苦手だった認知症、けど今は

インタビュー先の事業所とご担当者様

北山 優子さん 管理者

ケアチーム大芽

東京都府中市

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家に帰ったら、仕事のことはスッパリ忘れる働き方を

一和多

京王線「多磨霊園」駅から歩いて数分、といった位置に事業所を構える、ケアチーム大芽の所長、北山さんへインタビューをいたします。

 

本日はよろしくお願い致します!

北山さん

よろしくお願いします。

一和多

なんでも、こちらの訪問看護ステーションのメンバーは、ゴルフ好きな方が多いとか?

北山さん

そうなんですよ!

たまたまなのですが、ゴルフが趣味のメンバーが集まっていて(笑)。

 

仕事とは関係のない、他所のゴルフ好きのグループと一緒に、土日の休みをつかって、ゴルフに回っています。

一和多

なんか、大企業の親睦会みたいですね(笑)。

北山さん

うちは、メンバー地方出身の者が多いので、そのような場をつかって人脈を広げてもらったり、仕事から離れられる時間をつくってもらったりすることも、大切な時間だと思っていますね。

一和多

なるほど!

やはり、仕事のオン/オフをつけることは重要ですよね。

北山さん

訪問看護の場合は、特にそうですね。

 

いつでも患者さんに会える病院と違って、1週間に1回しか利用者さんに会えないことが多い訪問看護では、モヤモヤとした気持ちを、家にまで持ち帰ることは本当に良くなくって。

北山さん

なので、私は(コール当番の時以外は)家に帰ったら、仕事のことはスッパリ忘れるようにしていますし、スタッフにもそうするように言っています。

 

そのかわり仕事中は、

「来週まで利用者さんが安心して暮らせるようにするには、自分はどうしたら良いのか?」

といったことを、全力で考えるようにと。

一和多

私が面談をする看護師さんにも、仕事とプライベートとのワークライフバランスで悩まれている方は多いので、管理者からのその言葉は是非聞かせてあげたいです…!

未経験の精神科で「難しい」が「楽しい」に変わるまで

一和多

早速ですが、こちらの訪問看護ステーションの特徴について、教えて下さい。

 

利用者さんの傾向として、精神疾患や難病の方が多いとか?

北山さん

そうですね。

 

現在(※2018年8月時点)精神の方を12名、難病の方を5名ほど、お受けしています。

 

先々は、より医療保険の割合を増やしていきたいな、と思っています。

一和多

医療保険の割合を増やすことには、何か理由があるのですか?

北山さん

まずは、医療依存度の高い方の方が、受け入れニーズも高いと感じています。

 

また、利用者さんの生活を確立するための動きをとるには、医師と直接連携をとっていく医療保険の方が、私たちも対応がしやすい、といった理由もあります。

一和多

なるほど。

医療保険の中でも、精神疾患が多いのは、土地柄ですか?

北山さん

はい。

府中市は、精神科の病院も多いのですが、一方で、精神に特化している訪問看護ステーションや、精神を受け入れている事業所が少ないんです。

 

なので、病院から直接うちに、精神の依頼が入ることは珍しくないですね。

一和多

私が色々な看護師さんとお話をする中で、「訪問看護での不安な分野は?」という質問に、「精神」と答える方が多い印象があります…。

 

こちらのスタッフの方は、元々精神科を経験されていた方なのですか?

北山さん

それが、うちのスタッフは、精神科の病棟経験者はいないんですよ。

 

みんな最初は「精神は難しい…」と口にしていました。

 

ただ、同行訪問の時間をしっかりと積んで、精神科の研修に参加してもらい、段々と慣れていった結果、今では「精神科が楽しくなってきた」と言うようになりましたね。

一和多

精神未経験者でも大丈夫なのですね! 

 

ちなみに、スタッフの方は、精神科訪問看護のどのような点が楽しい、と仰っていますか?

北山さん

「同じ病名でも、利用者さんによって症状が大きく違うことがあって、そこがわかるようになってくると楽しくなる」

とのことですね。

 

私自身も、精神科は奥が深いと思いますよ!

一和多

さきほど同行訪問の話がありましたが、こちらでの教育・サポート体制はどのようにされていますか?

北山さん

うちは、管理者の私と主任との2人で、チーム全体をサポートするようにしています。

一和多

主任さんも、こちらでの勤務は長いのですか?

北山さん

彼女は、元々九州で訪問看護をしていたのですが、ご主人の転勤でこちらに引っ越してきて、うちに入職してからは3年目ですね。

 

経験の豊富な看護師ですし、うちに入職してからも、お互いに「あれ?」と感じた部分は、しっかりと共有して、意見をぶつけ合いながらやってきました。

 

現在では、私の持つ知識や、ステーションとしての判断は、ほぼ彼女にも渡っていると思います。

 

うちは彼女がいるからこそ、新人の教育にも力を入れることができるのかな、と。

一和多

それは心強い右腕ですね!

 

新人の教育は、しっかりとやっていく方針なのですか?

北山さん

そうですね。

短くても半年間は、しっかりと教育をしていきたいと思っています。

 

本人が安心感を持てるまでは、単独訪問はさせないですし、訪問をさせてみて、技術が伴っていないと感じたら、また同行に戻すようにしています。

一和多

数回の同行訪問だけで、単独訪問へと進んでしまう事業所も決して少なくないで、それはかなり手厚い方だと思います

北山さん

少しやりすぎかな?、自分でも思いますよ(苦笑)

 

ただ、そういったサポートがないと続かないですし、新人でもベテランでも、会社の看板を背負って訪問看護を提供していることには変わらないので、チーム全体の質の担保のためにも、必要なことだ思っています。

「自分には無理だ」と考えていた訪問看護に感じた可能性

一和多

北山さんのキャリアについて、教えて頂けますか?

北山さん

20歳で准看護師の資格を取得して、正看護師の資格を取ったのは30歳でした。

最初からずっと病院で働いていて、特に急性期の病棟が長かったです。

 

あとは、特養やホスピスでも少し働いたのですが、また病院に戻ったりして。

一和多

そこから、どのようにして在宅へ??

北山さん

いまのうちの社長に、誘われたんですよね。

社長とは、特養で働いていた時からの知り合いで、会社の立ち上げ時から、お声がけを頂いていました。

北山さん

「自分に訪問看護は無理だ」

 

と思っていたので、ずっとお断りしていたのですが、何度も粘り強くをかけてもらったので、

 

まずは自分に訪問看護ができるのか経験してみよう!」

 

と思い、訪問看護協会の研修に参加したり、知人の訪問看護ステーションでの実習に参加したりしました。

一和多

転職前にみた、訪問看護の印象はどうでしたか?

北山さん

「ここまで看護師がやるんだ!?」と思いましたね。

一和多

ここまで??

北山さん

寝たきりで人工呼吸をつかっている、ALSの高齢者がご利用者だったのですが、看護師がBiPAPをつかって、意識がある方にマスクを当てたり、圧をかけたりていたことが、とても印象的

 

他にも、色々な訪問に同行をさせて頂いて、

医師がいない環境で看護師がこんなにも活躍をできるだ、ということは、驚きました

北山さん

それからは

 

自分でもできるのではないか

「やってみたい」

 

という気持ちに変わっていき式にこちらの訪問看護ステーションで働かせて頂いた、という経緯ですね。

自身が利用者になって改めて感じた、ご家族の不安や悩み

一和多

北山さんの、印象深かった在宅でのエピソードを教えてもらえますか?

北山さん

看護師としてではなく、利用者側でのエピソードでも良いですか?

一和多

もちろんです!

訪問看護師から見た、ご利用者目線も新鮮ですね。

 

ご家族が訪問看護を利用されたのですか?

北山さん

はい。 

少し前に、義理の父を胃がんで亡くしたのですが、その時に訪問看護をお願いしました。

北山さん

元々、義父は福島県の山間に住んでいて、山できのこを取ったり、お花を植えたりしていたのですが、一昨年に吐血をして、胃がんだということがわかりました。

 

手術をして、一時期はホスピスへ入院をしていたのですが、本人から「家に帰りたい」という希望があったので、同じく福島で暮らす義兄の家で、最期を過ごすことになったんです。

一和多

東京と福島ですと少し距離もありますが、そこに北山さんもヘルプで入られたのですか?

北山さん

そうですね。

義兄と義妹がいたのですが、義兄は朝早くから夜遅くまで仕事に追われている人だったので、義妹が主介護者。

 

ただ、義理の母が認知症をもっていたので、義妹は母親と父親を同時に看る形になっていたんですね…。

北山さん

私としても、義妹に全てをお願いしてしまうのは申し訳ない、という気持ちがあったので、

「せめて最期くらいは」と、現職から介護休暇を頂いて、福島に滞在していました。

一和多

医療従事者、しかも訪問看護師の北山さんが近くにいてくれることは、義妹さんとしても非常に心強かったでしょうね!

北山さん

そうだと思います。

義妹も「お義姉さんがいなかったら父は入院させてた」と言っていました。

北山さん

義妹は、以前にご主人の義母さんも自宅で看取った経験があったのですが、その時は、情報が少ない中での在宅での生活支援が、すごく不安だったようなんです。

 

今回は、私の持っている知識を義妹に共有をすることができたので、

 

「義母の時はそんな話は聞けなかった」

「すごく勉強になった」

 

としきりに言っていました。

北山さん

「情報が少ない」「知識がない」ということが、ご家族にとってどれほど不安なことなのか、自身が利用者側になって、改めて気付かされましたね。

 

医療に関わりのない人でもわかるように、もっともっとわかりやすい言葉で、理解を得るまで繰り返し説明をする必要があるんだな、と。

一和多

お義父さんの最期は、どのように?

北山さん

最期は、飲まない・食べない、といった状況が続いていました。

 

私の中でも「そろそろかな?」と思い、有料老人ホームで暮らしていた義母と会わせるのであれば今ではないか、と義兄と義妹に相談をしました。

北山さん

2人とも最初は

「(認知症が進んでいるので)会ってもわからないから

と渋っていたのですが、最終的には義妹が、

「やっぱり連れてくる」

と言い出しです

北山さん

義母と久しぶりに再開した時、それまでずっと横になるばかりだった義父が、ベッドサイドに座り、泣きだしました。

 

その後は、義母とジュースで乾杯をして、少し話してから、また横になりました。

 

義父が亡くなったのは、それから一週間後でしたね。

一和多

最期にお話をすることができて、本当に良かったですね…。

 

ちなみに、お義父さんとお義母さんは、そんなに会っていなかったのですか?

北山さん

はい。義父が会いたがらなかったんですよ。

 

義母に会うと、自分が切なくなってしまうのと、自分に会ったことで、義母が「帰りたい」って言い出すことを心配したんですね。

一和多

お義母さんのことを、大切に想われていたのですね。

北山さん

そうですね…。

 

一方で、義母の方は、義父が亡くなった後も

「(自分を)迎えに来ない」

と繰り返し言っていて。

 

「お義父さんはもう亡くなったんですよ。お葬式もしたよね?」

と言っても、理解できていないんですね。

北山さん

義父の面倒をみたことで、利用者のご家族の、悩みや苦しみ1人で看ないといけない時の不安感など、改めて認識できたことは、私自身にとっても貴重な経験となりましたね。

苦手だった高齢者看護。関わり方の変化と共に気づいた気持ちの変化

一和多

北山さんの考える、在宅・訪問看護の魅力って何ですか?

北山さん

自分で工夫ができる点ですね。

北山さん

病院でたくさんの規則や決まり事がありますし、患者さんに何かあった時は、まずは先生に相談して、指示をもらって動くじゃないですか?

北山さん

訪問看護だと(もちろん先生から指示はもらうのですが)、

現場の看護師にしかわからない状況もたくさんあるので、看護師から医師への提案が重要になってきます。

 

それで信頼関係ができてくると、先生の方から相談をもらえるようになっていくんですね。

 

そのような、主体的に働ける環境への満足感はあります。

一和多

北山さんは、訪問看護が合っていたですね~。

北山さん

最初は「無理・無理」って、言ってたんですけどね(笑)。

 

ある友人からは「在宅に向いてない」とも言われましたし。

「あなたは高齢者(の看護)が苦手じゃない」と(笑)。

一和多

高齢者が苦手だったのですか?(笑)

北山さん

病院にいる時は苦手でした。

認知症の方の相手が特に(笑)。 

 

ただ、在宅で働くようになってから、それが変わっていったんですね。

 

同じ認知症の方でも、ひとりひとりとしっかりと時間をかけて向き合える環境であれば、こんなにも高齢者との関わりは楽しいのだ、と気づきました。

 

その方のためだけに集中して、創意工夫ができる環境が、自分に合っていたのだと思います。

一和多

本日はありがとうございました。

取材を終えて

一和多

調布と府中との間に位置する、京王線「多磨霊園」駅の住宅街を抜け先に位置する、ケアチーム大芽

 

訪問看護以外にも、各種の介護サービスも展開され、代表の細野さんご自身も、今でも相談員としてご利用者からの電話を受けているそう。

 

看護師と介護士机を並べて同じフロアで働く環境なので医療的な判断のできる看護師と、最も生活に触れ合っている介護士とが、密に情報共有できるメリットが感じられる職場かと思います。

 

管理者の北山さんはしっかり遊んでしっかり働くメリハリを大切にされるタイプの方でした

利用者さんやご家族との距離感が近くなりがちな、訪問看護だからこそ特に、そういったオン/オフの考えは、大切なのではないでしょうか

 

無理なく長く在宅でき続けたいといった方にこそ、こちらの職場をオススメします 

取材・文章:一和多義隆

事業所情報

事業所名 ケアチーム大芽
運営会社 NPO法人 芽生会
所在地 東京都府中市小柳町2-13-6 プランタン細野Ⅱ1F
最寄り駅 京王線「多磨霊園」駅 徒歩7分
在籍人数 常勤3名、看護助手1名、介護士20名、ケアマネ4名、相談支援専門員2名、事務3名
従業員の平均年齢 40代半ば ※20~50代のスタッフが在籍
ステーション詳細 » より詳細なステーション情報を見る

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