【事例あり】訪問看護への転職を失敗しないために!転職で気をつけるポイントを解説

公開日:2023/12/26 更新日:2024/04/05
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訪問看護は在宅医療への移行が進む昨今、看護師の転職先として注目を浴びています。また訪問看護師の需要も高まり続けており、「訪問看護アクションプラン2025」では、訪問看護師の数を2025年までに約15万人に増やすことを目標に掲げています。(2020年時点では6.8万人)

訪問看護師になろうと転職を検討しているものの、転職先選びに失敗したらどうしよう、と不安を抱えている看護師の方もいるのではないでしょうか。

実際に訪問看護ステーションの数も増え続けており、働き先探しに困る方もいるかもしれません。

今回は訪問看護への転職に失敗しないための、転職で気をつけるポイントや選び方を解説していきます。

参照:公益社団法人日本看護協会,公益財団法人日本訪問看護財団,一般社団法人全国訪問看護事業協会「訪問看護アクションプラン2025|2025年を目指した訪問看護」

参照:厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」

訪問看護への転職で失敗したと感じるケースとは

そもそも訪問看護への転職で失敗したと感じるケースは、下記のような場合が挙げられます。

  1. ノルマやオンコールなど体に合わないシフトで疲弊している
  2. 教育体制が整っていない
  3. 求人情報と入職後の勤務条件が異なっている
  4. 思っていたより給料が低い
  5. 業務内容が合わないと感じる

なぜこれらのケースが失敗と呼ばれるのか、理由を解説していきます。

1.ノルマやオンコールなど体に合わないシフトで疲弊している

病院では夜勤があり二交代や三交代などで働きますが、訪問看護ステーションでは、訪問件数や営業に関するノルマがあったり、オンコールなどの制度があったりします。

そういった勤務形態になかなか慣れず、体に合わないシフトに疲労してしまう方もいるでしょう。

ノルマがあるケースでは、月末に追い込まれるように忙しくなってしまって身体が疲れてしまうのはもちろん、精神的にも焦燥感やノルマを達成できないのではないかという不安からか、ストレスをためやすくなってしまいます。

またオンコールでは夜勤のように動き続けている訳ではなくても、気を抜けないまま夜から朝まで待機して、精神的に疲弊するという方もいます。

2.教育体制が整っていない

訪問看護ステーションの数は増加し続けており、新規設立や新規事業として訪問看護を立ち上げるところも少なくありません。

その中で小規模や新設の訪問看護ステーションの場合は、教育体制やシステムが整っていないところも多くみられます。

「訪問看護が初めての方も歓迎」と求人要項に書いてあっても、制度が整っていなかったり教育担当者がいなかったりして、困ったことも聞けないままになってしまい初心者なのに放置されてしまう状況も起こりうるでしょう。

3.求人情報と入職後の勤務条件が異なっている

求人情報の中では残業なし、インセンティブありと書いてあっても入職後は残業があったりインセンティブがあまりもらえなかったりする場合も失敗例といえます。

前残業含め残業がかなり多かったというケースもあり、実際はかなり残業時間が多くなってしまう場合もあります。しかしそのようなステーションに見込み残業代が含まれていると、見込み残業代に含まれている残業時間分の給与を別途もらうことは不可能なため、「ブラックな勤務先だ」と感じてしまう看護師も少なくありません。

また、インセンティブも訪問件数150件以上など、実際は条件付きでなかなか達成が難しい場合もあります。

4.思っていたより給料が低い

訪問看護ステーションへ転職する看護師の中には、訪問件数に応じて給料アップやインセンティブがもらえるなどの求人情報から、給料に期待をして入職をする看護師もいます。しかし新設の訪問看護ステーションの場合だと、あまり利用者数が多くないため看護師1人あたりの訪問件数が少なくなり、思っていたよりも給料が低いというケースもあるでしょう。

また運転など移動にかかるガソリン代などの手当も十分ではない場合、個人の負担が重くなってしまい総合的に手取りが少なくなってしまうこともあります。

5.業務内容が合わないと感じる

訪問看護の場合、利用者さまへの看護だけではなく、営業や挨拶回りなども重要な業務の一つです。しかしその業務内容が自分には合わないと感じるケースもあります。

病院の看護とは違う業務内容に戸惑う看護師の方もおり、その業務の必要性を正しく伝えられる体制が整っていないと、業務内容が合わないと感じて「転職に失敗した」という思いを感じてしまいやすいでしょう。

また面接の時点で、そういった営業や挨拶回りなどの訪問以外の業務について触れられていないケースも多く、入職後のギャップを生じてしまう場合があります。

訪問看護ステーションの転職で失敗しないためのポイント

前述した転職の失敗をしないためにも、ここでは転職前にチェックしておくべきポイントを解説していきます。

転職前には主に下記の6つのポイントを確認するのが重要です。

  1. オンコール体制や歩合制など手当について確認する
  2. 入職前の体験訪問や見学の有無
  3. どんな利用者さまがいるか確認
  4. 記録は紙カルテか電子カルテか確認
  5. 訪問看護ステーションの規模を調べておく
  6. 残業時間やみなし残業、年間休日などの求人条件を確認しておく

それぞれ解説していきます。

1.オンコール体制や歩合制など手当について確認する

訪問看護といってもオンコール体制や歩合制の有無などは訪問看護ステーションによって異なります。

手当の詳細や条件などはステーションによって異なるため、入職前に確認して納得のいく体制の訪問看護ステーションを探す必要があるでしょう。

オンコールの場合は月に何回対応する必要があるのか、歩合制(インセンティブ制度)の場合は何件以上訪問した場合のみ発生する、というような条件付きの制度なのかを確認していく必要があります。

またインセンティブに関しては現実的に達成可能かどうかも重要なポイントです。インセンティブをもらうには、1日あたり何件の訪問をこなしていく必要があるのかなど、詳細を面接などで聞けると良いでしょう。実際に面接の場で聞けなくても、1か月あたり120件以上で発生する条件であれば、週5勤務の場合平均して1日6件以上は訪問する必要があるというように計算してみるのも良いです。

2.入職前の体験訪問や見学の有無

理由はさまざまですが、実際に入職してから、訪問看護の現場での働きにくさや、想像との違いを感じて、転職を失敗したと思う看護師の方もいます。

事業所によっては入職後にイメージのミスマッチによる早期退職を防ぐためにも、実際の訪問に同行する形の体験訪問や、ステーション内の人間関係や業務風景を見るための事業所内の見学をさせてもらえるところもあります。

もしそういった体験訪問や見学をさせてもらえる場合は、遠慮せずに体験や見学をさせてほしいと伝えるようにしましょう。また、その際に感じた疑問もできるだけその場で伝えて解消しておくと良いです。

3.どんな利用者さまがいるか確認

訪問看護で関わる利用者さまにはどのような疾患の方がいるのか、どのような看護やケアを行っていくのかなど、利用者さまについて確認しておくのもイメージのミスマッチを防ぐためには大切です。

事前に聞いておくことで、入職前に必要な医療ケアや疾患に関して予習と復習ができるため、教える立場のステーションにも入職する看護師の方にも、双方にメリットがあります。

4.記録は紙カルテか電子カルテか確認

病院で働いていた時と記録するツールが変わると戸惑ってやりにくいという方もいるため、記録は紙カルテか電子カルテのどちらを使うのか事前に確認しておきましょう。

今は電子系のツールを使っている訪問看護ステーションも多く、iPadやスマートフォンなどを活用している事業所もあります。

月末〆切の訪問看護報告書や訪問看護計画書など、書類作成に追われることも多いため、使うツールを確認しておくことも大切です。

5.訪問看護ステーションの規模を調べておく

訪問看護ステーションの数は増加しつづけており、小規模の事業所から、全国に事業所を展開しているような大規模の事業所もあります。

それぞれ事業所の規模感によって業務内容には違いがあり、新設の事業所ではまだまだ訪問先が少なく営業や挨拶回りの業務が多くなる一方で、大手の事業所では訪問件数が多い分、書類の処理件数が多い場合もあります。

規模感によって体制も異なるため、実際の業務内容の相違が起こらないためにも、事前に規模感を調べておくことが重要です。

6.残業時間やみなし残業、年間休日なども求人を確認しておく

訪問看護は日勤業務が基本のため、定時で帰れるというイメージがありますが、ステーションによっては残業が多かったり、休日があまり取れなかったりするケースもあります。

年間休日や有給取得数を求人情報から確認しておくのはもちろん、みなし残業代は求人情報の給料にどのくらい含まれているのかも確認が必要です。

訪問看護への転職に失敗したと感じる時の対処法

すでに訪問看護ステーションで働いている方の中には、訪問看護への転職に失敗したと感じている看護師の方もいるでしょう。

最後に訪問看護への転職に失敗したと感じている方に向けて、対処法を解説していきます。

職場環境への不満や困りごとは責任者へ相談する

職場環境や労働条件面での不満を抱えている場合は、まず責任者へ相談してみましょう。

相談すると月のオンコールの数や訪問件数を減らしてくれたり、勤務時間を見直したりしてくれる場合もあるかもしれません。

まずは人事や担当部署の所長など、上席の方へ相談してみるのも一つの手です。

自分の看護師としてのキャリアを見つめ直す

訪問看護は自分に合っていないから、とすぐに転職を決断する前に、自分の看護師としてのキャリアを見つめ直してみましょう。

自分が看護師として何がやりたかったのかを明確にすることで、職場や看護について抱えていた不満も解消できる場合があります。

例えば多くの高齢者の方に寄り添って看護を提供したいと考えているとします。高齢者の方の多くは自宅での看取りを希望しているため、地域医療について学び訪問看護師として働くことは、自分のやりたい看護を実践するためにも非常に重要です。

そのためには今の現場で学びを深めていくことが自分のキャリアにおいて大切だ、というように、看護観やキャリアを振り返ると、訪問看護師として働く意義が感じられるのではないでしょうか。

参照:厚生労働省「在宅医療連携拠点事業について」

違う訪問看護ステーションに転職するという道も

教育体制が整っておらず地域医療や看護について学べないために、曖昧な知識のまま仕事を続けていると、訪問看護への意義を見いだせないこともあるでしょう。

その場合は教育体制の整っている、他の訪問看護ステーションへ転職するという道もあります。

また勤務条件などから疲弊してしまい、ステーション側も看護師の個々の働き方の調整がこれ以上は難しいという場合には、違う訪問看護ステーションへの転職もおすすめです。

さらに今の訪問看護の現場でやりたい看護ができない、専門性を高められないと感じている方の場合には、精神科や小児科など、専門性に特化した訪問看護ステーションに転職するのも良いでしょう。

転職事例:20代で2箇所の訪問看護ステーションを経験。1回目の転職で学んだ失敗しない訪問看護転職とは…?

インタビューご協力者:K.Tさん(28歳、正看護師)

大学病院の外科病棟で4年間勤務した後、株式会社運営の訪問看護ステーションへ転職。訪問看護業務にやり甲斐は感じていたのだが、次第に職場環境とのミスマッチを感じるようになり、引き続き訪問看護での就業を希望して転職をする。

※こちらの転職体験談はNsPace Careerの運営会社である在宅医療支援機構の提供する人材紹介サービスを利用して転職した方へのインタビューになります

就職前の訪問看護のイメージって?

K.Tさん:実際に働き始めるまでは訪問看護に対するイメージも漠然としたものでした。

例えば、
・認知症の方への対応など、疾病予防の役割が多いのではないか?
・ひとりで判断することが病棟よりも求められるのではないか?
・様々な経験を積んだベテランでないと難しいのではないか?
…等々の不安感を持っていました。

一方で、住み慣れたご自宅での看護ができることはとてもやり甲斐のあることだろうな、といった期待感も大きかったです。

訪問看護で働こうと思ったキッカケは?

K.Tさん:正直、学生時代はあまり在宅には関心を抱いていませんでした。

大きなキッカケとなったのは私の祖父です。
当時、糖尿病を患っていた祖父が訪問看護サービスを利用している様子を家族として目にする中で、「このような状況の祖父でも在宅で過ごすことができるんだ!」と、とても驚いことを覚えています。

それ以外では、病棟での経験年数が進むに連れて現場業務以外の管理的な役割も増えていったことも関係しました。

「(今はまだ)現場で働きたい」「より違う分野の現場も経験してみたい」という想いから、病院とは違う在宅という分野に挑戦してみようと考えるようになりました。

前職の訪問看護ステーションからの転職を考えた理由は?

K.Tさん:一緒に働くメンバーは良い方ばかりだったのですが、スタッフの人員数に対して業務量(訪問件数)が多く、心身への負担が大きい環境だと感じました。
また、そのような状況なので人の入れ替わりも激しく、周囲のスタッフが次々に退職をしていってしまい、相談できるメンバーのいない環境の中、ひとりきりで訪問をしている感覚が辛かったことを覚えています。

それ以外では、訪問内容についてもイメージのギャップが大きかったです。前職のステーションは慢性期のご利用者へのリハビリメインでのご依頼が多かったので、そこに物足りなさを感じるようになり、より在宅での医療的介入も経験できるステーションで働きたい、と考えるようになりました。

訪問看護への就職活動はどのように?

K.Tさん:最初のステーションへの転職の時は、まずは大手の転職エージェントを利用して、そこでは訪問看護だけでなく病院なども紹介をして頂いたのですが、結果としてそちら経由では面接には進めませんでした。
理由はわからないのですが、私の担当者さんが何度も変わり、その度に面談で足を運び、同じような内容の質問を受けることが大きなストレスでした。加えて、せっかくの面談の場でも、お伺いできる情報が、給与や条件面の話ばかりで、より掘り下げた深い情報を教えて頂くことができず…。

結果として、最初の転職については訪問看護師として働く知人からの紹介を受けたステーションに入職を決めました。
いま思い返して、その時の転職活動で失敗だったな…と感じている点は、以下の2点です。

1)他の事業所の見学と比較検討をしないで決めてしまったこと
2)見学先の事業所と、実際に配属になった事業所が違っていたこと

その後、2回目の訪問看護での転職については、また別の訪問看護師の知人から紹介をして頂いた、在宅医療支援機構(NsPace Careerの事業運営会社)さんにお願いをして転職活動を進めていきました。

在宅医療支援機構での転職は(率直に!)どうでしたか?

K.Tさん:面談を通して、「ちゃんと現場を知っている方」だと感じられた点が印象的でした。
以前に大手の転職サイトを利用した際のご担当者は「看護の現場を知らない方」といった印象が強かったので、そこが対照的で大きな安心感を持つことができました。
実際に、ご提案頂いた複数の事業所さんについても、現場との距離感が近い方ならではの提案をして頂けた、と感じております。

また、これは病院で不規則な夜勤をする看護師の皆さんに共感をして頂けると思うのですが、事前のアポイントのない電話が一切なかった点がとてもありがたかったです。
他の転職サイトのご担当者の時は、何度も電話を頂きながら出ることができない、転職活動が進まない、といった場面が何度もあり、それも大きなストレスになっていました。

一方で、在宅医療支援機構さんでの連絡は原則『LINE』だったので、自分にとって都合の良いタイミングでやり取りをすることができ、スムーズに相談を進めていくことができました。

転職した職場はどうですか?

K.Tさん:オープンで風通しの良い雰囲気がとても気に入っています。

事業所の中で自分が1番の若手となるのですが、ガチガチの上下関係といったものもなく、スタッフ間のコミュニケーションはとても自然に取ることができていると感じます。
職場では先輩が作られた漬物を振る舞って頂いたり、ご近所の先輩からはカレーやサバの味噌煮(私の好物なんです…笑)をおすそ分けして頂いたりと、まるで親族のようなお付き合いをさせて頂いております(笑)。

現場のことでいうと、うちは「定期巡回・随時対応サービス」も提供してることも大きな特徴です。
看護師や介護士が1日に複数回訪問ができるサービスなのですが、このサービスをつかうことで、訪問看護単体とはまた違った介入の仕方ができ、在宅支援のあり方の可能性を広げることができるサービスだと感じました。

訪問看護への転職を考えている人へのメッセージ

K.Tさん:私も訪問看護をはじめるまでは、「自分の臨床経験で大丈夫だろうか?」といった不安を持っていたのですが、実際に訪問看護師として2箇所のステーションで働いてみて、「ちゃんと周りに相談ができる」「周囲からサポートをしてもらえる」環境であれば、臨床経験の少ない方でも問題なく働ける仕事だと考えるようになりました。
そういった意味でも、1人で悩むことなく、皆で話し合いながら働ける職場選びはとても大切なことだと思います。

また、働き方としても、病院のような夜勤がなく、生活のリズムもとりやすい点も大きなメリットです。
「無理なく長く働きたい」「ライフステージの変化があった後も働き続けたい」といった考えの方には是非一度、検討をしてみて頂きたいです。

これからの将来、まだ若い看護師さんがドンドン訪問の現場に出るようになって、その地域が明るくなっていって頂けると嬉しいです。

訪問看護への転職を失敗しないためには事前の業界分析や情報収集が大切!

ここまで訪問看護への転職で失敗したというケースや、失敗しないために気をつけるポイントや選び方、さらに今失敗したと感じている人への対処法も解説しました。

訪問看護への転職を失敗しないためには、事業所の規模やノルマ制度、オンコール制度が抱えている課題などの業界分析や情報収集が大切です。

また転職においては、看護観ややりたい看護を明確にするのも重要です。

これから訪問看護への転職を考えている方は、丁寧に情報収集を行うのはもちろん、自分のやりたい看護を見直してから転職先を検討するようにしましょう。

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記事投稿者プロフィール画像 NsPace Careerナビ 編集部

「NsPace Career ナビ」は、訪問看護ステーションへの転職に特化した求人サイト「NsPace Career」が運営するメディアです。訪問看護業界へのキャリアを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。

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