独居、寝たきり、気管切開でも「家に帰りたい」と希望した理由

寝たきりで独居、さらには気管切開、経管栄養だった50代男性が帰宅を熱望。 その驚きの理由で、訪問看護師として大事なことを再認識させてもらった。

インタビューご協力者

松井 順子

看護師

浦安せいれいの里 副総園長 兼 在宅・福祉サービス事業部 運営管理部部長

これまで色々な個性豊かな利用者さんと出会ってきたという松井さん。とある時は、利用者さんが管からお酒を摂取しているところを目撃して驚いたこともあったといいます!

そんな松井さんがとても衝撃を受けたのはケアマネージャーをしていた時のこと。

独居で寝たきりの50代男性の方がいました。

この方は独居であるだけでなく
気管切開、経管栄養の寝たきりの方だったため、
利用者さんが「帰りたい」と希望される時は
滅多に断らない松井さんですら、
「さすがに自宅へ帰すのは難しいだろう…」
と諦めていたんだとか。

そんな状況にも関わらず、当の本人は
「帰りたい!」
と強く帰宅を望んでいました。

そのあまりにもの熱意に、医師や看護師は次第に了承するように。

最終的には本人の希望通り、ご自宅に帰ることができました。

 

どうしてこの方はこんなにも帰りたかったのか。

なんとそれは、
「どうしても自宅でテレビを見たい」
という、ただそれだけの理由だったのです!

松井さんは当時、
「命がけで見るテレビって何なの!?」
ととても不思議に思いました。

しかし、今振り返ってみると、彼にとって
「自宅でテレビを見る」
ということが、とても大切な「意思」で、
自分の命をかける「選択」だったと理解できるんだそう。

 

在宅はその人の生活の場でもあり、
何よりも「その人らしさ」を尊重する場。

その人がやりたいこと、自分の意思を貫きたいと思ったことを
叶えてあげる大切さを、改めて認識させられた出来事となったと、
松井さんは懐かしそうに振り返ります。

取材・文章 : 橋本和彦

取材日 : 2017年3月28日