かった」と思われるステーション

一和多

先程のご利用者とのエピソードじゃないですが、今後もステーションとしては「お看取り」には力を入れていくつもりですか

亀山さん

そうですね。 

 

がんの方は特になのですが、

在宅でのお看取りって、短い間にどんどん状況が進行していってしまうので、ご本人もご家族も置いてけぼりにならないよう、しっかりと支えていくことができる訪問看護ステーションでありたいなと思っています。 

一和多

ちなみに、亀山さんごは看護師になる以前は、「子どもが好きで保育士にも憧れていた」と仰っていましたが、

 

小児科重症心身障害児の受け入れなどもやっていきたい、といったお考えありますか? 

亀山さん

ありますね。 

 

ただ、私個人の希望というよりも、今後の社会的ニーズとしては、小児もやっていかざるをえなくなるのかなと思っています。 

 

小児でも、その他の医療依存度の高いケースでも、訪問看護のニーズは高まっていく一方だと思うので…。

亀山さん

ただ、どれだけニーズがあったとしても中途半端には手を出したくないとも思っています。 

 

経営や売上のために無闇やたらに手をつけるといったことはせず、

ご利用者やご家族から「ここ(の訪問看護ステーション)に来てもらって良かった」と思って頂くことを第一としていくつもりです。 

一和多

本日はありがとうございました。 

取材を終えて

一和多

(名前の通り)小田急線「鶴川」駅を出てすぐ目の前に事業所を構える「つるかわ駅前訪問看護ステーション」。

 

 訪問看護を避けてきた妻(管理者)と、訪問看護がやりたくて仕方がなかった旦那(社長)という、ちょっと不思議な組み合わせのご夫婦が運営をする訪問看護ステーションでは、

ご夫婦それぞれが心に描く、ご利用者にとっても働く人にとっても、心地よいステーション像が随所に垣間見ることができます。

 

また、働かれているスタッフの表情を眺めていても、設立からまだ年数も浅く、0から手探り状態で事業所を作り上げてきたからこその、風通しの良い空気感が流れる職場だと感じられました。 

たまたま現在は若い雰囲気のスタッフが多くなっているのですが、様々な年代のスタッフを募集しておりますので、ご興味を持った方は気軽にお問い合わせ下さい! 

取材・文章:一和多義隆

事業所情報

事業所名 つるかわ駅前訪問看護ステーション
運営会社 株式会社M&C
所在地 東京都町田市能ヶ谷1丁目7番7号 レクセルプラザ202
最寄り駅 小田急線「鶴川」駅 徒歩1分
在籍人数 常勤3名・非常勤4名、PT2名、ST1名
従業員の平均年齢 30~40代のスタッフが在籍
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