訪問看護におけるフィジカルアセスメント

公開日:2021/12/21 更新日:2024/02/06
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訪問看護は基本的に看護師一人で自宅に訪問して、バイタルチェックや視診や触診、聴診などの客観的情報と利用者への問診にもとにアセスメントして病状が安定しているか判断していきます。病状変化があれば、早急にクリニックや病院の医師に報告・相談して対応することが求められます。そんなことを言うと、「やっぱり訪問看護は難しそう」「一人で訪問するのが不安」と言った声が聞こえてきそうですが、病院でおこなっているフィジカルアセスメントと何ら変わらないと思います。変わるとしたら、アセスメントの捉え方、介入にあると思うのでそこについてお伝えします。

①自宅は生活の場である

病院は病気を治療する場ですが、自宅は生活の場です。ここに病棟看護と訪問看護の介入の違いがあります。訪問看護のアセスメントで大切なのは、利用者とその家族が「自宅でどのような療養生活を送りたいか」という希望も加味した看護展開をすることです。病気や障害ばかりに目を向けて管理的な介入になることがないように、本人や家族の生活スタイルや希望を確認しながら介入していきましょう。

②家族、他職種からも情報収集する

訪問看護師は24時間利用者の側にいるわけでもなく、必要な情報が常に取れる状況ではないです。フィジカルアセスメントには経時的変化も重要となるため、家族に必要な情報をお伝えして観察してもらうことやヘルパーやデイサービスのスタッフ等に情報を確認して判断していくことでアセスメントの精度を高めていくことができます。

共有ノートを自宅に置いて交換日記のように情報共有することや、最近では『MCS』(https://about.medical-care.net/html/)等の多職種連携用のWebサービスを利用して、オンライン上で情報共有することもあります。

③看護師間でも情報共有する

どの看護師が訪問しても共通の判断基準のもとに対応できるように同行訪問の際に観察するポイントを共有すること、異常時の対応を共有すること、介入の方向性を共有すること、などが大切になってきます。訪問看護計画書・報告書の作成時に介入している看護師間でディスカッションする、定期的なカンファレンスで擦り合わせをできると良いでしょう。また、カルテ内に必要な情報も適宜記載、更新していくことも重要です。

④おすすめの参考書

ブランクがあり知識に不安がある方は特に、自身での自学自習をすることもオススメしたいです。参考までに以下にオススメの参考書をご紹介いたします。

『訪問看護のフィジカルアセスメントと急変対応 Q&Aと事例でわかる訪問看護』
(発行:公益財団法人日本訪問看護財団、監修/道又元裕=編著、発行日:2016年1月10日)
https://www.chuohoki.co.jp/products/medical/5152/

基礎的なアセスメントに関する知識から在宅で求められるテクニックまでQ&Aや実践事例を通してわかりやすく解説されているので広く浅く学ぶには良いかと思います。訪問看護における急変対応に関しても記載あるため

いざという場面で役立つ情報もあるのでおすすめです。

『関連図で理解する在宅看護過程』
(発行:株式会社メヂカルフレンド社、著者:正野逸子・本田彰子、発行日:2018年6月)
https://www.medical-friend.co.jp/biblioDetail.php?b_id=1094

病院と在宅では看護過程の展開の考え方が異なっており、そこに慣れるまでに少し時間がかかると思います。この本では実際の事例を通して関連図の作成過程、情報の統合からアセスメント、看護課題の抽出、看護計画立案までが具体的に紹介されているため訪問看護における看護過程を学ぶにはおすすめです。

以上となります。

僕自身が訪問看護のフィジカルアセスメントで意識しているのは、今自宅から退出しても利用者に身体的苦痛が起きないかどうか、という視点です。身体的苦痛が起きそうであればその場で医師に相談し、対応を検討する。また、起こりそうな変化・対応に関して事前に利用者と家族に共有しています。そうすることで緊急コールの頻度も下げることにつながり、何より、利用者・家族が安心して自宅で過ごすことができると思います。

とはいっても、初めからそのように意識して行動できたわけではないです。思い返してみると、先輩に同行訪問や振り返りをしてもらう中で、徐々身に付けていったように感じています。また、事例検討やカンファレンスの中でも「そうやって考えるのか!」「その情報も必要だったのか!」という気づきを積み上げていく中で、訪問看護におけるフィジカルアセスメント、看護過程を学びました。

同行訪問する際にはケア手順を覚えるだけでなく、ケアの根拠や看護展開に関しても振り返りをしてみてください!

▼執筆者プロフィール

藤井 達也
地元名古屋の大学を卒業後、聖路加国際病院の救命救急センターで看護師として働き始める。高齢者の最期の在り方について疑問を抱く中で、より深く意思決定の場面に関わっていきたいと考え、訪問看護の道へ。現在はウィル訪問看護ステーション江戸川にて訪問看護師として働きながら、教育、採用、管理業務の一端も担っている。

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